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突然スタートさせられた異世界生活
敵地へ
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アノーリオンさんに人間領に入らないギリギリの所まで運んでもらう。アノーリオンさんも人間領に入ろうと思えば入れるんだけど、何故か人間達はドラゴン族を見ると執拗に追いかけて襲ってくるらしい。ドラゴンスレイヤーって叫ぶやつとか、その血や心臓を食べれば不老長寿とか目玉を食べると特別な才能を手に入れられるとか言われて延々と追いかけられて辟易としているらしい。一応言っておくと全て迷信です。死んだらただの巨大なドラゴンの遺体が残るだけ。特別な事は起きません。何だドラゴンスレイヤーって。殺した事を触れ回ってどーすんの。
そんなこんなでここからは皆は徒歩で、私はシルキーに背負われて向かいます。私の足は亀並みなのは自覚していますからシルキーに背中を見せられた途端シルキーが背負いやすいように後ろから首に手を回します。阿吽の呼吸ですね。
道中に分かった事ですが、何とガーラさん。前女王アマゾネスでした。ずっと君臨していては次代が育たないそうで30年経ってやっと良い人材を見つけたらしく世代交代したんだって。そりゃズカーが敵うはずもないし武神戦の出場権がどうとか言える訳だよ。一族の重鎮でした。娘も孫もいたんだって。過去形なのは慮ったて欲しい所です…。でも孫がいるような年齢には全く見えない。見た目30代よ?少し落ち着いた雰囲気の人だなって思うけど、アマゾン族の皆さん、寿命が二、三百年あるらしい。前女王を殺して新女王誕生、っていうのも大昔はあったらしいが今は深刻な人手不足で殺してられないらしい。
ラヴァルさんとガーラさんに睨まれて、人間もトンチキさん達も無言だ。私は、ガーラさんとラヴァルさんとみっちり大陸共通語の練習をした。これだけやれば上達したんじゃないかな。
「自己紹介してください。」
「ララランドでっす。ララ、呼ぶがいいよ。これ一番容易いよ!遥か遠い遠い違う島国から来た。えーと、お昼寝好きよ!お日様温もりだから!」
あれ、あんまり変わってない?ちゃんと文章になってるよね?二人ともスパルタだったからこれくらいはね!
あっという間に関所を抜け、城下町に着いた。ここまでアノーリオンさんに送って貰ってから半日も経っていない。今朝出発して、今の時刻は昼を過ぎていたので今夜は宿に泊まり、明日乗り込むらしい。ラヴァルさんが考えたという策はまだ話して貰っていない。何でも未だ報告をしてこない密偵が裏切ったかバレて捕まったか殺されたかした事が濃厚になってきたそうで、王城について情報を集めながら作戦を立て直すらしい。つまりは行き当たりばったりってことだね。
宿の部屋は大人数用の部屋を二つ取って、男女で別れた。寝る直前までガーラさんと言語習得の為に指導が続く。一言も話すなと言われたトンチキさん達は本当に朝起きてから寝るまで一言も話さない。不意打ちでガーラさんに話しかけられても一言も話さず頷きもしなかった。あれ、もしかして本当に優秀なのかな…。
そして翌朝、王城に向かうことになった。よく来ている白いワンピースは膝丈から足首まであるものに変わり、腰からふわりと広がる感じが可愛い。そういえば作法とかあるんだっけ、と思い出し聞いてみたが、魔族は人間と対等であり、人間の王であっても私達は頭を下げることはないんだって。まぁ、あいつらに頭を下げろと言われてもやらないつもりだったから丁度良かった。
案内に立った兵士を先頭に、ラヴァルさんが人間達を一纏めに紐で縛った先を持って、ガーラさん、シルキー&私、バンシー、トンチキさん達という順番でひたすら長い長い廊下を気が遠くなるまで歩く。何回角を曲がったかなんてもう分からないくらい。私は安定のシルキーの背中です。「まだ着かないの!?」と声を挙げようとした時、一際豪華な扉が目に止まる。その扉の前で案内の兵士さんが「こちらです」といって止まったので、シルキーの背中から下ろしてもらう。ラヴァルさんが空いた片手でノックをして扉を開けた。
そこは、ゲームとかで良く見る謁見の間という名がふさわしい場所だった。数段の階段を登った先に、中央に鎮座する玉座。玉座の両端には護衛の人と王子?らしき人がこちらを見下ろすように立っている。玉座の隣の空いている椅子は王妃様用だ。勿論、その玉座には王冠とマントを身に付けた王様がいた。聖女様とやらはいないんだね。
開口一発、ラヴァルさんが相手側にジャブを食らわせる。
「数代前の王とは親しくしておりまして、よく戦場でお会いしたものですが、今代の王とは初めましてでしたね。わたくし、吸血鬼族 前族長ラヴァルと申します。魔族領に侵入した不届き者を届けに来ました。近頃この国は、勇者と聖女が誕生したとかで盛り上がってるようですね?羨ましい事です。今回の訪問は魔族領にネズミが出ましてね、ぜひその駆除方法を教えていただきたいと思いまして」
ジャブというより右ストレート。思いっきり勇者をネズミ呼ばわりしてるし。むしろ人間のテリトリーの中でよくここまで勇者縛ったまま来れたなって思う。ほら、兵士の皆さんとか王様まで絶句してるよ。王様って偉そうな顔つきかと思ったら、腹黒そうな欲深そうな日本の政治家みたいな顔つきしてるんだ。王様っていうから日本の天皇家みたいな格の違うオーラがあるかと思ったら全然ないね。キラキラの金髪もカツラのような不自然さがある気がする。私の偏見?この玉座の隣に立つ王様と同じ金髪の人か、この王様が私から全部奪ったのよね。いざ目の前にすると、反吐が出る程殺したい。吐き気にも似た憎悪が首をもたげた。
まだ、復讐の時ではない、と落ち着いて深呼吸を繰り返す。聖女とやらもよく分かっていないんだ。それにあまりにも情報が足りない。ラヴァルさんが敢えて話してないのか、本当に情報が無いのか。見極めなければならない。
そんなこんなでここからは皆は徒歩で、私はシルキーに背負われて向かいます。私の足は亀並みなのは自覚していますからシルキーに背中を見せられた途端シルキーが背負いやすいように後ろから首に手を回します。阿吽の呼吸ですね。
道中に分かった事ですが、何とガーラさん。前女王アマゾネスでした。ずっと君臨していては次代が育たないそうで30年経ってやっと良い人材を見つけたらしく世代交代したんだって。そりゃズカーが敵うはずもないし武神戦の出場権がどうとか言える訳だよ。一族の重鎮でした。娘も孫もいたんだって。過去形なのは慮ったて欲しい所です…。でも孫がいるような年齢には全く見えない。見た目30代よ?少し落ち着いた雰囲気の人だなって思うけど、アマゾン族の皆さん、寿命が二、三百年あるらしい。前女王を殺して新女王誕生、っていうのも大昔はあったらしいが今は深刻な人手不足で殺してられないらしい。
ラヴァルさんとガーラさんに睨まれて、人間もトンチキさん達も無言だ。私は、ガーラさんとラヴァルさんとみっちり大陸共通語の練習をした。これだけやれば上達したんじゃないかな。
「自己紹介してください。」
「ララランドでっす。ララ、呼ぶがいいよ。これ一番容易いよ!遥か遠い遠い違う島国から来た。えーと、お昼寝好きよ!お日様温もりだから!」
あれ、あんまり変わってない?ちゃんと文章になってるよね?二人ともスパルタだったからこれくらいはね!
あっという間に関所を抜け、城下町に着いた。ここまでアノーリオンさんに送って貰ってから半日も経っていない。今朝出発して、今の時刻は昼を過ぎていたので今夜は宿に泊まり、明日乗り込むらしい。ラヴァルさんが考えたという策はまだ話して貰っていない。何でも未だ報告をしてこない密偵が裏切ったかバレて捕まったか殺されたかした事が濃厚になってきたそうで、王城について情報を集めながら作戦を立て直すらしい。つまりは行き当たりばったりってことだね。
宿の部屋は大人数用の部屋を二つ取って、男女で別れた。寝る直前までガーラさんと言語習得の為に指導が続く。一言も話すなと言われたトンチキさん達は本当に朝起きてから寝るまで一言も話さない。不意打ちでガーラさんに話しかけられても一言も話さず頷きもしなかった。あれ、もしかして本当に優秀なのかな…。
そして翌朝、王城に向かうことになった。よく来ている白いワンピースは膝丈から足首まであるものに変わり、腰からふわりと広がる感じが可愛い。そういえば作法とかあるんだっけ、と思い出し聞いてみたが、魔族は人間と対等であり、人間の王であっても私達は頭を下げることはないんだって。まぁ、あいつらに頭を下げろと言われてもやらないつもりだったから丁度良かった。
案内に立った兵士を先頭に、ラヴァルさんが人間達を一纏めに紐で縛った先を持って、ガーラさん、シルキー&私、バンシー、トンチキさん達という順番でひたすら長い長い廊下を気が遠くなるまで歩く。何回角を曲がったかなんてもう分からないくらい。私は安定のシルキーの背中です。「まだ着かないの!?」と声を挙げようとした時、一際豪華な扉が目に止まる。その扉の前で案内の兵士さんが「こちらです」といって止まったので、シルキーの背中から下ろしてもらう。ラヴァルさんが空いた片手でノックをして扉を開けた。
そこは、ゲームとかで良く見る謁見の間という名がふさわしい場所だった。数段の階段を登った先に、中央に鎮座する玉座。玉座の両端には護衛の人と王子?らしき人がこちらを見下ろすように立っている。玉座の隣の空いている椅子は王妃様用だ。勿論、その玉座には王冠とマントを身に付けた王様がいた。聖女様とやらはいないんだね。
開口一発、ラヴァルさんが相手側にジャブを食らわせる。
「数代前の王とは親しくしておりまして、よく戦場でお会いしたものですが、今代の王とは初めましてでしたね。わたくし、吸血鬼族 前族長ラヴァルと申します。魔族領に侵入した不届き者を届けに来ました。近頃この国は、勇者と聖女が誕生したとかで盛り上がってるようですね?羨ましい事です。今回の訪問は魔族領にネズミが出ましてね、ぜひその駆除方法を教えていただきたいと思いまして」
ジャブというより右ストレート。思いっきり勇者をネズミ呼ばわりしてるし。むしろ人間のテリトリーの中でよくここまで勇者縛ったまま来れたなって思う。ほら、兵士の皆さんとか王様まで絶句してるよ。王様って偉そうな顔つきかと思ったら、腹黒そうな欲深そうな日本の政治家みたいな顔つきしてるんだ。王様っていうから日本の天皇家みたいな格の違うオーラがあるかと思ったら全然ないね。キラキラの金髪もカツラのような不自然さがある気がする。私の偏見?この玉座の隣に立つ王様と同じ金髪の人か、この王様が私から全部奪ったのよね。いざ目の前にすると、反吐が出る程殺したい。吐き気にも似た憎悪が首をもたげた。
まだ、復讐の時ではない、と落ち着いて深呼吸を繰り返す。聖女とやらもよく分かっていないんだ。それにあまりにも情報が足りない。ラヴァルさんが敢えて話してないのか、本当に情報が無いのか。見極めなければならない。
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