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しおりを挟む「……なんか、今、すっげームカついた」
「え、なんで?俺何かした?」
「……親友くんじゃなくて、親友くんの親友に」
「……何か、言ってたの?」
優しく笑みを浮かべて俺を見る親友くんの手を握って口を開く。
「いい加減、気持ちに向き合えって」
「ずっと、そばに居てくれてありがとう」
「あいつのこと全然吹っ切れなかった俺のこと、見守って、支えてくれてすごく心強かった、です」
いつの日だったか、あいつに聞かれたことがある。
『俺が死んだらどうする』って。
その時は、死ぬ訳ないって、こいつが俺のそばから居なくなるなんてあり得ないって思ってたから「恋人つくる」なんてかわいくないこと言っちゃって。
なのにあいつは拗ねたような反応をしながら、どこか安心したように見えた。
なんなんだよ、って思った。
なんで、安心したんだよって。
数ヶ月後、あいつは死んだ。
末期癌、だったらしい。
そんなそぶり全く見せなかったのに、その会話をした翌日からあいつの体調はどんどん悪化していって…そこからはもう、あんまり覚えてない。
大好きなあいつの笑顔が段々見れなくなって、苦しかった。
だけど、最期の日あいつは笑った。幸せそうに。
もう息をするのもキツいはずなのに笑って、俺の手を握って逝った。
全然立ち直れなくて、空っぽになった気がして何もかも嫌になって。
そしたらあいつの親友くんが俺の手を取ったんだ。
「あいつに頼まれたから、来たよ」ってさ。
あいつ、本当に頼んでたんだってすっごい可笑しく思えてきて。
あいつが死んでから初めて笑った。泣きながら、笑った。
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