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現在:生きる
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梓が進学のため東京を離れ間もなく、小泉が仕事を辞めた。本職で大口の契約が決まったらしく、神戸へ発った。奇しくも神戸は、梓のいる土地だった。
何度か会いに行ったが、三年経った今年、小泉は東京に帰ってきた。契約が満了したらしい。そしてこの度、本を出版する運びになったらしく、あいつは本当に順風満帆の生活をしている。
ちなみにあいつの本業は「ハンドメイド作家」だ。顔出しNGにしているので、世間的に「小泉京先生」というのは、女だと思われている。残念ながら190㎝近い大男だ。しかも無愛想で、毒舌。残念極まりない。それでも作品はバカ売れだ。世の中可笑しなもんだと思う。
「柄沢さん。これ上げます」
東京に帰ってきた小泉は、自分が作ったのだろう手作り人形を俺へと渡した。ラッピングの一つもされていない。手土産にしては雑じゃなかろうか。
「人形……か?」
何の動物なのかは、俺にはよくわからなかった。
「くまか?」
聞いたがこの世に存在しない動物だと言われた。そうだと思う。えらくとんちきな姿をしている。
「今はこういうのが売れるのか?」
手のりサイズの小さな人形。ちょこんと座ってくれる。かわいいような、不細工のような……不思議な人形だ。
「売れてますよ。というのも、その人形がつけてる首輪がパワーストーンになってて。むちゃくちゃ高いんだけど、飛ぶように売れるんですよ」
「へぇ~……。高いの、これ? え? これが??」
「失礼ですね」
むっとする小泉に笑ったが、隣に居た直人も鼻で笑った。
「俺らには分からん美的センスだな。小泉、俺には何かないのかよ」
「ありますよ。直人さんにはこれ上げます」
そう言ってめちゃくちゃカッコイイブレスレットを貰っていた。
「おい、どう考えても俺だってそっちがいいだろうが。これ、返すって」
「返さないでください! そっちの方が直人さんのより三倍くらい高いんですからね!」
「三倍!!」
直人と声が揃う。
「三倍安くても俺こっちの方がいいわ。柄沢、絶対交換はしねぇから」
「え~~!! 俺も三倍安くていいからそっちがいいって~」
三人で久しぶりに笑い合って、貰った人形は仕方がないので家に持ち帰ってキッチンの窓に座らせた。
ポ○モンかよってくらい新種の動物だが、窓辺に座ったそいつは、なんだが少し可愛く見えた。
何度か会いに行ったが、三年経った今年、小泉は東京に帰ってきた。契約が満了したらしい。そしてこの度、本を出版する運びになったらしく、あいつは本当に順風満帆の生活をしている。
ちなみにあいつの本業は「ハンドメイド作家」だ。顔出しNGにしているので、世間的に「小泉京先生」というのは、女だと思われている。残念ながら190㎝近い大男だ。しかも無愛想で、毒舌。残念極まりない。それでも作品はバカ売れだ。世の中可笑しなもんだと思う。
「柄沢さん。これ上げます」
東京に帰ってきた小泉は、自分が作ったのだろう手作り人形を俺へと渡した。ラッピングの一つもされていない。手土産にしては雑じゃなかろうか。
「人形……か?」
何の動物なのかは、俺にはよくわからなかった。
「くまか?」
聞いたがこの世に存在しない動物だと言われた。そうだと思う。えらくとんちきな姿をしている。
「今はこういうのが売れるのか?」
手のりサイズの小さな人形。ちょこんと座ってくれる。かわいいような、不細工のような……不思議な人形だ。
「売れてますよ。というのも、その人形がつけてる首輪がパワーストーンになってて。むちゃくちゃ高いんだけど、飛ぶように売れるんですよ」
「へぇ~……。高いの、これ? え? これが??」
「失礼ですね」
むっとする小泉に笑ったが、隣に居た直人も鼻で笑った。
「俺らには分からん美的センスだな。小泉、俺には何かないのかよ」
「ありますよ。直人さんにはこれ上げます」
そう言ってめちゃくちゃカッコイイブレスレットを貰っていた。
「おい、どう考えても俺だってそっちがいいだろうが。これ、返すって」
「返さないでください! そっちの方が直人さんのより三倍くらい高いんですからね!」
「三倍!!」
直人と声が揃う。
「三倍安くても俺こっちの方がいいわ。柄沢、絶対交換はしねぇから」
「え~~!! 俺も三倍安くていいからそっちがいいって~」
三人で久しぶりに笑い合って、貰った人形は仕方がないので家に持ち帰ってキッチンの窓に座らせた。
ポ○モンかよってくらい新種の動物だが、窓辺に座ったそいつは、なんだが少し可愛く見えた。
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