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俺、爆誕
12歩
しおりを挟む「フェリチタ様、お誕生日おめでとうございます」
お母様に今日は笑顔を浮かべていれば大丈夫だから、と言われ引き攣りそうになる頬を堪え挨拶にくる人達を見ていたら見たことのある人がやって来た。
「ジョセフ様!ありがとうございます」
「フェリチタ様もあと少しで学園に通う年齢になるのですね…」
「僕、とってもたのしみなんです!」
「ふふ、それは何よりです。…それでは、あまり長話すると他の方々に怒られてしまいますので…また、後日お会いしましょう」
やって来たのはお父様の友人で、俺にも優しくしてくれるジョセフさんだった。
ジョセフさんは爽やかなかっこいいおじさんで、俺もいつかはあんな風になりたい!と密かに目標にしている人である。
もっとお話したかったけど今はパーティー中だから長話は出来ないし…何より人前でいつものように話せないからすぐに去って行った。
……むぅ…仕方ないとはいえつまんない…でも慣れないといけないんだよね…。
それから何人もの人に挨拶をされて、終わる頃には俺はへとへとになっていた。
沢山の人と会ったせいかなんだかとても暑い…。それに頭がぼーっとする…。
滲んだ視界になんだ?とパチパチと目を瞬きしていた時、お母様から「よく頑張ったわね」と声をかけられた。
「…お、かあ、さま…」
「あら、フェリチタ…お顔が赤いわよ…?」
「…なんだか、あつ…くて…」
「アリス。急いで医者を呼んで頂戴。ジャグ!フェリチタをすぐに部屋に連れて行って」
「かしこまりました。…フェリチタ様、失礼致します」
「ぅ…?」
俺の異変に気付いたお母様がすぐに指示を出して、俺は近くに控えていたジャグに抱き上げられたところで俺の意識は途切れた。
…やっぱり身体が弱いままだったなぁ。最近は倒れる事も少なくなってたから油断してたや…。
**
「…ぅ…っ…あつ、い…」
「フェリチタ様!?まだ起き上がらないで下さい…!」
俺はあまりの暑さに目を覚ましはぁはぁと熱い息を吐きながらゆっくりと起き上がると、俺のお世話をしてくれていたであろう侍女さんが慌てて俺をまたベッドへと戻した。
……ええと、ええと……ダメだ、全く頭が使い物にならない…。
「物凄く熱が高いので、少しでも下がるまでは絶対安静だそうです」
「……みんな、は…」
「皆様フェリチタ様の事を心配されておりましたよ。ただ、あまり長くお側にいることは出来ないので……あぁ、ゆっくりで大丈夫ですよ」
「んく…っ…あり、がとう…」
俺の質問に答えながらもテキパキと働き少しずつ水を飲ませてくれた。
上手く飲めなくてちょっと零しちゃったけど…。
…さっきよりはマシになったかな…気のせいかな…。
「後で皆様来られると思いますが、今はゆっくりと治す事だけをお考え下さいね」
「ぅ、ん…」
「さあ、少しお休みになりましょう。きっとまた目が覚めた頃には元気になっておりますよ」
おでこにのっているタオルを新しいものに替えて侍女さんは優しく微笑んだ。
……あぁ…そうだ…この人の名前、思い出した。
「…ルネ…あり、がと…」
「はい…おやすみなさいませ」
柔らかいルネの声を最後に俺はまた意識を深い底へと沈めた。
早く元気になりたいなぁ…。そしたら、もっと魔法の練習をするんだ。
…それで、もうこんな風に迷惑をかけないようにするの。
***
病気がちな自分がすごく嫌いで、前世の事含め迷惑ばかりかけている存在という認識のフェリチタ。
この子は死ぬまで病弱なままですが諦める事はありません。強い子。
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