死んだと思ったら生まれ変わって魔族になってたんですが…。

15

文字の大きさ
上 下
45 / 52
魔法学園

39歩

しおりを挟む
『契約完了』

落ち着いた低い男の人の声が頭の中に流れて俺はパチクリと瞬きをした。
……えっと…?

それを見ていたガルニエ先生に「名前つけたからにはそいつのご主人様はお前だゾ」と欠伸をしながら言われた。

ゴシュジンサマ?


「え、えぇーーーーーー!?ぼ、僕がですか!?」
「…るセ…。そりゃお前しかいないダロ。名前をつけたのはお前なんだカラ。…お互いに相性がよくて、どちらも合意の上で契約は成り立つんダ。そいつも文句はねーんダロ」
「クゥンッ」


先生の説明を聞きながら俺はルードに視線をやると満足気に鳴いた。
……ルードがいいなら、いいんだけど……ご主人様……。


「…うん、わかったよ。改めて宜しくね、ルード」
「キャンッ!」
「ふふ、かわいい。そうだ!このまま図書館に行こうか。ルードの事ちゃんと知らないとね。ガルニエ先生、ありがとうございました!」
「おー。まあなんかあったら聞きに来いヨ」


研究室を出て俺たちは図書館を目指す。
ルードは今度は肩ではなく頭に乗ってくつろいでいる。
重さはそこまで感じないし落ち着くのならどこにいてもいいけど、落ちないかが心配だ。


「ルード、落ちないように気をつけてね?すぐに助けるけど…」
「キュ」


目だけを上に向け話しかけると良い子のお返事が聞こえた。…本当にかわいい。
てくてくと歩き図書館の扉を開きひょこっと顔を覗かせる。
…うん、誰もいないみたい。

授業はさっきの座学で終わりだし、調べる時間はたっぷりある。
…シル達が探しに来なければだけど。


「んー…動物学だからここら辺だと思ったんだけど………あっあった!あ、意外と種類が豊富………ん?ルードそれがいいの?じゃあ、これにしようかな。あっちで読もうね」


ルードがタシタシと肉球で叩いている本を取るとコクコクと頷いた。

近くの椅子に座り、机にルードを下ろすと早く早くと急かすようにくるくる回り始めた。


「ふふ、ちょっと待ってね。んーと……ベグルドーナ、ベグルドーナ…あ、これかな。えっと……?」
「クゥン?」
「…ルードって、人型にもなれるんだね…それに、喋れるようにも…」


その本に

・人型になれる
・人語を話せる
・成長すると最大3メートルの大きさになる
・主人との関係により成長度合いが変わる
・主人側から一方的に主従関係を解除できる
・捨てられた獣は売られるか、処分される

と書いてあった。
……もしかしてルードも一方的に解除されて、捨てられたのかな…。
ルードが死ななくてよかった…。

泣きそうな気持ちを堪えてぎゅう、とルードを抱きしめると俺の頬をペロリと舐めた。


「…僕、ルードに出会えてよかったよ。ルードはすごく賢いんだね…ふふ、ルードが話せるようになったら僕益々溺愛しちゃうかも」


ふわふわの毛並みを撫でながらポツリと零すとルードはきょとんとした表情で俺を見上げていた。
こんなに可愛い子を捨てるなんて酷なことをする魔族もいるもんだ。

出会ってまだ少ししか経ってないけどこの子が愛しくて仕方ない。


「…大好きだよ、ルード」
「キュキュキュッ!!」


暫くルードと戯れていたけど図書館の扉が開き息を上がらせたウィルとシルが「やっと見つけた!」と俺たちの所へやってきたので癒しタイムに終わりを告げた。

2人はルードを見て驚いていたようだけど深くはつっこまずにいてくれた。


「…なんだか私たちは嫌われているようだね?」
「え?そんなことないと思うんだけど……ね、ルード?」
「……フェルがそいつ見てない時の表情、やべーぞ」


と言われてルードをもう一度見たけどやっぱりそこには可愛らしいルードがいて、俺は首を傾げたのだった。





















****
お、お気に入り500ありがとうございます!
しおりの数を見てここら辺から読みづらいのかなと頭を悩ませている日々です。
もう少し簡潔に纏められたらいいんですけど…!


あとちまちま修正もしていこうかなと…。
面白い話が書けるように頑張ります。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

悪役令嬢に転生したが弟が可愛すぎた!

ルカ
BL
悪役令嬢に転生したが男だった! ヒロインそっちのけで物語が進みゲームにはいなかった弟まで登場(弟は可愛い) 僕はいったいどうなるのー!

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

王道学園なのに、王道じゃない!!

主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。 レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ‪‪.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…

処理中です...