30 / 52
魔法学園
25歩
しおりを挟むあんなに沢山人がいたのに、すぐに自分の順番が回ってきた。
「はい、じゃあここに手をかざしてね~」
係りの人らしき人はそう言って透明な水晶玉を指差した。
ど、ドキドキする…。
手で胸を押さえながらもう片方の手を水晶玉にかざすと、青・紫・白と色が変わりまた透明に戻った。
「もう大丈夫だよ~ステータスを見れるようになったから、あとで確認しておいてね~」
「は、はいっ」
コクコクと頷けば係りの人はニコッと笑って「次の人~」と僕の後ろに並んでいたシルを呼んだ。
青は水で紫と白はなんだろう?えへへ、姉さんと同じ属性だ~。
それが嬉しくてニコニコと笑っていたが、父さんの存在を思い出してハッと見上げる。
……何か難しい顔をしているぞ。どうしたんだろう。
「…父様?」
「……ん?どうした?」
「いえ…難しい顔をされていたので…何かあったのかなぁって」
「ふふ、なんでもないよ。さぁ、フェリチタのお友達が終わったらあちらで確認をしようね」
「…はい」
尋ねてみても父さんはパッと顔を変えて何でもないと首を振るだけだった。
俺が幼いからって誤魔化したな!むー……だめだ。精神年齢まで引っ張られる…でもなぁ。俺、学校に行った事ないし、いくら前の年齢が15歳だったからって大人な対応出来る訳でもないし………。
決めた!この俺も可愛げのある幼い子になろう!うん!そっちの方がいい気がする!
どうせなんもわかんないし、丁度いい機会だ。
「フェル、ステータスもう見たか?」
「シル!ううん、シルが来るまで待ってようねって、父様が言ったからまだだよ」
「そっか!じゃあ今から一緒に見ようぜ!」
「うんっ」
ニカッと笑って俺の手を引くシルに友達っていいなぁと思った。
みんなこうやって一緒に遊んで、学んで楽しく過ごしていくんだね……!!
「それじゃあ2人共。ステータスは心の中で言えば、自分だけ見えるからね。それじゃあ、やってみようか」
「「はーい」」
えっと…『ステータス』!
心の中で唱えればブォンという重い音と共に自分の名前や魔法の属性が表示された。
ひゃーすごい…!ハイテクだぁ…機械も何も通さず目の前にパネルが浮いてる…。
「フェル、どうだった?俺、やっぱり火と風だったぜー」
「うんとね、僕は……水と………闇と光?」
「ん?水しか聞こえなかったぜ!なんだ?」
「えっとね…」
闇と光が一緒に存在する事なんてあるんだと驚いてそこだけ小声になっていたのか、シルが耳を近づけてきたのでもう一度言おうと口を開くと「フェリチタ」と父さんに呼ばれた。
首を傾げて父さんを見れば無言で首を横に振られて、もしかしてこれ言ったらダメなやつなのかなと思い「水だけだったよ」と咄嗟に嘘をついた。
シルは納得したのかしてないのかわからないけど「ふぅん?まっいいや。後は寮に行くだけだなー」と話を変えてくれた。
……俺、闇と光より火とか土の魔法がよかったなぁ…。色々役に立ちそうだよね。キャンプとか!
ずーっと行ってみたいなって思ってたんだけど流石にこの歳じゃ無理だし…。
はぁ…楽しみな事だらけだなぁ~。
そんな風にこれからの事を考えていると父さんに耳元で「その2つは誰にも話してはいけないよ。……仲の良い、友人でもね」と囁かれた。
どうして、と思ったけど父さんの顔を見ると何も聞き返してはいけないような気がして、俺はただ黙って頷いただけだった。
…………俺、秘密とか苦手なんだけど大丈夫かな。
****
魔法の属性は水晶玉にうつった色で、わかる人にはわかりますが基本他人だと誰も覗く事は出来ません。
血の繋がっている者のみ見る事が出来ます。これは割と適当につけた設定なのであまり気にせずで大丈夫です。笑
27
お気に入りに追加
847
あなたにおすすめの小説
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?


主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
王道学園なのに、王道じゃない!!
主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。
レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる