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空を満たす何か
他力本願って素敵な響き
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「私は王になって、一族を、中級魔族を中途半端だと馬鹿にした奴らを見返してやりたいんです。勿論、邪魔なだけの人間も滅ぼそうと思っています。」
「それはドラゴン族がラヴァルさんに中途半端だと馬鹿にしたからですか?」
ラヴァルさんは答えない。でも中途半端とはどういう事だろう?母様の声を聞いたら死ぬくせに、力だけは強いから気に入らないって?アノーリオンがそんなこと言うかな…?
「ドラゴン族に限った話ではありません。中級はカーミラの種族のように優れた物があれば皆に認められますが、そうではない種族はどうだと思いますか?
力を磨いて上級と肩を並べられるほど強くなれば、格が邪魔をする。生まれついての格はどうしようもない。格に変わる物を見出だそうとして何が悪いんです。」
別に悪いとは言っていない。何故だと聞いただけ。
「それで魔族の皆を牽制しようと里を襲撃した、とそういうことですね?貴方の理想の王とはどのような王ですか。皆に恐れられ、距離を置かれる王ですか?」
何か面接みたいになってきたな…。
「皆が私に従う世界を作るのです。誰も中級だと馬鹿にしない!そして中級魔族を人間の欲望から救う。それがそんなにいけないことですか。」
だから責めてないってのに。そんなに身構えなくてもいいじゃん。
「なら、なぜ貴方の手で救うべき魔族を脅し、傷付けたのですか。人は殴られれば殴り返したくなります。ですが親切にされたら、その相手に殴りかかろうと思いますか?
それほど回る頭があるんだから復讐することばっかり考えてないで、ちょっとは考えたらどうなの!何年時間があったと思ってんだ!」
その回る頭でさっさと世界でも何でも掌握しててくれたら良かったのに。
「ラヴァルさんがどれ程辛い思いをしてきたかは分かりませんが、相手を見返そうと努力する姿勢も目的を達成しようと計画的に取り組む姿勢も素晴らしいです!が!その気概があるなら!
……なぜ異世界人は、私は、ここにいるんですか。もし、貴方が世界をもっと良い方に導いてくれさえしていたら。私は今も家族の元にいられたのに…。」
自分の手の甲に雫が降ってきて、ようやく自分が泣いている事に気が付いた。
「…私は、ラヴァルさんに異世界人を必要としない世界を作ってほしいです。皆に選ばれた王として最初に異世界人と召喚の存在の抹消を成し遂げてほしい。
望んではいけませんか。異世界人の犠牲がない世界を、貴方に作ってほしいと願ってはいけませんか。」
私の希望を挟んでおく事を忘れない。ポイントは私に任せて欲しいとか王になる手伝いをするとか厄介そうな事をいかに引き受けないようにするか、だ。
そんな面倒なの私はやりたくない。
「……私が王になっても構わないと?」
「誰がなっても構わないなら、やる気のある人がやれば良いと思います。」
そして私の為に働いて欲しい。
何でそんなに鳩が豆鉄砲食らったみたいな真ん丸な目で見てくるの。いいじゃん、やりたいなら目指せば。大人になったってたまには背中を押して貰ったっていいじゃん。
きっとラヴァルさんは否定される中で負けるもんかと意地で這い上がってきた人だ、と思う。
だから見返そうと意地になって手段を選ばなくなる。
私は知らなかった。今この瞬間に魔王が爆誕していたことを。
ラヴァルさんのやる気にダイナマイトを仕掛け、覚醒させてしまったのは紛れもないこの時の私だった。
「それはドラゴン族がラヴァルさんに中途半端だと馬鹿にしたからですか?」
ラヴァルさんは答えない。でも中途半端とはどういう事だろう?母様の声を聞いたら死ぬくせに、力だけは強いから気に入らないって?アノーリオンがそんなこと言うかな…?
「ドラゴン族に限った話ではありません。中級はカーミラの種族のように優れた物があれば皆に認められますが、そうではない種族はどうだと思いますか?
力を磨いて上級と肩を並べられるほど強くなれば、格が邪魔をする。生まれついての格はどうしようもない。格に変わる物を見出だそうとして何が悪いんです。」
別に悪いとは言っていない。何故だと聞いただけ。
「それで魔族の皆を牽制しようと里を襲撃した、とそういうことですね?貴方の理想の王とはどのような王ですか。皆に恐れられ、距離を置かれる王ですか?」
何か面接みたいになってきたな…。
「皆が私に従う世界を作るのです。誰も中級だと馬鹿にしない!そして中級魔族を人間の欲望から救う。それがそんなにいけないことですか。」
だから責めてないってのに。そんなに身構えなくてもいいじゃん。
「なら、なぜ貴方の手で救うべき魔族を脅し、傷付けたのですか。人は殴られれば殴り返したくなります。ですが親切にされたら、その相手に殴りかかろうと思いますか?
それほど回る頭があるんだから復讐することばっかり考えてないで、ちょっとは考えたらどうなの!何年時間があったと思ってんだ!」
その回る頭でさっさと世界でも何でも掌握しててくれたら良かったのに。
「ラヴァルさんがどれ程辛い思いをしてきたかは分かりませんが、相手を見返そうと努力する姿勢も目的を達成しようと計画的に取り組む姿勢も素晴らしいです!が!その気概があるなら!
……なぜ異世界人は、私は、ここにいるんですか。もし、貴方が世界をもっと良い方に導いてくれさえしていたら。私は今も家族の元にいられたのに…。」
自分の手の甲に雫が降ってきて、ようやく自分が泣いている事に気が付いた。
「…私は、ラヴァルさんに異世界人を必要としない世界を作ってほしいです。皆に選ばれた王として最初に異世界人と召喚の存在の抹消を成し遂げてほしい。
望んではいけませんか。異世界人の犠牲がない世界を、貴方に作ってほしいと願ってはいけませんか。」
私の希望を挟んでおく事を忘れない。ポイントは私に任せて欲しいとか王になる手伝いをするとか厄介そうな事をいかに引き受けないようにするか、だ。
そんな面倒なの私はやりたくない。
「……私が王になっても構わないと?」
「誰がなっても構わないなら、やる気のある人がやれば良いと思います。」
そして私の為に働いて欲しい。
何でそんなに鳩が豆鉄砲食らったみたいな真ん丸な目で見てくるの。いいじゃん、やりたいなら目指せば。大人になったってたまには背中を押して貰ったっていいじゃん。
きっとラヴァルさんは否定される中で負けるもんかと意地で這い上がってきた人だ、と思う。
だから見返そうと意地になって手段を選ばなくなる。
私は知らなかった。今この瞬間に魔王が爆誕していたことを。
ラヴァルさんのやる気にダイナマイトを仕掛け、覚醒させてしまったのは紛れもないこの時の私だった。
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