死んだと思ったら生まれ変わって魔族になってたんですが…。

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俺、爆誕

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頭を撫でられる感触がして目を開けると「具合はどう?」とルシアン姉さんが心配そうに顔を覗いていた。
…気持ちいい…。


「…まだ、ちょっと…ぼーっとするけど…たぶん、だいじょぶ、だよ」
「いつもそう言って…フェリチタはすぐに無理をするのよね」
「そんなこと…」
「あるのよ。…まったく…いい?フェリチタはまだ4歳なのよ。確かに、ここでは早く力をつけなきゃいけないかもしれないけど、まだまだ幼いのよ。…だから、あまり無理しないで」
「…うん…ごめんなさい…」
「いいえ、謝らないで?…お水、飲む?」
「のむ」


いつも優しい姉さんに怒られて俺は正直めちゃくちゃ落ち込んでいる。でもそれ以上に姉さんが傷ついた表情をするから謝れば力なく首を振られた。
差し出された水を受け取りコクリと飲む。……う、物凄く喉が潤っていくのがわかる…。


「…さっきまでは、シャルル兄上とラルア…それに父上も母上もいたのよ。来客だとか、用事だとかで出て行ってしまったけれど…みんな忙しないんだから」
「そう、なんだ……えへへ、ルシアン姉様の手、きもちーからもっと、なでてほしいな…」
「うふふ。たくさん、撫でてあげるわ!…だから早く元気になって頂戴…フェリチタの元気な姿をもっと見ていたいわ」
「…ルシアン姉様と、おはなしできたから、すぐにげんきになるよ…」


まだ少しぼやける視界越しにルシアン姉さんを見てにこ、と笑みを浮かべればルシアン姉さんも笑った気がした。
どのぐらい眠っていたか分からないけど、なんだかすごくスッキリした気分だし本当にすぐに治りそうだ。
暫く経った後姉さんも用事があるとかで申し訳なさそうに部屋を出て行った。
安静にね、と言われたけどもう寝る事も難しそうだし、気持ち的には元気だからつまんないなぁ。
…どうせ誰もいないしちょっとぐらいベッド抜け出してもいいかな。


「…ふぅ…おふろはいりたい…」


汗は拭いてくれていたんだろうけどなんとなく気持ち悪い…熱もだいぶ下がったような気がするし大丈夫だよね…?

この世界のお風呂は魔石と呼ばれる魔力の込められた石を用いて使用する。
使い方は他の人の使ってるところを見たし多分いけるはず!


「えぇと…たしか、これをここに……光った!」


淡く光った石を見て思わず拍手。よかった、これで合ってたんだね。
…やっぱりお風呂って格別だぁ…。
丁度いい温度の湯に浸かりリラックスしていると、外から声が聞こえてきた。
………ジャグ?俺の事を呼んでいるみたい。


「…ジャグ……って呼んでもきづかないかぁ……せっかく入ったのに…」


上がるしかないか、とゆっくり立ち上がったと同時に浴室の扉が開かれた。


「え」
「も、ももも申し訳ございませえええええええん!!!!!」
「…あ、うん…?」


目が合ってジャグの視線が下の方へといったかと思えば凄い勢いで扉が閉まった。
…あ、そうか。お風呂入ってたから俺裸なんだっけ。…でも、4歳だよ?
確かに俺の中身はもっと上だけど、今は4歳…だよ?嘘でしょ…?


「…おふろにいるって、わかっただろうし…もうちょっとはいってようっと…」


それから数十分後に浴室から出た後鼻血を出すジャグを見てドン引きするのは、まだもう少し先。

…ジャグってやっぱり変態なんだね。





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