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本編
精霊祭の出会い 1
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見張りは常に二人だ。ルーカスの集団は拐ってくる方と売り飛ばす方に人数の大部分を割いている。二人だと必ずトイレなど見張りが一人しかいない時間が発生する。その時にいつも僕は人質に接触する。
うっかりナイフを落としてしまったり、逃げ道なんかを呟いてしまう。気を付けなければ。
今回の人質に接触するべく、僕はもう一人の見張りに声をかける。
「ルーカスが作戦変更だって呼んでたよ」
嘘だけど。来る前に確認したが、ルーカスは酒場で、最近お気に入りの女と上機嫌で真っ昼間から飲んでいた。お気に入りの女との時間を邪魔されるとどーなるか分からないが、名前も知らない不運な男の背中に合掌しておく。
廃屋の中に入ると、金髪の少女が後ろ手に縛られ、うつ伏せに倒れていた。
「おい。起きろ。」
何度か声をかけると少女は目を覚ましたようだった。
「うぅ…」
「売り飛ばされたいのか。早く起きろ。声を出さないで。時間がない」
見張りが戻ってくるまでに逃がさなければいけない。今回は隣国に売り飛ばすとルーカスが言っていた。隣国まで売り飛ばされるとその行方を追うことはかなり困難になってしまう。僕は早口に捲し立てた。
うっかりナイフを落としてしまったり、逃げ道なんかを呟いてしまう。気を付けなければ。
今回の人質に接触するべく、僕はもう一人の見張りに声をかける。
「ルーカスが作戦変更だって呼んでたよ」
嘘だけど。来る前に確認したが、ルーカスは酒場で、最近お気に入りの女と上機嫌で真っ昼間から飲んでいた。お気に入りの女との時間を邪魔されるとどーなるか分からないが、名前も知らない不運な男の背中に合掌しておく。
廃屋の中に入ると、金髪の少女が後ろ手に縛られ、うつ伏せに倒れていた。
「おい。起きろ。」
何度か声をかけると少女は目を覚ましたようだった。
「うぅ…」
「売り飛ばされたいのか。早く起きろ。声を出さないで。時間がない」
見張りが戻ってくるまでに逃がさなければいけない。今回は隣国に売り飛ばすとルーカスが言っていた。隣国まで売り飛ばされるとその行方を追うことはかなり困難になってしまう。僕は早口に捲し立てた。
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