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番外編 学園祭の話3
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そして学園祭当日。
オレはあの大変な衣装を着てメイク道具片手にニコニコと笑っている生徒を前に、駄々をこねていた。
「いーやーだー!!」
「嫌って言ってもやめませーん。ほら、大人しくして」
「うぅ……あくまぁっ!人でなしぃっ!!」
「涙目で睨まれても怖くないし、僕以外にやったらすぐ襲われちゃうよ」
こんな180cm男を襲う人間なんています!?喧嘩なら負けませんけど!?
いくら文句言っても生徒は諦めないし時間もないしでオレは泣く泣くメイクを施された。
…オレ、この学園に来てから2回もメイクされてるんだけどォ…。うぅ…。
「よし、完成!我ながら最高傑作。元がいいと何しても完璧になるから助かる~」
「…それは褒めてくれてるの?もう、やだぁ…」
「あっ泣かないでね!?ほら、君の大好きな彼氏に見せてきなよ」
「なんかバカにされてる!?…んもう……瑛ちゃんありがとー」
「あははっ!顔と言葉が合ってないよ!いいから行ってきなって」
ひらひらと手を振られてオレは先に準備が終わっているであろう直也の元へと歩みを進めた。
…直也に癒してもらおう…。
ガラッと直也のいる教室の扉を開けキョロキョロと探せばすぐに探し人は見つかった。
ぱぁっと顔が明るくなるのを感じる。「直也ー!」と小走りで近寄ればオレを見た直也が目を見開いたまま固まっていた。
「…直也?」
「え、あ、……いや……」
「オレ色々いじられちゃってさぁー!変じゃなぁい?」
「へ、んじゃ…ない………すげーかわいい…」
「へ」
直也は顔を真っ赤にして口を押さえながら小さかったけれどそう言ってくれた。
オレはもうそれだけ機嫌なんてすぐ直っちゃうし、有頂天になっちゃう!!!
喜びのあまりオレは直也に抱きついて「直也もすっげーかっこいい」と耳元で囁く。
まだ本番前だからなのか首元が緩められているのを見てオレはピコーンと閃いた。
今のオレは吸血鬼だもんね。
直也の晒されている首元にカプリと噛み付けばびくっと直也の身体が跳ねた。
んふふ、いつもの仕返しだよ。
「ちょ、智充…っ…」
「きゅーけつひだもんっ…」
「だめ、だって…!」
「なーんーでー!」
バリッと直也に引き剥がされてオレは口を尖らせて見るとはーはーと息を上らせた直也と目があった。
…おっと。
そこでオレはやらかしてしまったことを悟った。
そして直也に耳元で囁かれたのだ。
「ーー夜、覚悟しておけよ」
「は、はひ…」
明日は一日ベッドコースかなぁ…。
****
「いらっしゃいませ」
そう言って入って来たお客さんをエスコートすればキャイキャイと女の子の黄色い声が聞こえてくる。
オレの普段の喋り方はダメって言われたから間延びしない喋り方にしてるんだけど、結構疲れる~。
でもまあ、それはいいんだけどね。オレが一番嫌なのはさ…。
「あのぉ~写真撮ってくださぁい」
「あー……お嬢様の生き血と引き換えになりますが、宜しいですね?」
「キャーーーーッ!!!わ、私の血でよければ…!!」
「ふふ、ではこちらに」
こ・れ・で・す。
なにこのセリフ。需要あるの?
ま、血なんて飲まないしノーセンキューである。
実際はブースに行って撮るだけだ。しかも金がかかる。なんで人気なのかさっぱり。
喜んで帰っていくお客さんを見送ってオレは盛大なため息を吐く。
休憩までにオレ死んじゃいそう…。
「大丈夫か?」
「っなおやぁ……うん。あとちょっとだもんね。頑張る」
「ふ、そうか。無理はするなよ」
「直也もね?…あんまり、女の子に近寄っちゃ、やだよぅ…」
「ああ、わかってる。でも智充もだぞ?」
ぽん、とオレの頭に手を置いて覗き込んでくる直也にオレは笑みを浮かべてガッツポーズをすれば少し笑ってくれた。
直也の裾をきゅっと握り上目に見つめれば甘い笑顔で応えてくれる。そしてオレの頬を両手で挟んで言われてオレは首を傾げた。
別にオレは女の子に近寄ってなんかないけど…。
「…女だけじゃなくて、男もだからな」
「あはは、直也の気にしすぎだよ。…ん、でも気をつける」
「そうしてくれ。…じゃあ、後少し頑張ろうな」
「はーい、そこのお2人さん。いちゃつくのは後でにしてねー」
休憩に入るまで何度かこんなやりとりがあったけど、何故かお客さん(特に女の子)にも人気でパフォーマンスのようになっていた。
****
くっ。終わらなかった!
オレはあの大変な衣装を着てメイク道具片手にニコニコと笑っている生徒を前に、駄々をこねていた。
「いーやーだー!!」
「嫌って言ってもやめませーん。ほら、大人しくして」
「うぅ……あくまぁっ!人でなしぃっ!!」
「涙目で睨まれても怖くないし、僕以外にやったらすぐ襲われちゃうよ」
こんな180cm男を襲う人間なんています!?喧嘩なら負けませんけど!?
いくら文句言っても生徒は諦めないし時間もないしでオレは泣く泣くメイクを施された。
…オレ、この学園に来てから2回もメイクされてるんだけどォ…。うぅ…。
「よし、完成!我ながら最高傑作。元がいいと何しても完璧になるから助かる~」
「…それは褒めてくれてるの?もう、やだぁ…」
「あっ泣かないでね!?ほら、君の大好きな彼氏に見せてきなよ」
「なんかバカにされてる!?…んもう……瑛ちゃんありがとー」
「あははっ!顔と言葉が合ってないよ!いいから行ってきなって」
ひらひらと手を振られてオレは先に準備が終わっているであろう直也の元へと歩みを進めた。
…直也に癒してもらおう…。
ガラッと直也のいる教室の扉を開けキョロキョロと探せばすぐに探し人は見つかった。
ぱぁっと顔が明るくなるのを感じる。「直也ー!」と小走りで近寄ればオレを見た直也が目を見開いたまま固まっていた。
「…直也?」
「え、あ、……いや……」
「オレ色々いじられちゃってさぁー!変じゃなぁい?」
「へ、んじゃ…ない………すげーかわいい…」
「へ」
直也は顔を真っ赤にして口を押さえながら小さかったけれどそう言ってくれた。
オレはもうそれだけ機嫌なんてすぐ直っちゃうし、有頂天になっちゃう!!!
喜びのあまりオレは直也に抱きついて「直也もすっげーかっこいい」と耳元で囁く。
まだ本番前だからなのか首元が緩められているのを見てオレはピコーンと閃いた。
今のオレは吸血鬼だもんね。
直也の晒されている首元にカプリと噛み付けばびくっと直也の身体が跳ねた。
んふふ、いつもの仕返しだよ。
「ちょ、智充…っ…」
「きゅーけつひだもんっ…」
「だめ、だって…!」
「なーんーでー!」
バリッと直也に引き剥がされてオレは口を尖らせて見るとはーはーと息を上らせた直也と目があった。
…おっと。
そこでオレはやらかしてしまったことを悟った。
そして直也に耳元で囁かれたのだ。
「ーー夜、覚悟しておけよ」
「は、はひ…」
明日は一日ベッドコースかなぁ…。
****
「いらっしゃいませ」
そう言って入って来たお客さんをエスコートすればキャイキャイと女の子の黄色い声が聞こえてくる。
オレの普段の喋り方はダメって言われたから間延びしない喋り方にしてるんだけど、結構疲れる~。
でもまあ、それはいいんだけどね。オレが一番嫌なのはさ…。
「あのぉ~写真撮ってくださぁい」
「あー……お嬢様の生き血と引き換えになりますが、宜しいですね?」
「キャーーーーッ!!!わ、私の血でよければ…!!」
「ふふ、ではこちらに」
こ・れ・で・す。
なにこのセリフ。需要あるの?
ま、血なんて飲まないしノーセンキューである。
実際はブースに行って撮るだけだ。しかも金がかかる。なんで人気なのかさっぱり。
喜んで帰っていくお客さんを見送ってオレは盛大なため息を吐く。
休憩までにオレ死んじゃいそう…。
「大丈夫か?」
「っなおやぁ……うん。あとちょっとだもんね。頑張る」
「ふ、そうか。無理はするなよ」
「直也もね?…あんまり、女の子に近寄っちゃ、やだよぅ…」
「ああ、わかってる。でも智充もだぞ?」
ぽん、とオレの頭に手を置いて覗き込んでくる直也にオレは笑みを浮かべてガッツポーズをすれば少し笑ってくれた。
直也の裾をきゅっと握り上目に見つめれば甘い笑顔で応えてくれる。そしてオレの頬を両手で挟んで言われてオレは首を傾げた。
別にオレは女の子に近寄ってなんかないけど…。
「…女だけじゃなくて、男もだからな」
「あはは、直也の気にしすぎだよ。…ん、でも気をつける」
「そうしてくれ。…じゃあ、後少し頑張ろうな」
「はーい、そこのお2人さん。いちゃつくのは後でにしてねー」
休憩に入るまで何度かこんなやりとりがあったけど、何故かお客さん(特に女の子)にも人気でパフォーマンスのようになっていた。
****
くっ。終わらなかった!
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