彼女を奪還せよ!

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本編

精霊祭の出会い (拐われた少女視点1)

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私の両親は、大通りに店を構える若い女性向けの雑貨屋を営んでおり、10歳離れた兄ルディとその三歳下の姉サラがいた。

「兄さんったら、また彼女変わったの!?リズとかいう女の人が店まで押し掛けて来たのよ!!姉さんもうすぐ臨月だから店番手伝って貰えないのに!!」

「ナタリーはもう15歳になったんだね。今日もとっても元気がいいなぁ」

長男のルディは母譲りの栗色の少し癖のある髪に、甘いマスクと人懐っこい雰囲気で女性にしょっちゅう言い寄られており、フラれた女性が店に押し掛けてくることも多々あった。兄は経営を学ぶため他の商会に勤めており、店に突撃してくる女性達の矢面に立つのは、いつも店番をしている私だった。

姉のサラは父譲りの赤毛で、見事な巻き毛だった。性格はとてもおっとりしている。「怒っているのよ!」とはっきり言わないと怒っていることに気が付かないほどだと思う。ちなみに、私の容姿は母方の祖母譲りの金髪だ。

前は姉と一緒に店番していたが、姉は忙しい母に代わり家の使用人達を取り仕切っていた。姉の性格では結局矢面に立つのはいつもナタリーである事にナタリーは気が付いていない。

「兄さんたらちゃんと聞いてよ!女性と別れる時は双方納得の上でしなさいよ!私が迷惑するじゃない!私は精霊祭の準備で忙しいのよ!!」

私は怒るが、この兄には何を言っても笑ってかわされる。腹立だしいことこの上ないが、この優秀で優しい兄が大好きだった。

「フラれたのは僕の方なんだけどね。それより、今年は何を売るんだい??」
ルディは心底楽しそうに尋ねた。

「今年は一段と気合いをいれたの。造花で作った花冠と、花を刺繍した香り付きのハンカチを売るつもりよ」
この時期限定で売り出される商品の一部はナタリー自身で作って売っており、ナタリーは自身が手掛けたものが昨年の売り上げでどの店よりダントツだったことがとても誇らしかった。

「うちの看板娘は頼もしいね。明日は張り切りすぎて無理するんじゃないよ」

「無理なんてしないわ!祭りは前半3日が勝負なのよ!あ、祭りの後半は少し余裕が出来るから、祭り一緒に回ろうね、兄さん。約束よ。」

この一家に、暗雲が立ち込めるのはこの会話から三日後の事だった。



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