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俺、爆誕
17歩
しおりを挟む俺の呟いた声は聞こえていないと思ったけどジョセフ様は辺りをきょろきょろと見回して俺を見つけ、驚いたように少しだけ目を見開いたがすぐに笑顔になって「こんな所で、どうしたんだい?」と尋ねてきた。
「今、たからさがしをしていたんです!…ジョセフ様はここでなにを?」
「ああ…ユスクにね、少し頼まれて。宝物は見つかったかい?」
「お父様に?…あっ!たからものは見つかりました!」
「そうか。それは良かったね。…あ、そうだ。フェリチタ…今日ここで会った事は内緒にしていてね」
「…どうして、ですか?」
父さんに頼まれてここにいるのなら、別に隠したりしなくてもいいはずだ。
意図が分からず首を傾げればジョセフ様は苦い笑みを顔に浮かべて、俺の頭を撫でながら言った。
「…最近ね、ここ周辺で魔物が現れるっていう話があってね……その調査も兼ねてこの屋敷のこの場所を借りて、調査中なんだよ。あまり公には出来ないから…確かな情報が手に入るまでは、内密にって指示なんだよね……全く、あいつは本当に人使いが荒いんだから」
呆れたように溜息を吐く姿は物凄く珍しくて俺は思わずくすくすっと小さく笑ってしまい、それを見たジョセフ様に「こら」と頬を摘まれてしまった。
「ごめんなひゃい…はなしてぇ~」
「ははは、フェリチタは本当に可愛いね。…ほら、宝探しの途中だったんだろう?もう戻りなさい」
「いたい……あ!ジョセフ様、こんどはいつ来られますか?僕、まほうのれんしゅーいっしょにしたいです!」
ペチペチとジョセフ様の手を叩けば笑いながら手を離してくれた。…まだ子供なのにひどい…。
そういえば、と頬を押さえながら思い出したようにジョセフ様に笑いかければ「そうだったね」とジョセフ様は考え始めた。
俺はわくわくと湧き上がる気持ちが抑えきれず両手を胸の高さで握りしめキラキラとした瞳を向け、返事を待つ。
だってだって!楽しみで仕方ないんだもの!
魔法の練習はジャグがいてくれるけど、やるのは俺一人だけだし…どうせなら一緒にやりたい。
「そうだね……明後日はどうだろうか?」
「僕は、だいじょうぶです!ジョセフ様がいいなら、その日にしましょう!」
「ああ、わかったよ。…それじゃあ、またね」
「はい!ジョセフ様、おきをつけて」
魔物の調査をしていると言っていたから怪我には気をつけてという意味で伝えたのだけど、ジョセフ様は何故か泣きそうな、悲しそうな顔をしていて不思議に思ったがそのままジョセフ様は何処かへ消えた。
「…おぉ……テレポーション……」
目の前で初めて見るテレポーションにパチパチと拍手をする。
…それにしても、なんであんな顔を……。
うむむ…と顎に手をやり悩んでいたらガサガサと草をかき分ける音と「フェリチタ様ー」と、俺を呼ぶジャグの声が聞こえてきたので中断した。
「…すぐ行く!」
とにかく、先程のことは誰にも内緒なのだ。
今は何も考えずまたジョセフ様に会えることを楽しみにしておこう。
そう思い直して俺はジャグの声がする方へと走り出した。
…案の定息の上がった俺を見てジャグに「病み上がりなんですから、走らないで下さい!」と怒られたけど。
急がなきゃと思ったんだもん。
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