18 / 21
彼方ルート2
しおりを挟む
明くる日、僕は休学申請を取り消し友人に「心配したんだぞ!」と言われながら大学にまた通い始めた。
…彼方とはまだ会っていない。まだ自分の中の気持ちが整理出来てないなんて言い訳をしている。
どうせ結果はわかっているのに、先延ばしにしているだけだってわかっているのに…。
溜息を吐きそうになったがそれを飲み込んだ時友人が「そういえば」と口を開いた。
「彼方に連絡したか?」
「…えっと、まだしてなくて…」
「まじか。早くしてやれよー。あいつなんか、ボロボロになってたから…お前ら仲良かったみたいだし相当こたえてんぞ、あれは」
ボロボロに…?…なってたとしても、多分それは僕がいなくなったからじゃないと思うんだけどなぁ…。
うん、と笑って返したはいいけど正直連絡先も知らないし…友人に聞くのもな。
…それに、僕が大学にいる事知ってると思うんだよね。でも来ないし……うん。まあ、そういう事だよね。
「……やっぱ、何にも変わってない…ダメダメだ…」
誰もいない図書館の机に伏せながら呟けばガラリと扉が開いて誰かが入ってきたらしかった。
…僕には関係ないし、寝たふりしてよう。すぐに出て行くだろう。そう思っていたのに、入ってきた人物は出て行かず僕の隣に腰掛けた。
………え、えぇ…気まずい…。なんでここに…。
今更起きて席を立つのもどうかと思って、早く出て行かないかなぁと祈っていたらふと僕の手を包む温もりに気付いた。……なんで僕手を握られてるの。
どうする事も出来ずただただ困っているとその人物が僕の名前を呼んだ。
「……大和」
……なん、で…なんで彼方がここにいるの?なんで僕の手なんて握ってるの?
ぐるぐると色んな疑問が僕の頭の中を駆け巡るがその答えを持っているはずの人物はそれきり、暫く何も喋らなかった。
…彼方とはまだ会っていない。まだ自分の中の気持ちが整理出来てないなんて言い訳をしている。
どうせ結果はわかっているのに、先延ばしにしているだけだってわかっているのに…。
溜息を吐きそうになったがそれを飲み込んだ時友人が「そういえば」と口を開いた。
「彼方に連絡したか?」
「…えっと、まだしてなくて…」
「まじか。早くしてやれよー。あいつなんか、ボロボロになってたから…お前ら仲良かったみたいだし相当こたえてんぞ、あれは」
ボロボロに…?…なってたとしても、多分それは僕がいなくなったからじゃないと思うんだけどなぁ…。
うん、と笑って返したはいいけど正直連絡先も知らないし…友人に聞くのもな。
…それに、僕が大学にいる事知ってると思うんだよね。でも来ないし……うん。まあ、そういう事だよね。
「……やっぱ、何にも変わってない…ダメダメだ…」
誰もいない図書館の机に伏せながら呟けばガラリと扉が開いて誰かが入ってきたらしかった。
…僕には関係ないし、寝たふりしてよう。すぐに出て行くだろう。そう思っていたのに、入ってきた人物は出て行かず僕の隣に腰掛けた。
………え、えぇ…気まずい…。なんでここに…。
今更起きて席を立つのもどうかと思って、早く出て行かないかなぁと祈っていたらふと僕の手を包む温もりに気付いた。……なんで僕手を握られてるの。
どうする事も出来ずただただ困っているとその人物が僕の名前を呼んだ。
「……大和」
……なん、で…なんで彼方がここにいるの?なんで僕の手なんて握ってるの?
ぐるぐると色んな疑問が僕の頭の中を駆け巡るがその答えを持っているはずの人物はそれきり、暫く何も喋らなかった。
144
お気に入りに追加
252
あなたにおすすめの小説

末っ子王子は婚約者の愛を信じられない。
めちゅう
BL
末っ子王子のフランは兄であるカイゼンとその伴侶であるトーマの結婚式で涙を流すトーマ付きの騎士アズランを目にする。密かに慕っていたアズランがトーマに失恋したと思いー。
お読みくださりありがとうございます。

捨てられオメガの幸せは
ホロロン
BL
家族に愛されていると思っていたが実はそうではない事実を知ってもなお家族と仲良くしたいがためにずっと好きだった人と喧嘩別れしてしまった。
幸せになれると思ったのに…番になる前に捨てられて行き場をなくした時に会ったのは、あの大好きな彼だった。

本当に悪役なんですか?
メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。
状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて…
ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。


キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる