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俺、爆誕
10.5歩 Side:ジャグ
しおりを挟む…生きていたって、ロクなことがない。
俺のせいで親は死んだし、俺のせいで住んでいた村がなくなった。
全部俺のせい。
こんな俺が生きていて何になるのだろうか。
何もかもが嫌になって自暴自棄になっていた。
そんな時に出会ったのが同期で俺の友人であるアンドレで。
「お前強いんだな」
ひたすら狩りをしていた俺を見てただ一言。
俺はなんだこいつ…と相手にすらしていなかったが、俺を見かける度に話しかけてくるアンドレに思わず「しつこいな」と反応をしてしまった。
それに気を良くしたアンドレに突然「俺と一緒にここで働かないか?」と持ちかけられたのが、今俺が働いているリシャール家の騎士職だった。
…どうせ死ぬなら、誰かを守って死んでもいいか。
そう思った俺はその話に乗り、そしてリシャール家へと入り当主様方の優しさに触れ…アンドレに「笑うようになってよかったぜ」と冷やかされる日々だった。
ある日奥様のご懐妊が発覚し家中がパーティーのように賑やかになった。
……この暖かな人たちを、俺は生涯守っていけたらいいな。
そう思っていたのは、今俺がお守りしているフェリチタ様が産まれるまでだった。
フェリチタ様がお産まれになり、当主と奥様に拝謁した際の出来事である。
きっと俺を見たからではないだろうが、フェリチタ様がこちらを見て笑ったのだ。
…笑うフェリチタ様を見た瞬間己の身体に落雷が起きたかのような衝撃。
そうか…俺は……この天使をお守りするために、この家で働いていたのか…。
これは運命だ。そうに違いない。
それからは事あるごとにフェリチタ様に会いに行きーー勿論、許可を得た上で、だーーその熱意(?)が伝わったのか、当主様に「…フェリチタの事を頼むよ」と微笑まれた。
緩みそうになる顔をなんとか抑え「この命に代えてもお守り致します」と答えた。
フェリチタ様の幸せが、私の幸せ。
貴方が笑っていられるのならば私はいくらでも盾になりましょう。
だから…こんな私のこと等気にせずフェリチタ様の幸せを見つけて欲しい。
私の魔法を見て見たいと言ったフェリチタ様のご期待に沿えず、申し訳ございません。
まだ、心の整理がついていない今魔法なんかを使いたくなくて…いいですよ、と言えなかった。
「…弱っちいなぁ…」
ボソリと呟いた声に気付いたのか前を歩いていたフェリチタ様が振り返って「どうしたの?」と顔を覗き込んできた。
…本当に、敵わないな。
にこりと笑みを貼り付けていつもの調子で
「なんでもないですよ。よそ見して歩いていると、危ないのでちゃんと前を見て下さいね」
といえば子供扱い(実際子供なのだけれど)されたことが気に障ったのか頬を膨らませてジロリと睨まれた。
…そういうところがかわいくて仕方ない。
ぷいっとそぼっぽを向いて歩き出したフェリチタ様を追いかけながら俺は緩む顔をどうにか抑えようと奮闘していた。
***
ジャグはフェリチタ大好きですが、自分とどうこうなってほしいとかではないです。
LOVEの好きですが身分の違いもあって諦めてる感じですね。多分。
追記
お気に入り100超えありがとうございます!
執筆が遅すぎて1話ずつしか更新出来ず、申し訳ございません…。
もう少し話が進んだら番外編でも書こうかなと思います。
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