死んだと思ったら生まれ変わって魔族になってたんですが…。

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魔法学園

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部屋番号を確認して、各自カードキーを受け取り部屋へと向かう。
…その前に、保護者は解散という事で父さんともここでお別れだ。
しゅん…と目に見えて落ち込む俺の頭を撫でながら父さんが言う。


「長期休暇だけじゃなくて、帰りたくなったらいつでも帰っておいで。私たちはいつでも待っているからね」
「はい、父様…。今日はありがとうございます!僕、兄様達にも負けないぐらい頑張りますっ」
「うん、いい返事だ!楽しみにしているよ。だけど無理は禁物だよ。…じゃあ、ほら。友達の所に行っておいで」


とんっと背中を押されてウィルとシルの元へと送り出してくれた。
…うぅ、寂しい…もっと一緒にいたかったよぅ…。
目にたまっている涙を零さないように笑顔を浮かべて父様に別れを告げる。
一生会えないわけじゃないもん…少しの我慢だ。

ゴシゴシと涙を拭っているとその手をパシッと止められ、そちらを見ると片方ずつウィルとシルが掴んでいた。


「あまり擦らないで。目が傷つくよ」
「俺らがいんじゃん。泣くなよ」
「ウィル…シル………うんっ!ありがとう」
「じゃ、行こうぜー。もう部屋に行ったら終わりだしついでに飯も食いに行こうぜ」
「何処にあるか分かるの?」
「大丈夫だろ。……多分」


…それはすごく心配だけど、いつかは行くんだろうし探検がてら探すのも悪くないよね。
2人は何事もなかったかのようにてくてくと歩いているが、俺は繋がれたままの手を外さないのだろうかとじっと見つめていた。
その視線に気付いたのかウィルに「どうしたの?」と首を傾げられた。ええと、2人は気付いてないのかな?そんな事ないよね!?


「えと……手は、離さないのかなぁって……思って」
「え?あぁ……俺と手を繋ぐのは、嫌?」
「そ、そんな事ないけど…」
「じゃあいいじゃん!友達なんだから手繋ぐのなんて、普通だよ。ふ・つ・う」
「…まあ、シルの言う通りだね。嫌じゃないならこのまま行こう」
「うん……」


友達で手を繋ぐのは普通なんだ。じゃあ、いっか!
疑問が解決し先程とは打って変わってにこにこと笑みを浮かべる俺にウィルとシルも笑う。
初めて出来た友達がこの2人で良かったなぁ~。

ついつい2人の手をにぎにぎと握りながらにへらと緩い笑顔を浮かべてしまう。
胸の真ん中ら辺があったかくて、本当に嬉しいんだ。

ご飯も友達と食べるなんて初めてだし、今日はドキドキしてて眠れないかもしれない!
勉強も楽しみだし、学校って楽しいなぁ!


「…フェイ、ずっと笑ってるいるね」
「本当だな。なんか嬉しい事でもあったんか?」
「2人が友達で嬉しいなぁ~って……ご、ごめんね!気持ち悪いよね…!」


確かにずっと笑ってるのって気持ち悪いよね!?
顔を隠したいけど2人共手を離してくれそうにない。
あわあわと焦っていると2人は一瞬きょとんとした後吹き出した。
…えっ?えっ?


「気持ち悪くなんかないよ。可愛いなって思って言っただけ」
「かわ…?」
「どんな勘違いしてっか知らねぇけど、フェルが気持ち悪ぃわけねーよ!天使みてーだし」
「天使…?」
「おや、奇遇だね。私もそう思うよ。天使というか…女神でもいいかな」
「あー確かにな。なんか、キラキラしてっしな」


………誰か2人がなんの話してるのか、通訳してください…。



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