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突然スタートさせられた異世界生活
風雲急を告げる
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じっと湖に浮かんでいるが、最初の爆撃音がした以外に大きな音は聞こえてこない。
でもこちらは多分ツニート一人、対して襲撃してきた人はきっと一人ではないはず。ツニートは大丈夫かな…。
はっ、はっ、と浅く苦しそうな音がすると思ったら自分の呼吸だった。落ち着け、と自分に言い聞かせて深呼吸を繰り返す。攻撃手段を持たない私がのこのこ出ていっては足手まといだ。湖にいろ、と言ったツニートの言葉を必死で守る。ツニートが走っていった方をじっと見ていると数人が湖に向かって走ってきたようだ。
(敵!?やだ、ツニートは!?)
とりあえず敵かどうか確かめる為に近付いてみる。ここからじゃ遠すぎて何も分からない。
100メートルも無い位だろうか。ギリギリ顔が判別出来ない距離まで近づく。顔は分からないが身なりは何となく分かる。鎧と剣を身に付けていて、全部で五人いる。魔族かと思ったが魔族特有の身体的特徴はパッと見た感じ無さそう。角や尻尾、私のような翼があるわけでもない。鎧に隠れているだけ…?敵か味方かはっきり分からないうちは静かにしていよう。
観察を続けていると、五人で何かを話し合っているようだった。そのうちの一人がこちらに手を降ってきた。
バレた!?
急いで岸から距離を取る。さっきいた場所から更に30メートル程離れた。ゲームみたいに突然「ファイアボール!」とか言って魔法を放ってこられたら危ない。この世界に魔法があるかは分からないけど。
こちらに向かって手を降って何か叫んでいる。何を言っているんだ?上手く聞き取れない。念話してくれたら敵かどうか分かるのに。
「人間は殆ど念話をしませんから。」
というラヴァル先生の声が脳裏にフラッシュバックされた。魔族は念話が基本だ。念話は相手に繋ぐのが一番難しいとされる。念話は例えるならグループ通話と似ている。グループ通話をかける方は誰にかけるか、人を指定してかける。残りの人はかかってきた電話に出るだけ。私も普段は出るだけなので私から念話はまだ出来ない。
まさか人間?
手を振ってこちらに向かって何か話しかけて来ても、ツニートの言いつけを守り全て無視する。そうしていると、焦れてきたのか一人が湖の中に入ってこちらに近づいてきた。
こっちに来るな、と念を込めて思いっきり睨む。
相手はお腹まで水に浸かったところでようやく足を止めた。10メートル程だろうか?こちらに向かって何か話してきた。
「君、※※※※※!※※※※※大丈夫?」
最初と最後しか分からなかったけど、何で水の中にいるのか、とか体調を気遣われてる感じ?
でもこれで相手が人間だと分かった。それに黒髪だった。
湖に浮かんでるからか私の翼は見えていないっぽい。じわりと殺意が湧いてくるがまだだ、と堪える。
何を言ってるのか分かんないからとりあえず頷いた。
「私は、※※※で※※※国から来た※※※※だ。※※※※※※なんだ。君は?」
自己紹介…だよね?どこから来た◯◯です、あなたはだぁれ?って。それにしては何か長かった気もするけど。自分の語学力が恨めしい。知ってるはずの単語もネイティブだからか早くて殆ど聞き取れない。
それに人間に名乗ってやる名前なんかない。今すぐ私の視界と記憶から消えて欲しい。憎悪がお腹の辺りで渦巻いて、消化不良を起こしてきた。
「ララランド」
以上。終わり。
言葉を交わしたくない。ボロが出る。だがだんまりはまずい。でも愛称で呼ばれたくもない。考えた結果、名前だけ告げた。睨む事も忘れない。
予想した反応と違ったのか戸惑っているようだった。
「※※※だよ?※※※。ゆ、う、しゃ。聞いた事ない?黒※※なら、ニホンから来た※※も※※※※※?」
なに、それ。どういうこと。
ゆうしゃ?勇者?日本から来た?
私、日本から来たなんて誰にも言ってない。
でもこちらは多分ツニート一人、対して襲撃してきた人はきっと一人ではないはず。ツニートは大丈夫かな…。
はっ、はっ、と浅く苦しそうな音がすると思ったら自分の呼吸だった。落ち着け、と自分に言い聞かせて深呼吸を繰り返す。攻撃手段を持たない私がのこのこ出ていっては足手まといだ。湖にいろ、と言ったツニートの言葉を必死で守る。ツニートが走っていった方をじっと見ていると数人が湖に向かって走ってきたようだ。
(敵!?やだ、ツニートは!?)
とりあえず敵かどうか確かめる為に近付いてみる。ここからじゃ遠すぎて何も分からない。
100メートルも無い位だろうか。ギリギリ顔が判別出来ない距離まで近づく。顔は分からないが身なりは何となく分かる。鎧と剣を身に付けていて、全部で五人いる。魔族かと思ったが魔族特有の身体的特徴はパッと見た感じ無さそう。角や尻尾、私のような翼があるわけでもない。鎧に隠れているだけ…?敵か味方かはっきり分からないうちは静かにしていよう。
観察を続けていると、五人で何かを話し合っているようだった。そのうちの一人がこちらに手を降ってきた。
バレた!?
急いで岸から距離を取る。さっきいた場所から更に30メートル程離れた。ゲームみたいに突然「ファイアボール!」とか言って魔法を放ってこられたら危ない。この世界に魔法があるかは分からないけど。
こちらに向かって手を降って何か叫んでいる。何を言っているんだ?上手く聞き取れない。念話してくれたら敵かどうか分かるのに。
「人間は殆ど念話をしませんから。」
というラヴァル先生の声が脳裏にフラッシュバックされた。魔族は念話が基本だ。念話は相手に繋ぐのが一番難しいとされる。念話は例えるならグループ通話と似ている。グループ通話をかける方は誰にかけるか、人を指定してかける。残りの人はかかってきた電話に出るだけ。私も普段は出るだけなので私から念話はまだ出来ない。
まさか人間?
手を振ってこちらに向かって何か話しかけて来ても、ツニートの言いつけを守り全て無視する。そうしていると、焦れてきたのか一人が湖の中に入ってこちらに近づいてきた。
こっちに来るな、と念を込めて思いっきり睨む。
相手はお腹まで水に浸かったところでようやく足を止めた。10メートル程だろうか?こちらに向かって何か話してきた。
「君、※※※※※!※※※※※大丈夫?」
最初と最後しか分からなかったけど、何で水の中にいるのか、とか体調を気遣われてる感じ?
でもこれで相手が人間だと分かった。それに黒髪だった。
湖に浮かんでるからか私の翼は見えていないっぽい。じわりと殺意が湧いてくるがまだだ、と堪える。
何を言ってるのか分かんないからとりあえず頷いた。
「私は、※※※で※※※国から来た※※※※だ。※※※※※※なんだ。君は?」
自己紹介…だよね?どこから来た◯◯です、あなたはだぁれ?って。それにしては何か長かった気もするけど。自分の語学力が恨めしい。知ってるはずの単語もネイティブだからか早くて殆ど聞き取れない。
それに人間に名乗ってやる名前なんかない。今すぐ私の視界と記憶から消えて欲しい。憎悪がお腹の辺りで渦巻いて、消化不良を起こしてきた。
「ララランド」
以上。終わり。
言葉を交わしたくない。ボロが出る。だがだんまりはまずい。でも愛称で呼ばれたくもない。考えた結果、名前だけ告げた。睨む事も忘れない。
予想した反応と違ったのか戸惑っているようだった。
「※※※だよ?※※※。ゆ、う、しゃ。聞いた事ない?黒※※なら、ニホンから来た※※も※※※※※?」
なに、それ。どういうこと。
ゆうしゃ?勇者?日本から来た?
私、日本から来たなんて誰にも言ってない。
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