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俺、爆誕
16歩
しおりを挟む次の日目が覚めると熱も下がり、体の調子は戻っていた。
「やったー!これでまた、まほうのれんしゅーができるー!」
「…フェリチタ様、あまり長く外には出れませんからね?」
「わかってるよー!…今日はごぜんちゅうだけ!ね?」
「っ…かしこまりました」
きっと本当はまだ休んでいてほしいんだろうけど、俺はやっぱり魔法の練習がしたいんだ!
はやる気持ちを抑えきれずジャグを外へと急かせば仕方ない、とでもいうかのように笑ってついてきた。
ジャグはね、魔法は使わないけど練習には毎回付き合ってくれるんだ。
そういえば全く記憶にないけど俺、1週間ぐらい体調崩してたらしいよ。びっくりだねー。
なのにもう動けるのかって?まあそこは…人間とは身体の作りが違うから…。
何はともあれ、元気になったから今日はいつも以上に魔法の練習頑張ります!
「さて、フェリチタ様。本日はどのような魔法を?」
「えっとね…今日は、これ!この、まほうを使って『たからさがし』がしたい!」
「ふむ……隠すものは何に致しますか?」
「これにする」
「…これは…本当によろしいのですか?」
これ、と差し出したのは以前俺が母さんに強請って買って貰った、小さなブローチ。
街へ遊びに出掛けた時に見かけて、凄く綺麗で目が離せなかった。
俺がとっても大切にしていると知っているからか、ジャグが驚いたように俺を見る。
本当は失敗したら見つからなくなっちゃうし、嫌なんだけど…本当に大切なモノじゃないと成功しないって思うし…。
「…だいじょーぶだよ。ぜーったい見つけるもん!」
「…そうですか。それでは、こちらを隠しましょうか。フェリチタ様は私がお声をかけるまで、こちらでお待ち下さいね」
「はーい」
そう言ってジャグは茂みの奥へと去って行った。
この宝探しっていうのは、なくしたものを頭に思い浮かべて探知魔法を使って探すっていうだけのシンプルなゲームなんだけど、意外と集中力と魔力を消費するらしくって、難しいんだよね。
綺麗に花を咲かせている木をぼーっと眺めていると、視界の端を何かが横切ったような気がした。
「…?今、小さい何かが…」
そちらに顔を向けるが特に何もなく首を傾げた時、戻ってきたジャグから声が掛かる。
「フェリチタ様。ご準備が整いました」
「あっありがとう。…よしっ!」
ふぅ…と息を吐いて目を閉じブローチを頭に思い浮かべ、それと同時に魔力も頭に集中させる。
「……『探知』」
小さく口に出した瞬間、頭の中でブローチまでの道なりがぶわっと一気に駆け巡り始めーー…俺はゆっくりと目を開けた。
「……あった。ジャグ、見つけた!」
「流石フェリチタ様です」
「ぼく、取りにいってくる!」
「はい。お気をつけて」
ブローチまでの距離もそう遠くはないのと、安易に外から魔物が入らないような構造になっているのでジャグは俺と一緒についてくる気配はない。
あと、多分俺が前に嫌がったからってのもある。ごめんね。
あまり走るとまた体調を崩すので歩きながらブローチを目指す。
「…もう少しとおくてもよかったと思うけど、はじめてだししかたないか」
探知が成功すればそれまでの道は示される。それに、もっと練習を重ねれば探しに行かなくとも手元に召喚する事もできる。らしい。
つくづく魔法って便利だ。
ガサガサと草をかき分けながら進んでいくと目当てのブローチがあった。
「…やっぱり、キラキラしてて綺麗…」
木の隙間から入る木漏れ日に翳して眺めていると、何処からか声が聞こえてきて気になった俺はゆっくりと近づきそちらへと顔を覗かせた。
そこには、今いるはずのない人物が立っていて俺はパチパチと瞬きを繰り返した。
「……ジョセフ、様……?」
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