死んだと思ったら生まれ変わって魔族になってたんですが…。

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魔法学園

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『契約完了』

落ち着いた低い男の人の声が頭の中に流れて俺はパチクリと瞬きをした。
……えっと…?

それを見ていたガルニエ先生に「名前つけたからにはそいつのご主人様はお前だゾ」と欠伸をしながら言われた。

ゴシュジンサマ?


「え、えぇーーーーーー!?ぼ、僕がですか!?」
「…るセ…。そりゃお前しかいないダロ。名前をつけたのはお前なんだカラ。…お互いに相性がよくて、どちらも合意の上で契約は成り立つんダ。そいつも文句はねーんダロ」
「クゥンッ」


先生の説明を聞きながら俺はルードに視線をやると満足気に鳴いた。
……ルードがいいなら、いいんだけど……ご主人様……。


「…うん、わかったよ。改めて宜しくね、ルード」
「キャンッ!」
「ふふ、かわいい。そうだ!このまま図書館に行こうか。ルードの事ちゃんと知らないとね。ガルニエ先生、ありがとうございました!」
「おー。まあなんかあったら聞きに来いヨ」


研究室を出て俺たちは図書館を目指す。
ルードは今度は肩ではなく頭に乗ってくつろいでいる。
重さはそこまで感じないし落ち着くのならどこにいてもいいけど、落ちないかが心配だ。


「ルード、落ちないように気をつけてね?すぐに助けるけど…」
「キュ」


目だけを上に向け話しかけると良い子のお返事が聞こえた。…本当にかわいい。
てくてくと歩き図書館の扉を開きひょこっと顔を覗かせる。
…うん、誰もいないみたい。

授業はさっきの座学で終わりだし、調べる時間はたっぷりある。
…シル達が探しに来なければだけど。


「んー…動物学だからここら辺だと思ったんだけど………あっあった!あ、意外と種類が豊富………ん?ルードそれがいいの?じゃあ、これにしようかな。あっちで読もうね」


ルードがタシタシと肉球で叩いている本を取るとコクコクと頷いた。

近くの椅子に座り、机にルードを下ろすと早く早くと急かすようにくるくる回り始めた。


「ふふ、ちょっと待ってね。んーと……ベグルドーナ、ベグルドーナ…あ、これかな。えっと……?」
「クゥン?」
「…ルードって、人型にもなれるんだね…それに、喋れるようにも…」


その本に

・人型になれる
・人語を話せる
・成長すると最大3メートルの大きさになる
・主人との関係により成長度合いが変わる
・主人側から一方的に主従関係を解除できる
・捨てられた獣は売られるか、処分される

と書いてあった。
……もしかしてルードも一方的に解除されて、捨てられたのかな…。
ルードが死ななくてよかった…。

泣きそうな気持ちを堪えてぎゅう、とルードを抱きしめると俺の頬をペロリと舐めた。


「…僕、ルードに出会えてよかったよ。ルードはすごく賢いんだね…ふふ、ルードが話せるようになったら僕益々溺愛しちゃうかも」


ふわふわの毛並みを撫でながらポツリと零すとルードはきょとんとした表情で俺を見上げていた。
こんなに可愛い子を捨てるなんて酷なことをする魔族もいるもんだ。

出会ってまだ少ししか経ってないけどこの子が愛しくて仕方ない。


「…大好きだよ、ルード」
「キュキュキュッ!!」


暫くルードと戯れていたけど図書館の扉が開き息を上がらせたウィルとシルが「やっと見つけた!」と俺たちの所へやってきたので癒しタイムに終わりを告げた。

2人はルードを見て驚いていたようだけど深くはつっこまずにいてくれた。


「…なんだか私たちは嫌われているようだね?」
「え?そんなことないと思うんだけど……ね、ルード?」
「……フェルがそいつ見てない時の表情、やべーぞ」


と言われてルードをもう一度見たけどやっぱりそこには可愛らしいルードがいて、俺は首を傾げたのだった。





















****
お、お気に入り500ありがとうございます!
しおりの数を見てここら辺から読みづらいのかなと頭を悩ませている日々です。
もう少し簡潔に纏められたらいいんですけど…!


あとちまちま修正もしていこうかなと…。
面白い話が書けるように頑張ります。
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