僕は君になりたかった

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走って家に着くまで、抑えきれない涙がこぼれ落ちていって呼吸も上手く出来なくて。
それでも必死に走って家に着くなり部屋に駆け込んで、気持ちが爆発して声をあげて泣いた。

昔から、愛されるのは翔琉でそれを見ていただけの僕。
何も努力なんてしてないのに人を妬むことしかできない僕。
親からも、嫌われている僕。

生きてて、何になるんだろう。
大好きな人も、憧れの人も、誰も僕なんか必要としていないのに。

生まれた時はまだ、愛されてたのかな。
名前は親からの最初の愛情なんて言うけど、本当なのかな。
都、なんて。僕に似合わない名前。
本当は誰につけるつもりだったんだろう。

「ごめん…なさい……、ッ…生きてて…生まれてきて、ごめんなさい…ッ…」

ヒューヒューと上手く呼吸ができない。
ああ、またか、なんて。最近は落ち着いていたのに。
助けてくれる人はここにはいない。

親からは僕の存在を無かったことにされている。
今住んでいるこの家はきっと、二度と姿を見ないように準備された籠。
楽しかった記憶がないわけじゃない。
小さい頃は、たくさん遊んでくれた。色んなところに連れて行ってくれた。
…それがなくなったのは、いつだったっけ。

それはもう、思い出せないけど。

いつだって欲しかった物は僕の手をすり抜けていく。
両親も、翔琉も……宗佑さんも。
僕は、何なんだろう。

死んだ方が、いいのかな。
でも、怖くて、死ねないんだ。
何度も、何度も死のうと思ったし実際に実行しようと思った。
だけど怖くて怖くて、手が震えて。

…呼吸がいよいよ続かなくなって、もしかしたらこのまま死ねるのかな…なんて思いながら意識を手放した。

願いが叶うならば、あの人に会いたいと思いながら。
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