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魔法学園
36歩
しおりを挟む「フェル?どうした?」
「え?…ううん、なんでもないよ!」
授業が始まってからもぼーっとしながら考え込んでいるとシルに顔を覗き込まれたので笑って誤魔化した。
「ふーん?…あ、俺とペアになろうぜ?もう他は粗方ペアになってるっぽいし」
「うん!…今日って何するんだっけ」
「…まじで大丈夫か?いつもあんなに真面目に授業受けてるっつーのに……今日は的に向かって攻撃だとよ」
「あはは、ありがとう」
だめだ!しっかりしなきゃ!
的って…あ、あのカカシみたいな人形?
そして俺達が話している間に先生の「スタート」という合図が響き渡り最初の一人が攻撃を始めた。
生徒が何かを唱えピカッと一瞬空が光った後、雷のような稲妻が走り上から的に直撃した。
プスプス…と黒こげになった的にその生徒は「よっしゃー!」とガッツポーズを決めてペアへと交代した。
ペアの子は地面からツタ?のような木を出し的を絞め上げる。
…なんというか…意外だ…。
いつも大人しい生徒で、今もおどおどしているのに…容赦なくギリギリと絞めている…。
横で一緒に見ていたシルも「…大人しい奴程何考えてんのか分かんねぇな」と唾を飲み込んでいた。
その後数組回り、俺たちの番が回ってきた。
「先にどっちがいく?…うん、シルが先にしよっか。なんでそんな、え?みたいな顔してるの?自分の顔見てみなよ…目がギラギラしてるし今にも飛びかからんばかりだよ…。よし、いってらっしゃい」
ぽんっと背中を押して前に行かせるとあっという間に的をズタズタに引き裂いてOKを出されて戻ってきた。
そういえばシルって火と風って言ってたけど、あんまり火の魔法使ってるとこ見たことないなぁ。
風の方が得意なのかな?
「フェル~次いいぜ~」
「うん。行ってきます」
はぁ…魔法って楽しいけどこうやってみんなの前で攻撃したりするのすっごく緊張するんだよね…。
スーハーと深呼吸をして的を見据える。
「『グレル』」
片手を前に出し唱えると的の上にだけ固い雪の粒……雹が降り注いだ。
水の属性だと割と天候関係の魔法も使えるから重宝してる。
人形相手だから雹にしたけど、本当はあんまり使いたくない…。
だって、雹って当たると痛いんでしょう?
俺痛いのって苦手…。
「フェリチタ•リシャール…ふむ、OKだよ」
「あ、ありがとうございます!」
「…元気になって良かった。あまり無理をしないように」
「え、あ…やっぱりあの時の…」
「ふふ、それはまた授業が終わってから話そうか。それじゃあ、次」
無事にOKを貰いぺこっと頭を下げると頭に手を置かれて労りの言葉を向けられた。
ハッとした表情で尋ねればクスリと小さく笑った。
そうだった、授業中だった!
頭を下げて慌ててシルの所へと戻ると「何話してたんだ?」と首を傾げられた。
秘密、とわざと言えば口を尖らせて不満そうな顔をした。
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