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第三章 レイラの涙

リヒテンシュタインの勝利

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 シェレファ姫とセアラ姫をつれて逃げていたガレス卿は、敵の残党が逃げていくのを見て、驚いていた。逃避行の途中で見つけた隠れ家(洞窟のようなところ)に避難していたのだが、どうやら、外の様子を見る限り、敵は時空に空いた穴から、飛び込み、姿が見えなくなった。テルマールの国へ次元ワープしたらしい。
 洞窟の中へ戻り、もう歩けなくなって、疲れて休んでいた二人のもとへ戻ったガレス卿は、
「もう大丈夫のようです。あと少しだけ、ここで待機していましょう」と、二人に言った。
「ああ、よかった・・・」と言って、シェレファ姫が、ガレス卿に抱きつく。
「姫・・・!」と、シェレファ姫を抱きしめながら、ガレス卿はシェレファ姫にそっとキスをした。
「私がお守りいたします」と、シェレファ姫をじっと見て言う。
「ガレス卿・・・!!」とシェレファ姫が言う。

   *

 ネクロノミコンが死んで15分以上たち、湖の貴婦人の死者蘇生能力を持つ涙の15分リミットが過ぎたのもあり、アーサー王が、国民に、「ネクロノミコンは死んだ、もう生き返らない、リヒテンシュタインの勝ちだ、」と宣言した。
 敵はそそくさと、ほとんどが退散している。
 ガラハド卿も、素早い治療のおかげで、大事には至らなかった。刺さった剣を溶かす魔法もあるのだ。(引き抜くのではなく)
 血にまみれた王宮、そして各地で起こったシャドウたちと騎士たちの戦い、などが繰り広げられていた中、なんとか、リヒテンシュタインはシャドウに勝利した。

    *

「そういえば、シェレファ姉さん、ガレス卿、」と、セアラ姫が言った。
「ここらへんは、私の元別荘、レイラ様夫妻のご自宅に近いはずです!行ってみませんか」と、セアラ姫。
「セアラ、それって本当??レイラ様、無事かしら・・・」と、シェレファ姫。
 アーサー王の宣言は、リヒテンシュタインの国民全員に、意思疎通のテレパシーのようなもので伝わったので、(魔法の一つ)、シャドウがもう国内にはいないことは分かっていた。
「行ってみましょう、姫!」と、ガレス卿。
 というわけで、3人も、レイラの自宅に向けて、移動したのだった。


   *

「マササッチョ・・・!!」と、レイラが、涙に暮れて、マササッチョの死体のそばで泣いている。
「シャドウには勝ったけれど・・・・。あなたが、死んでしまった・・・!!」と、レイラが嘆く。
「こんなへき地に埋葬するのもなあ・・・ガウェイン卿は円卓の騎士の一人、国葬レベルのお方だ。死体がくさらない魔法はかけておいたから、きちんと王の元へ返そう、レイラ・・・」と、ミナス=ジェライス。
 二人は、死体を移動することもできず、(あまりにむごい死体だったので)、結界をあらたにその場付近にはりなおしていた。
「レイラ様――――――――――――――――――!!」と、声がした。
 レイラがはっと振り向く。ミナス=ジェライスが、ちゃきっと剣を抜いたが、その声の主に、、剣をしまった。
「ガレス卿か・・・!!」と、ミナス=ジェライス。
「レイラ様、ご無事で!?」と、ガレス卿。見れば、うしろから、シェレファ姫とセアラ姫もついてきている。
 ガレス卿が、マササッチョのそばで泣いているレイラを見て、ほっと安堵し、その後、マササッチョの無残な死体を見て、うっとなる。
「ガウェイン卿・・・!!いったい何があったんです、ミナス=ジェライス卿?」と、ガレス卿。
「マササッチョ様~~~!!!」と、セアラ姫とシェレファ姫が、涙を流し、死体にそっとふれる。
 ミナス=ジェライスが一通り話していた頃、
「どうも、元・湖の貴婦人であったレイラも狙われている人の一人になっていたようで・・・ここらへんにもシャドウの奴らが大勢・・・」と、ミナス=ジェライスが説明する。
「そうですか・・・」と、ガレス卿。
「レイラ様を、ガウェイン卿と一緒に守ってくださって、ありがとうございます」と、ガレス卿。
 シェレファ姫も、セアラ姫も、ガウェイン卿とは幼いころから親交があったので、泣いてその死を悲しんだ。
「きっと、ガウェイン卿も本望でしょう・・・」と、ガレス卿。
「しかし、あまりにむごい最期でした・・・」と、ミナス=ジェライス。
「ガレス卿、男二人になったので、マササッチョ卿の棺を用意して、運びましょう!事情を話し、アーサー王にも話し、国葬にするべきです」と、ミナス=ジェライス。
「協力します」と、ガレス卿。
「馬車も、明日には来るはずです。王宮からの使者が。二人の姫を探して、と、レイラ様の安否を確かめるために」と、ガレス卿。
「とりあえず、別荘の中に、ガウェイン卿を入れましょう」と、ガレス卿。

   *

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