偽物の僕は本物にはなれない。

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「誰って、聞いてる」
「…この人は服部さんって言って…最近仲良くなった人だよ」
「最近…?ってことは、こいつが…」
「ちょっ…変な事言わないでよ?本当に、仲良くなっただけなんだから」

それに彼方に伝えてる好きな人でもあるし、変に誤爆されても困る。嘘だし。
小声でやり取りをしていると僕達を見ていた奏多さんが「もういいかな?彼は俺と約束をしているんだけど」と言った。

「ご、ごめんなさい、奏多さん……ね、もういいでしょ?また今度遊ぶから…」
「……?」

ハッとしたように彼方は僕を見たけど僕はもうこれ以上ここに居たくなかった。
ねえ、どうしてここに来たの?ーーー…水無月さんを連れて。

「…ほら、水無月さんが困ってるから。僕には構わなくていいから……ばいばい」

彼方から何か返ってくることが怖くて僕は腕を振り払い奏多さんの車に乗り込んだ。
呆然としている彼方を大丈夫かな、と見ていたら水無月さんがスルリと腕を彼方の腕に回していて。
それを彼方は振り払う様子もなかった。

それを見て僕は。
そっか、上手くいったのか。なんて一人で思っていた。
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