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俺、爆誕
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兄弟は皆、学校に行っていて俺は特にすることもなく手持ち無沙汰だった。
…おもちゃでずっと遊ぶのもちょっと、もうしんどい。今まで頑張ったけど、流石に。
というわけで、家にある図書室に来てみた。家に図書室があるってすごくない?
俺は猛烈に感動した。だって今までベッドから殆ど動けなくて本を読む事しかしてこなかったし、本が大好きだから……!!
それにわくわくしている。
何故なら、魔導書があるから!
文字の勉強にもなるだろうし、時間が目一杯使える今、学ばない道はないよね。
鼻歌でも歌い出しそうな雰囲気の俺に、使用人達は微笑ましそうな目で「行ってらっしゃいませ」と見送ってくれた。
…うぐ、恥ずかしい。
**
「ふおぉ…ここが…」
ずらりと並ぶ本、本、本。
自ずと上がるテンションに駆け出しそうになる体を必死に食い止める。
お、落ち着け…落ち着くんだ俺。
ふぅ…と息を吐いて手近な所から漁ってみることにした。
ふむふむ、ここは日常的な魔法の呪文が書かれているのか。なになに…?
「…へぇ、まほうってべんりだなぁ……」
火、水、木、光、闇…属性はたくさんあるんだね。
日常魔法から…攻撃、防御……攻撃と防御は適正があって、誰にでも使えるわけじゃないんだね。
俺は何が使えるんだろう。
「…こんどやってみようかな」
パタリ、とその本を閉じて別の本を開いては閉じてを繰り返す。
これと、これと…これ!部屋に持ち帰ってちゃんと勉強しよう!
ちょっと重い、けど、なんとか…!…とよたよた歩いていればスッと本の束を取られる。
あれ?とそちらを見れば鎧をまとった男がこちらを見下ろしていた。
「…ジャグ…そ、それおもいでしょ?」
「いいえ」
「でも…」
「大丈夫です。こちらは、お部屋まで運べばよろしいですか?」
「…ん、ありがとう」
コクリと頷いた俺の隣をゆっくり歩いて本を運んでくれているこの男は、この家専属の騎士でジャグという名前だ。
何故か俺に対してすごく…すごーーーーーく過保護で、俺に何かある度に文字通り飛んでくる。比喩ではなく、本当に飛んでくる。
…前までは俺がどこかに行こうとすると抱え上げてきてたけど、一度本気で拒んだら抱え上げはしなくなった。
だってこの歳…まぁまだ3歳だけど。俺の精神年齢的に、きついものがある。勘弁してほしい。
それに、せっかく歩けるようになったのだから、歩きたいというのが本音。
ジャグは、鎧を脱いだところをあまり人に見せない。
…暑くはないのだろうか。
ああでももしかしたら熱がこもらない構造になってるのかも。なんか、なんでもアリな気がするもんこの世界。
「…ジャグ、ここまでで、いいよ」
「しかし…」
「ぼく、ジャグのおしごと、あんまりじゃましたくない」
「フェリチタ様…」
だってジャグの仕事ってこの家守ることでしょ?俺のお守りじゃないよね!?
そう思って言ったんだけど、何故か感動したような表情(なきがする)で俺の前に跪いた。
…え?
「フェリチタ様…なんと慈悲深いお方なのでしょうか。私は貴方様をお守りすると誓ったあの日、あの時から貴方だけを…」
…ええと、この人は何言ってるんだろう?疲れが出ちゃったのかなぁ。
んーーっと。
「…よくわかんない、けど…よしよししたげるね」
鎧があるし直接はさわれないけど、ま、こういうのは気持ちだよね。
よしよしと鎧の上をなでればひんやりとした冷たさが手に伝わってくる。ふへ、冷たい。
にへらと笑ったその瞬間、俺の体が浮かんで…ジャグが抱き上げただけだった。
突然どうしたんだろう…疲れたなら俺が父上にお休みにしてくださいって言うのに。
ぽふん、とベッドに降ろされてきょとんとした顔のままジャグを見上げればそこには美丈夫がいた。
…誰だ。
…おもちゃでずっと遊ぶのもちょっと、もうしんどい。今まで頑張ったけど、流石に。
というわけで、家にある図書室に来てみた。家に図書室があるってすごくない?
俺は猛烈に感動した。だって今までベッドから殆ど動けなくて本を読む事しかしてこなかったし、本が大好きだから……!!
それにわくわくしている。
何故なら、魔導書があるから!
文字の勉強にもなるだろうし、時間が目一杯使える今、学ばない道はないよね。
鼻歌でも歌い出しそうな雰囲気の俺に、使用人達は微笑ましそうな目で「行ってらっしゃいませ」と見送ってくれた。
…うぐ、恥ずかしい。
**
「ふおぉ…ここが…」
ずらりと並ぶ本、本、本。
自ずと上がるテンションに駆け出しそうになる体を必死に食い止める。
お、落ち着け…落ち着くんだ俺。
ふぅ…と息を吐いて手近な所から漁ってみることにした。
ふむふむ、ここは日常的な魔法の呪文が書かれているのか。なになに…?
「…へぇ、まほうってべんりだなぁ……」
火、水、木、光、闇…属性はたくさんあるんだね。
日常魔法から…攻撃、防御……攻撃と防御は適正があって、誰にでも使えるわけじゃないんだね。
俺は何が使えるんだろう。
「…こんどやってみようかな」
パタリ、とその本を閉じて別の本を開いては閉じてを繰り返す。
これと、これと…これ!部屋に持ち帰ってちゃんと勉強しよう!
ちょっと重い、けど、なんとか…!…とよたよた歩いていればスッと本の束を取られる。
あれ?とそちらを見れば鎧をまとった男がこちらを見下ろしていた。
「…ジャグ…そ、それおもいでしょ?」
「いいえ」
「でも…」
「大丈夫です。こちらは、お部屋まで運べばよろしいですか?」
「…ん、ありがとう」
コクリと頷いた俺の隣をゆっくり歩いて本を運んでくれているこの男は、この家専属の騎士でジャグという名前だ。
何故か俺に対してすごく…すごーーーーーく過保護で、俺に何かある度に文字通り飛んでくる。比喩ではなく、本当に飛んでくる。
…前までは俺がどこかに行こうとすると抱え上げてきてたけど、一度本気で拒んだら抱え上げはしなくなった。
だってこの歳…まぁまだ3歳だけど。俺の精神年齢的に、きついものがある。勘弁してほしい。
それに、せっかく歩けるようになったのだから、歩きたいというのが本音。
ジャグは、鎧を脱いだところをあまり人に見せない。
…暑くはないのだろうか。
ああでももしかしたら熱がこもらない構造になってるのかも。なんか、なんでもアリな気がするもんこの世界。
「…ジャグ、ここまでで、いいよ」
「しかし…」
「ぼく、ジャグのおしごと、あんまりじゃましたくない」
「フェリチタ様…」
だってジャグの仕事ってこの家守ることでしょ?俺のお守りじゃないよね!?
そう思って言ったんだけど、何故か感動したような表情(なきがする)で俺の前に跪いた。
…え?
「フェリチタ様…なんと慈悲深いお方なのでしょうか。私は貴方様をお守りすると誓ったあの日、あの時から貴方だけを…」
…ええと、この人は何言ってるんだろう?疲れが出ちゃったのかなぁ。
んーーっと。
「…よくわかんない、けど…よしよししたげるね」
鎧があるし直接はさわれないけど、ま、こういうのは気持ちだよね。
よしよしと鎧の上をなでればひんやりとした冷たさが手に伝わってくる。ふへ、冷たい。
にへらと笑ったその瞬間、俺の体が浮かんで…ジャグが抱き上げただけだった。
突然どうしたんだろう…疲れたなら俺が父上にお休みにしてくださいって言うのに。
ぽふん、とベッドに降ろされてきょとんとした顔のままジャグを見上げればそこには美丈夫がいた。
…誰だ。
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