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魔法学園
34步
しおりを挟むあの後数軒まわって満足したのかやっとリュカが「そろそろ帰ろうか~」と言った。
や、やっと帰れる……!!
いや勿論どこも初めてだったしとっても楽しかったんだけど、体力のない俺はキツくて途中から記憶が曖昧だ。
リュカは俺が身体が弱いなんて知らないし、俺も言うつもりないから騙し騙し遊んでいたけどやっと帰れると思った瞬間に限界がきたようだった。
ガクンッと膝が折れ咄嗟に手を地面につくと驚いたリュカが慌てて俺を自身の胸に凭せ掛ける。
「フィー!?大丈夫!?」
「うん…ごめんね…僕は大丈夫だから、早く帰ろう…?」
「何言ってるのさ!腕にも足にも力入ってない癖に!」
「でも…」
早く学園に戻らなければ寮への門が閉じられてしまう。
そう思いリュカに言えば怒られてしまった。…ごめんなさい。
「ああ、どうしよう。抱えてあげたいけどボクそんな力無いし…かと言って浮遊魔法は使えないし…」
リュカが困ったように何か言っているが本当に体力が限界に近いらしい。意識が朦朧としてきた。
…俺ってこんなに身体弱かったっけ?
そんな時「その子は大丈夫かい?」と男の人の声で話しかけられた。
う、見知らぬ人にまで無駄な心配をかけてしまった…。
申し訳なさで頭が一杯になっていたがそんな心は露知らずリュカが話始める。
「突然倒れちゃって…ボク達学園に帰りたいんですけど、運ぶ事も出来なくて…」
「なるほど。…私もその学園に少しばかり用事があってね。そこに停めてある馬車で向かう所だったんだが…君達を見つけたから急いで降りたんだよ。よければ乗っていくかい?」
「…えっと…」
「…ああ!そうだね、突然知らない輩に話しかけられても警戒されるだけだね。私はーー」
俺が聞いて覚えてる会話はそこまで。
後は朦朧とする意識の中、がっしりとした腕に抱かれてゆらゆら揺れていた事はなんとなく…。
名前、リュカに聞かないと…それを最後にプツリと記憶は途切れている。
そして、次に目を覚ましたのは真っ白な部屋。
右手があったかいなぁと思って見てみたらリュカが俺の手を握ってベッドに突っ伏すように眠っていた。
ここは…?
パチパチと何度か瞬きをして状況を把握しようとした時、閉められていたカーテンがゆっくりと開かれた。
「おや、目が覚めましたか?気分はどうですか?」
「え、と……」
「お水を飲みましょうか。ああ、僕が支えているので力は抜いて大丈夫ですよ」
「んく……ぷはっ…ありがとう、ございます……えっと、ここは?」
「ここは保健室ですよ。ふむ、顔色は幾ばくかマシになりましたね。眠いのであればまだ眠っていても構いませんが…どうしますか?」
「あ……もう、平気なので、寮に戻ります…すみません…」
カーテンを開けて現れたのはノンフレームの眼鏡をかけた長髪の男の人だった。
…男の人…だよね?物凄く綺麗な人だけど、喉仏が出てる…し、声も低い。
ああ、いや意味のない詮索はやめよう。
少しだけ会話をした後眠っていたリュカを起こして保健室を出た。
起きたリュカに泣きながら「身体が弱いなら教えてよ~!ボク死んじゃうのかと思ったんだからね~!」と揺さぶられて、白目をむきそうになった。
慌てて男の人が止めていたけど、俺は心配をかけてごめんねとリュカが泣き止むまで謝った。
揺さぶりをやめたリュカがぎゅうぎゅうと抱き締めてきてちょっと可愛かったけど言葉にするのはやめた。
あ、リュカに俺をここまで送ってくれた人の名前聞くの忘れてた!
*****
久しぶりにスマホからの投稿なので誤字脱字があるやも……。
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