別に、好きじゃなかった。

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別に、好きじゃなかった。

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「ごめん、他に好きな奴が出来たんだ。別れてほしい」


うん、わかった。今までありがとう。


「っ……本当にごめん……!」


大丈夫だよ。


「俺たち、別れても友達だよな……?」














はぁ?


「んなわけねーだろ。頭沸いてんのか?」
「ち、千鶴……?」
「あのな、俺たちは友達から恋人……まあもう元になったわけだけど。別れたよな?」
「あ、あぁ……」


こいつ、まじで馬鹿なのか?

未だに理解出来ていないような表情の男を億劫そうに見て口を開く。


「お前さ、割れた鏡を元通りに直せるか?」
「え?」
「割れた鏡を元通りに出来るのか?ヒビすら無くせるのか?出来ないだろ?別れるってことはそういうことだ。別れたからって元には戻れないんだよ。お前とはこれで終わり。続きはありません。てことでさよーなら。そして死ね」


言いたいことを一息に言ってくるりと背を向ける。
相手が追いかけてくるような気配がしたので全力で走った。



走りすぎて心臓が痛い。

張り裂けそうだ。

だから急な運動は嫌いなんだよ。

苦しくて涙が出てくる。



お前と別れようがどうでもいいんだ。
俺たちの間に何もなかったし。
お前が告ってきたから付き合っただけだし。


俺は、別に、好きじゃなかった。


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