偽物の僕は本物にはなれない。

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彼方ルート2

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明くる日、僕は休学申請を取り消し友人に「心配したんだぞ!」と言われながら大学にまた通い始めた。
…彼方とはまだ会っていない。まだ自分の中の気持ちが整理出来てないなんて言い訳をしている。
どうせ結果はわかっているのに、先延ばしにしているだけだってわかっているのに…。
溜息を吐きそうになったがそれを飲み込んだ時友人が「そういえば」と口を開いた。

「彼方に連絡したか?」
「…えっと、まだしてなくて…」
「まじか。早くしてやれよー。あいつなんか、ボロボロになってたから…お前ら仲良かったみたいだし相当こたえてんぞ、あれは」

ボロボロに…?…なってたとしても、多分それは僕がいなくなったからじゃないと思うんだけどなぁ…。
うん、と笑って返したはいいけど正直連絡先も知らないし…友人に聞くのもな。
…それに、僕が大学にいる事知ってると思うんだよね。でも来ないし……うん。まあ、そういう事だよね。

「……やっぱ、何にも変わってない…ダメダメだ…」

誰もいない図書館の机に伏せながら呟けばガラリと扉が開いて誰かが入ってきたらしかった。
…僕には関係ないし、寝たふりしてよう。すぐに出て行くだろう。そう思っていたのに、入ってきた人物は出て行かず僕の隣に腰掛けた。

………え、えぇ…気まずい…。なんでここに…。

今更起きて席を立つのもどうかと思って、早く出て行かないかなぁと祈っていたらふと僕の手を包む温もりに気付いた。……なんで僕手を握られてるの。
どうする事も出来ずただただ困っているとその人物が僕の名前を呼んだ。

「……大和」

……なん、で…なんで彼方がここにいるの?なんで僕の手なんて握ってるの?
ぐるぐると色んな疑問が僕の頭の中を駆け巡るがその答えを持っているはずの人物はそれきり、暫く何も喋らなかった。
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