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突然スタートさせられた異世界生活
胡蝶の夢?
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誰もいない路地裏でようやく追手を撒けたようだ。酷く疲れて、建物に寄り掛かって膝を抱えて座り込む。もう一歩も動けそうにない。
うとうとと眠くなってくる。
少しだけ…。そう思って目を閉じた。
◇◇◇
誰かの子守唄が聞こえた気がして微睡みから覚めると、私は巨人の女性に抱っこされあやされていた。私はなぜか夢の中であると理解していた。
『降ります』
そう声をかけて私を抱っこする女性の腕から降りようとした。だが身体の自由がきかず、代わりに自分の喉から出てきたのは、
「あーうー」
という喃語だった。おや?と思ったが、そういうものかとすとんと受け入れていた。
仕方がないので、背中をとんとんと叩かれてあやされながら、部屋の周りを見回す。
視界はぼやけていてはっきりとは見えない。だが自分は暖炉の前のソファであやされていた。
近くにはベビーベッドが目に入る。床にはお洒落なラグが敷かれており、北欧の家のようだった。
(ここどこ?というかこの人誰?)
恐怖はない。だが子守唄の言語も分からなければ、この女性の見覚えもなかった。
『綺麗な髪』
そう言って私を抱く女性の髪に手を伸ばすしたつもりだったが手は届かず、やはり口から出てきたのは
「あぅーわー」
という音だけだった。
(どうやって手入れしてるだろう?気になる…)
その女性の髪はチョコレート色で内側から発光するようにキラキラと輝いていた。
「ーーーーーー?ーーーーーー。」
何か言われたが理解出来ない。そうこうしているうちに私はベビーベッドに寝かされ、その女性は部屋を出た。
(でっかいベビーベッド…。)
寝返りを打ってみようとしたがじたばたするだけで上手くいかなかった。
うんしょうんしょ、と寝返りするべく奮闘していると先程の女性が戻ってきて私をもう一度抱き上げ、私の口に何かを突っ込んだ。突っ込まれたその正体は哺乳瓶で、その中身は青い液体で、キラキラと謎に発光していた。うわぁ、と思ったのは一瞬で、喉が渇いていたのかすぐに飲み干した。味はよく分からなかったが多分甘かった。お腹が満たされると今度は縦に抱っこされ、背中を叩かれる。げぷぅ、とげっぷすると女性は満足そうにまた私をベビーベッドに寝かせた。
そうして何かを飲んでは寝て排泄してを繰り返し幾日か過ぎた頃、ある朝、私を起こしに来たその女性を見ると何故かひどく安心感を覚えて、反射的にその女性の足に抱きついた。女性は嫌な顔をすること無く、笑って私を抱きあげてくれた。抱き上げられてから我に返った。
(この年で流石に恥ずかしいかも…。お世話してくれているとはいえ、名前も分からない人に…。)
「まぁま、おあよ」
(まま、おはよう)
自分の意志に反して口から出た言葉。なぜ自分はこの女性をままと呼んでいるのか?自分でも知らない言語なのに違和感もなく当然のように使っていた。
「まぁ!おはよう、可愛い子。お話がとっても上手になったわね。」
ついでに女性の言葉も聞き取れるようになっていた。
「大分馴染んできたわね。じゃあ今日は母様と一緒に力の使い方をお勉強しましょう。」
うとうとと眠くなってくる。
少しだけ…。そう思って目を閉じた。
◇◇◇
誰かの子守唄が聞こえた気がして微睡みから覚めると、私は巨人の女性に抱っこされあやされていた。私はなぜか夢の中であると理解していた。
『降ります』
そう声をかけて私を抱っこする女性の腕から降りようとした。だが身体の自由がきかず、代わりに自分の喉から出てきたのは、
「あーうー」
という喃語だった。おや?と思ったが、そういうものかとすとんと受け入れていた。
仕方がないので、背中をとんとんと叩かれてあやされながら、部屋の周りを見回す。
視界はぼやけていてはっきりとは見えない。だが自分は暖炉の前のソファであやされていた。
近くにはベビーベッドが目に入る。床にはお洒落なラグが敷かれており、北欧の家のようだった。
(ここどこ?というかこの人誰?)
恐怖はない。だが子守唄の言語も分からなければ、この女性の見覚えもなかった。
『綺麗な髪』
そう言って私を抱く女性の髪に手を伸ばすしたつもりだったが手は届かず、やはり口から出てきたのは
「あぅーわー」
という音だけだった。
(どうやって手入れしてるだろう?気になる…)
その女性の髪はチョコレート色で内側から発光するようにキラキラと輝いていた。
「ーーーーーー?ーーーーーー。」
何か言われたが理解出来ない。そうこうしているうちに私はベビーベッドに寝かされ、その女性は部屋を出た。
(でっかいベビーベッド…。)
寝返りを打ってみようとしたがじたばたするだけで上手くいかなかった。
うんしょうんしょ、と寝返りするべく奮闘していると先程の女性が戻ってきて私をもう一度抱き上げ、私の口に何かを突っ込んだ。突っ込まれたその正体は哺乳瓶で、その中身は青い液体で、キラキラと謎に発光していた。うわぁ、と思ったのは一瞬で、喉が渇いていたのかすぐに飲み干した。味はよく分からなかったが多分甘かった。お腹が満たされると今度は縦に抱っこされ、背中を叩かれる。げぷぅ、とげっぷすると女性は満足そうにまた私をベビーベッドに寝かせた。
そうして何かを飲んでは寝て排泄してを繰り返し幾日か過ぎた頃、ある朝、私を起こしに来たその女性を見ると何故かひどく安心感を覚えて、反射的にその女性の足に抱きついた。女性は嫌な顔をすること無く、笑って私を抱きあげてくれた。抱き上げられてから我に返った。
(この年で流石に恥ずかしいかも…。お世話してくれているとはいえ、名前も分からない人に…。)
「まぁま、おあよ」
(まま、おはよう)
自分の意志に反して口から出た言葉。なぜ自分はこの女性をままと呼んでいるのか?自分でも知らない言語なのに違和感もなく当然のように使っていた。
「まぁ!おはよう、可愛い子。お話がとっても上手になったわね。」
ついでに女性の言葉も聞き取れるようになっていた。
「大分馴染んできたわね。じゃあ今日は母様と一緒に力の使い方をお勉強しましょう。」
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