18 / 48
本編
プロポーズは泣きながら
しおりを挟む
次の休みの日、ナタリーに言われたとおり噴水広場で待っていた。秋晴れの青い空と心地よく吹く風が気持ちいい。
「テオ!!お待たせ!!」
ナタリーは大きなバスケットを持ち、フリルのついた清楚な白のワンピースを着ていて、普段の彼女より随分と大人びて見えた。
「今日はピクニックよ!!」
ナタリーはそう宣言して、僕の腕をとってずんずんと歩き出す。
「バスケットは僕が持つよ」
ナタリーからバスケットを受け取る。随分と重いな…。
郊外にある花畑まで乗り合い馬車でゆっくりと揺られていく。彼女と過ごす時間はとても心地のよいもので、長い時間馬車に乗っている苦痛なんて感じる暇も無かった。
「やっっっと着いたわね!」
そこはヒマワリ畑だった。咲いているヒマワリは種をつけて頭を垂れはじめていた。
敷物を広げて少し休む。彼女は腰を下ろした途端、僕の膝を枕に横になってしまった。猫を膝に抱くとこんな感じなのかな?体を冷やしてはいけないと思い、僕の上着をかけておく。
手持ち無沙汰だったので、近くのヒマワリを摘んで花冠を作ってみる。
そっと寝ている彼女に花冠を乗せようとしたところで目を覚ましたようだった。
「テオはすごく器用なのね」
いつもどんな小さな事でも僕を誉めてくれるナタリー。照れくさくて、へにゃっと笑って彼女の頭に花冠を乗せる。
「綺麗だよ、ナタリー」
そういうと、彼女はいつになく真剣な表情で
「ねぇ、テオ。私と結婚しない?」
僕は驚愕に目を見開いた。
「え!? ナナナタリー、それは。僕は、その、え!?」
ナタリーは混乱する僕を抱き締めて、こう言った。
「私、きっとこの先、あなたほど素敵な人とは出会えないと思う。ねぇ、考えてみてよ。あなたは危険を承知で見ず知らずの私を助けてくれたわ。それが出来る人ってあなた以外にいないのよ。」
「それに私、結婚するならあなたが良い。いえ、あなたじゃないと嫌」
今までここまで僕自身を見てくれた人がいただろうか?それに男だったら、好きな人にここまで言われて断れる奴なんかいるだろうか?
僕は嬉しくて、真っ直ぐ僕を見つめて言ってくれる彼女が愛おしくて、泣きながら返すのがやっとだった。
「…僕なんかでいいの?」
「あなたが良いの」
「プロポーズはちゃんと僕から言わせてぇ…。ぐすっ。 僕と、結婚してくれますか」
「喜んで!幸せにすると約束するわ!」
そう言って笑った君の笑顔を僕は一生忘れない。
「テオ!!お待たせ!!」
ナタリーは大きなバスケットを持ち、フリルのついた清楚な白のワンピースを着ていて、普段の彼女より随分と大人びて見えた。
「今日はピクニックよ!!」
ナタリーはそう宣言して、僕の腕をとってずんずんと歩き出す。
「バスケットは僕が持つよ」
ナタリーからバスケットを受け取る。随分と重いな…。
郊外にある花畑まで乗り合い馬車でゆっくりと揺られていく。彼女と過ごす時間はとても心地のよいもので、長い時間馬車に乗っている苦痛なんて感じる暇も無かった。
「やっっっと着いたわね!」
そこはヒマワリ畑だった。咲いているヒマワリは種をつけて頭を垂れはじめていた。
敷物を広げて少し休む。彼女は腰を下ろした途端、僕の膝を枕に横になってしまった。猫を膝に抱くとこんな感じなのかな?体を冷やしてはいけないと思い、僕の上着をかけておく。
手持ち無沙汰だったので、近くのヒマワリを摘んで花冠を作ってみる。
そっと寝ている彼女に花冠を乗せようとしたところで目を覚ましたようだった。
「テオはすごく器用なのね」
いつもどんな小さな事でも僕を誉めてくれるナタリー。照れくさくて、へにゃっと笑って彼女の頭に花冠を乗せる。
「綺麗だよ、ナタリー」
そういうと、彼女はいつになく真剣な表情で
「ねぇ、テオ。私と結婚しない?」
僕は驚愕に目を見開いた。
「え!? ナナナタリー、それは。僕は、その、え!?」
ナタリーは混乱する僕を抱き締めて、こう言った。
「私、きっとこの先、あなたほど素敵な人とは出会えないと思う。ねぇ、考えてみてよ。あなたは危険を承知で見ず知らずの私を助けてくれたわ。それが出来る人ってあなた以外にいないのよ。」
「それに私、結婚するならあなたが良い。いえ、あなたじゃないと嫌」
今までここまで僕自身を見てくれた人がいただろうか?それに男だったら、好きな人にここまで言われて断れる奴なんかいるだろうか?
僕は嬉しくて、真っ直ぐ僕を見つめて言ってくれる彼女が愛おしくて、泣きながら返すのがやっとだった。
「…僕なんかでいいの?」
「あなたが良いの」
「プロポーズはちゃんと僕から言わせてぇ…。ぐすっ。 僕と、結婚してくれますか」
「喜んで!幸せにすると約束するわ!」
そう言って笑った君の笑顔を僕は一生忘れない。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
妻のち愛人。
ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。
「ねーねー、ロナぁー」
甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。
そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる