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そして、今。
身体の汚れを落として、ベッドに2人で潜り込む。
彼方はいつも僕に腕枕をしてから眠りにつく。
…こうやって彼方の腕の中で寝るのも最後かな。
そう思うと寝付けなくて、気が付いたら彼方の寝息が聞こえてきた。
「…彼方、寝た…?」
恐る恐る尋ねても何も反応は返ってこない。…よかった、寝てる。
僕を抱き締める腕をそっと退けて僕はベッドから這い出ると、彼方の部屋にある僕の私物を処理するために部屋中を片付けてまわった。
僕の痕跡なんて残してたら、いつまでも水無月さんを呼べないよね。彼方に片付けてもらうなんて、嫌だし。
大きな音を立てないようにそっと片付けを始め、終わる頃には時計の針は夜中の3時を示していた。
「…うん、もう、ないはず」
そう思いぐるっと辺りを見渡すと今までは気付かなかったけど、僕と彼方が笑って写っている写真が飾ってあった。
…これも捨ててしまおう。
自分の気持ちと一緒に。
ビリっと破いてゴミ袋に突っ込む。
いらないものは、捨てて…服とかはちゃんと、持って帰ろう。
お揃いの物はどうしたらいいんだろう…ああ、この指輪も捨てなくちゃ…。
…そういえば彼方はいつもつけていたよね?
あれ、でも…水無月さんと会って……いや、外してたのか。つけたまま会う訳ないね。
さっき見たときついていたからびっくりしたけど、そんなバカやる訳なかった。彼方がつけているものも、外さないと。
僕の痕跡を全て消し、最後に彼方の元へと足を向ける。
…子供みたいな寝顔だなぁ。
サラリと額にかかる前髪を横に流すと、微かに身動ぐ身体。
起こしちゃった?と顔を覗くが、すぐに寝息が聞こえてきてホッと息をつく。
身体の汚れを落として、ベッドに2人で潜り込む。
彼方はいつも僕に腕枕をしてから眠りにつく。
…こうやって彼方の腕の中で寝るのも最後かな。
そう思うと寝付けなくて、気が付いたら彼方の寝息が聞こえてきた。
「…彼方、寝た…?」
恐る恐る尋ねても何も反応は返ってこない。…よかった、寝てる。
僕を抱き締める腕をそっと退けて僕はベッドから這い出ると、彼方の部屋にある僕の私物を処理するために部屋中を片付けてまわった。
僕の痕跡なんて残してたら、いつまでも水無月さんを呼べないよね。彼方に片付けてもらうなんて、嫌だし。
大きな音を立てないようにそっと片付けを始め、終わる頃には時計の針は夜中の3時を示していた。
「…うん、もう、ないはず」
そう思いぐるっと辺りを見渡すと今までは気付かなかったけど、僕と彼方が笑って写っている写真が飾ってあった。
…これも捨ててしまおう。
自分の気持ちと一緒に。
ビリっと破いてゴミ袋に突っ込む。
いらないものは、捨てて…服とかはちゃんと、持って帰ろう。
お揃いの物はどうしたらいいんだろう…ああ、この指輪も捨てなくちゃ…。
…そういえば彼方はいつもつけていたよね?
あれ、でも…水無月さんと会って……いや、外してたのか。つけたまま会う訳ないね。
さっき見たときついていたからびっくりしたけど、そんなバカやる訳なかった。彼方がつけているものも、外さないと。
僕の痕跡を全て消し、最後に彼方の元へと足を向ける。
…子供みたいな寝顔だなぁ。
サラリと額にかかる前髪を横に流すと、微かに身動ぐ身体。
起こしちゃった?と顔を覗くが、すぐに寝息が聞こえてきてホッと息をつく。
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