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空を満たす何か
呟いたりして誰かに相談できるって素晴らしいよね?
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お話の世界だと悪役の野望を止める為に主人公は仲間と協力して色々やるけど、それを自分がやる、となると話は別だよね?
私は考えた。映画のヒーローのように華麗に悪を阻止するなんて出来ればやりたくない。というか私には無理。
映画の悪役は何故か社会的に高い地位にいる事が多い。そこまで築き上げるのは本当に大変だったと思う。その悪役の有能さや人を引き付ける魅力があってこそだ。それにいつも後一歩というところで計画を主人公に阻まれるけど、裏を返せば邪魔さえ無ければ完遂していたという事だ。
何度失敗しても諦めずに目標に向かって努力する姿勢、その計画・実行力はその悪役の才能によるものだ。だから悪役の全てを否定はしない。
悪役が悪役たる所以は、世界征服を目論んだ事ではない。問題なのは、世界征服を目論む過程で人を意図的に傷付け踏みつけにし、世界を征服する事によって更に傷つく人が増える事、そして傷つく人に対して何とも思わない事だ。
私は閃いた。
Q. もし悪役とされる人物が誰もが認める人格者だったら?世界を征服しようが何をしようが、それによって踏みつけにされる人がいなかったら?
A. 悪役から一転、偉大な王が歩んだ軌跡として語り継がれるだろう。
つまりラヴァルさんの王になりたいと望んだ動機はどうであれ、真に魔族のために自分の力を振るいたいと考えているなら、皆に認められる形で王になれるよう後押しすれば良いのでは?
力で押さえつけようとするから力で反発されるのだ。恩人にありがとう、と感謝しながら殴りかかる奴はいないだろう。
ラヴァルさんによって既にたくさん傷付いた人も死者も大勢いる。当然皆に認められることは困難を極めるだろう。だが自分が傷付けた人達に認められるよう尽くす事こそ王として歩む第一歩ではないか、と私は思うのだ。
ラヴァルさんもたくさん傷付いたアノーリオン達も、私に説得出来るだろうか。
私だって被害者だ。むしろ誰より失ったものは多い。他でもない私が言うことだったら、もしかしたらもしかするかもしれなくない?
ドラゴンの里にいる皆は、自分達も辛い経験をしていながら不幸自慢をするのでもなく、ひたすら私に「胸を張れ」「誇っていい」「よくやった」と言ってくれた。それがどれ程私を救ったか。帰る事を諦めた訳ではない。でも、もう少しこの世界で生きてみようと思えたのは、ドラゴンの里の皆のお陰だ。
今は、ドラゴンの里の皆に支えてもらったこの命を里の皆のために役立てたいと思っている。
手始めにこの二人を説得しないといけないんだけど、一番の難所な気がしてきた…。
「提案なんだけど……。」
先ほど思いついた案を伝えるとやっぱり二人は受け入れられなかった。特にアノーリオンの目の前で家族を殺された恨みは相当なもので、これ以上話す事も嫌なようだった。この手で殺してやると思っていた相手を直属の上司に推薦するとか地獄以外のなにものでもないよね…。
そこではたと気付いた。
皆を説得して認めてもらうってラヴァルさんにさせれば良くない!? 私が苦労すること無いんじゃない?
よし。中級の皆さんは自分の劣等感は各自で乗り越えてもらおう。何百年も生きてるんだから年の功で大体解決出来るだろう。
私の役目はラヴァルさん(と個人的に気に入らないギルミアさん)を納得させること!
アノーリオン達の悲嘆は執着も入ってしまっている。今は『いつか必ず復讐を』という思いに捕らわれているから、そこは気持ちが追い付くまで地道に頑張るしかない。
この世界で目標を見つけた。目標が出来た事で私は変われた。だから痛みを抱え続けるアノーリオンも、その傷が少しでもかさぶたを作って痛まなくなる日が来るといいな、と思う。
私は考えた。映画のヒーローのように華麗に悪を阻止するなんて出来ればやりたくない。というか私には無理。
映画の悪役は何故か社会的に高い地位にいる事が多い。そこまで築き上げるのは本当に大変だったと思う。その悪役の有能さや人を引き付ける魅力があってこそだ。それにいつも後一歩というところで計画を主人公に阻まれるけど、裏を返せば邪魔さえ無ければ完遂していたという事だ。
何度失敗しても諦めずに目標に向かって努力する姿勢、その計画・実行力はその悪役の才能によるものだ。だから悪役の全てを否定はしない。
悪役が悪役たる所以は、世界征服を目論んだ事ではない。問題なのは、世界征服を目論む過程で人を意図的に傷付け踏みつけにし、世界を征服する事によって更に傷つく人が増える事、そして傷つく人に対して何とも思わない事だ。
私は閃いた。
Q. もし悪役とされる人物が誰もが認める人格者だったら?世界を征服しようが何をしようが、それによって踏みつけにされる人がいなかったら?
A. 悪役から一転、偉大な王が歩んだ軌跡として語り継がれるだろう。
つまりラヴァルさんの王になりたいと望んだ動機はどうであれ、真に魔族のために自分の力を振るいたいと考えているなら、皆に認められる形で王になれるよう後押しすれば良いのでは?
力で押さえつけようとするから力で反発されるのだ。恩人にありがとう、と感謝しながら殴りかかる奴はいないだろう。
ラヴァルさんによって既にたくさん傷付いた人も死者も大勢いる。当然皆に認められることは困難を極めるだろう。だが自分が傷付けた人達に認められるよう尽くす事こそ王として歩む第一歩ではないか、と私は思うのだ。
ラヴァルさんもたくさん傷付いたアノーリオン達も、私に説得出来るだろうか。
私だって被害者だ。むしろ誰より失ったものは多い。他でもない私が言うことだったら、もしかしたらもしかするかもしれなくない?
ドラゴンの里にいる皆は、自分達も辛い経験をしていながら不幸自慢をするのでもなく、ひたすら私に「胸を張れ」「誇っていい」「よくやった」と言ってくれた。それがどれ程私を救ったか。帰る事を諦めた訳ではない。でも、もう少しこの世界で生きてみようと思えたのは、ドラゴンの里の皆のお陰だ。
今は、ドラゴンの里の皆に支えてもらったこの命を里の皆のために役立てたいと思っている。
手始めにこの二人を説得しないといけないんだけど、一番の難所な気がしてきた…。
「提案なんだけど……。」
先ほど思いついた案を伝えるとやっぱり二人は受け入れられなかった。特にアノーリオンの目の前で家族を殺された恨みは相当なもので、これ以上話す事も嫌なようだった。この手で殺してやると思っていた相手を直属の上司に推薦するとか地獄以外のなにものでもないよね…。
そこではたと気付いた。
皆を説得して認めてもらうってラヴァルさんにさせれば良くない!? 私が苦労すること無いんじゃない?
よし。中級の皆さんは自分の劣等感は各自で乗り越えてもらおう。何百年も生きてるんだから年の功で大体解決出来るだろう。
私の役目はラヴァルさん(と個人的に気に入らないギルミアさん)を納得させること!
アノーリオン達の悲嘆は執着も入ってしまっている。今は『いつか必ず復讐を』という思いに捕らわれているから、そこは気持ちが追い付くまで地道に頑張るしかない。
この世界で目標を見つけた。目標が出来た事で私は変われた。だから痛みを抱え続けるアノーリオンも、その傷が少しでもかさぶたを作って痛まなくなる日が来るといいな、と思う。
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