彼女を奪還せよ!

yyyNo.1

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本編

家族との対峙 2

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「テオの性格ってご存知?」

「それは親なんだ。当然だろう?」と父。
何を聞いているんだ?

「言ってみて下さい」

「テオは我慢強い子だろう?」と父。
「それに無口な子よね!?」と母。
「「「それに優しいわね?お金も嫌がらずに貸してくれるもの」」」と姉たち。

ナタリーは悲しげに首を横にふる。
「なぜ家族なのに、息子さんの性格すらまともに把握できていないんですか?それではただの皆さんに都合が良い存在ではありませんか。テオとゆっくり話をした事あります?

テオは優しい人です。他人の為にどこまでも心を砕ける人なんです。でも無口じゃありません。我慢強いのではなく、我慢させられていたんです。そしてやがて諦めてしまった…。お金を貸してあげてたのではなく興味がなかったか、諦めてたのでは?どうせ貸す事になるんだから、と。」

家族達は何も言わなかった。いや、言えなかったのだ。息子の為にと思ってやっていたことは見当違いで、息子を追い詰めただけだった。

僕はそれでも、と家族に向けて頭を下げた。
「僕を信じてくれってナタリーの両親に言ってくれて嬉しかった。僕はちゃんと変われたよ」

「もう十分だ。帰ろうナタリー、送るよ」

そう言って家を後にした。

帰る道すがらナタリーは泣いていた。
「ナタリー、さっきはありがとう。きみがいてくれて良かった。」

「もっと!言いたいこと!あったわっ!ぐすっ。」

「そうだね。でも、これ以上はきっと家族として言ってはいけないことなんだと思う。だから、あれでいいんだよ」

「二回も助けてくれたテオは格好良かったもん。無口じゃないし、もっと良いところいっぱいあるもん」

「ナタリー、ありがとう。もう少しだけ時間が経ったら、家族としてちゃんと話し合えたらいいな」
いつかちゃんと大切な人を守れる男になったと知って欲しいと思う。でも今はまだ冷静に話が出来るとは思わなかったし、したくなかった。

「うん…」

僕の為に怒って泣いてくれるナタリーがいればもう十分だった。
こんな僕が彼女と出会えたのは本当に奇跡だったと思う。これほどの人に巡り会えた幸運を、あのとき手放してしまわなくて良かった。
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