上 下
4 / 76

オレ、形から入る。

しおりを挟む
そしてやってきた転校初日。
…なんて省略してっけどあの後めっちゃくちゃ大変だったんだぜ。
主に形から入るための準備が。ま、でも間に合ったし完璧だ。
学校では完璧な真面目ちゃんを演じてやるんだ。勉強もまあ頑張ったおかけで寮も一人部屋だし、部屋でしか息抜き出来ねぇけど。
マイマザーがオレが寮に入るの最後まで反対してたからそんなに寂しいのかと思ったらオレが一人で生活出来る気がしないって、オレにしつれーじゃねー?
確かに料理なんてしたことねーけど、なんとかなるだろ。多分。知らんけど。

てかこの学校広すぎん?
職員室ってどこだよ。

職員室と書かれた部屋を目指して廊下を歩くもそれらしき部屋が見当たらずうろうろと校舎内を練り歩く。

「お、第一村人はっけーん」

やっとこさ生徒を発見し、とことこと近付いて「すみませーん」と声をかけた。
相手は初めて見るオレを怪訝そうに見たが「…なんだ」と話を聞いてくれる辺り多分いい奴。

「職員室ってどこですか?」

「…この道を真っ直ぐ歩いて行けば着く」

「なんだ、近かったのか…ありがとうございます」

諦めずに歩けばよかったぜ。
ぺこっと頭を下げて足早に去る。最後まで変な顔で見られたけどなんだってんだ。

ガラッ

「失礼します」

「おーやっと来たかー待ちくたびれたぞ」

「…この学校は広いですねぇ」

「……ああ、そうか。俺も麻痺してるみたいだ。そうだよな、むしろここに着けたことを褒めるべきだったわ」

「いえ、大丈夫ですよ」

遠回しに嫌味を言えば少し間が空いた後教師は罰が悪そうに謝った。
いいんだぜ。なんたってオレは真面目ちゃんだからな、心も広くいこーぜ。

「よし、じゃあお前のクラスまで行くか」

「はい」

教師の後ろをついて歩けば突然振り替えられ「にしても…」とじろじろと見られイラッとしたがそれを表に出さず、「なんでしょう?」と首を傾げた。

「…いや、なんでも…あ、つ、ついたぞ」

「…?」

「先に俺が入るから呼んだら入ってきてくれ。あいつらうるせーから」

「…はい」

そう言って教師は先に入って行くわ

「あ、せんせー!今日転校生くるんでしょ!?」

「おーそうだなー。もうそこにいるぞ。だから静かにしてくれ」

「なんだよー!もったいぶんなって!」

「勿体ぶってはねぇ。いいから静かに」

…これ、入ってもいいのかなぁ…。オレやってけるかな。

「…駄目だ、ラチがあかねぇ。神永ー入って大丈夫だぞー」

えぇ、やだぁ…。
ちょっとだけ反抗して入らずに待ってみる。すると、いつまでも入ってこないオレに痺れを切らしたのか教師が扉を開けて「気持ちはわかるが、頼む」と言ってきた。
…なんかちょっとかわいそうだし、入ろう。

ざわざわと騒がしい教室へと足を踏み入れれば一瞬にして静かになった。

そして、静かになった教室に誰が呟いたのか

「…絶滅危惧種…?」

と響き、オレは訳がわからず首を傾げたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる

天災
BL
 高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

同室のイケメンに毎晩オカズにされる件

おみなしづき
BL
 オカズといえば、美味しいご飯のお供でしょ?  それなのに、なんで俺がオカズにされてんだ⁉︎  毎晩って……いやいや、問題はそこじゃない。  段々と調子に乗ってくるあいつをどうにかしたいんです! ※がっつりR18です。予告はありません。

くまさんのマッサージ♡

はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。 2024.03.06 閲覧、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。 2024.03.10 完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m 今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。 2024.03.19 https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy イベントページになります。 25日0時より開始です! ※補足 サークルスペースが確定いたしました。 一次創作2: え5 にて出展させていただいてます! 2024.10.28 11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。 2024.11.01 https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2 本日22時より、イベントが開催されます。 よろしければ遊びに来てください。

白雪王子と容赦のない七人ショタ!

ミクリ21
BL
男の白雪姫の魔改造した話です。

悪役令息の兄には全てが視えている

翡翠飾
BL
「そういえば、この間臣麗くんにお兄さんが居るって聞きました!意外です、てっきり臣麗くんは一人っ子だと思っていたので」 駄目だ、それを言っては。それを言ったら君は───。 大企業の御曹司で跡取りである美少年高校生、神水流皇麗。彼はある日、噂の編入生と自身の弟である神水流臣麗がもめているのを止めてほしいと頼まれ、そちらへ向かう。けれどそこで聞いた編入生の言葉に、酷い頭痛を覚え前世の記憶を思い出す。 そして彼は気付いた、現代学園もののファンタジー乙女ゲームに転生していた事に。そして自身の弟は悪役令息。自殺したり、家が没落したり、殺人鬼として少年院に入れられたり、父に勘当されキャラ全員を皆殺しにしたり───?!?!しかもそんな中、皇麗はことごとく死亡し臣麗の闇堕ちに体よく使われる?! 絶対死んでたまるか、臣麗も死なせないし人も殺させない。臣麗は僕の弟、だから僕の使命として彼を幸せにする。 僕の持っている予知能力で、全てを見透してみせるから───。 けれど見えてくるのは、乙女ゲームの暗い闇で?! これは人が能力を使う世界での、予知能力を持った秀才美少年のお話。

凶悪犯がお気に入り刑事を逆に捕まえて、ふわとろま●こになるまで調教する話

ハヤイもち
BL
連続殺人鬼「赤い道化師」が自分の事件を担当する刑事「桐井」に一目惚れして、 監禁して調教していく話になります。 攻め:赤い道化師(連続殺人鬼)19歳。180センチくらい。美形。プライドが高い。サイコパス。 人を楽しませるのが好き。 受け:刑事:名前 桐井 30過ぎから半ば。170ちょいくらい。仕事一筋で妻に逃げられ、酒におぼれている。顔は普通。目つきは鋭い。 ※●人描写ありますので、苦手な方は閲覧注意になります。 タイトルで嫌な予感した方はブラウザバック。 ※無理やり描写あります。 ※読了後の苦情などは一切受け付けません。ご自衛ください。

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

処理中です...