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秘密の宝物
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風呂を済ませ、僕らは寝室のベッドの上に座り込んだ。
亮介はズボンのポケットに秘密のナニカを隠し、僕は今のところ手ぶらだ。
「おい、準備する気もねぇのか」
「いや……、今簡単に取り出せない状態なんだよ」
「一体どこに隠したんだよ。この家にそんな難解な隠し場所があるとは思えんのだけど」
うるさい男だな。ほっといてよ。出すとなると、亮介の服ごと取り出さなきゃいけないんだよ。どこまで僕を辱めたら気が済むんだ。
「じゃ一回部屋出てってよ」
「なんでだよ。これから拝見するんだから、隠し場所を秘密にする意味ねぇだろ」
「いいから、出てってよ!」
「嫌だね! どんな秘密工作してんのか、しかと見届けてやらぁ!」
ベッドの上で取っ組み合いの喧嘩だ。いい年こいた男二人が本気で力比べをしている。
亮介のヤツ、本気だ……っ!
コンサートのために日常的に体を鍛え体力をつけている男と、一日中レストランを駆け回っているだけの僕とじゃ、当たり前に僕が押し倒された。
「さぁ、白状しろ。どこに隠した。ピンクローターでどこを虐めてほしいんだ?」
「ローターじゃないって言ってるだろ!」
本気で殴ってやろうと拳を振ったが、ひょいっと簡単に避けられ、そのまま両腕をベッドへ縫い付けられた。細められた亮介の大きな瞳は前髪の隙間からこちらをじっと見つめ、整った唇はゆっくりと僕の耳へ近づいた。
「早く出せ……」
その低く渋く……強烈に色気のある声。
僕は、この声が苦手だ。
ゾクゾクと体が震え、顔に血が集まってくるのが自分でも分かった。
昔から、どうしてもこの亮介の声が……僕の性感帯に触れてしまう。
「や……め…っ」
「ほら、いい子にして? ……比呂人」
ふっと耳に息を吹きかけられ、僕は湯を沸かす勢いで赤面して体を縮めた。
亮介は卑怯だ。この声が自分の武器だって分かってやってる。僕の弱点をこんなところで突くなんて……、全然男らしくない!
いや……、ビックリするほど男前な声なんだけど……さ。
「うぅ……」
僕は呻き声をあげ、観念した。
「分かった……分かったから、もう……やめて」
真っ赤な顔。亮介はそんな僕を満足げに見下ろし、「よし。いい子だ」と口元を吊り上げた。
ム……ムカつく。
僕はのそのそとベッドを下り、クローゼットの扉を開いた。
「……せーの、で交換だよ?」
自分のキャビネットの引き出しを引っ張り出し、後ろの亮介にもう一度確認する。
「おう。せーの、で交換だ」
後ろからはっきり返答を貰い、二人一緒に声を出した。
「せーの……!」
亮介はズボンのポケットに秘密のナニカを隠し、僕は今のところ手ぶらだ。
「おい、準備する気もねぇのか」
「いや……、今簡単に取り出せない状態なんだよ」
「一体どこに隠したんだよ。この家にそんな難解な隠し場所があるとは思えんのだけど」
うるさい男だな。ほっといてよ。出すとなると、亮介の服ごと取り出さなきゃいけないんだよ。どこまで僕を辱めたら気が済むんだ。
「じゃ一回部屋出てってよ」
「なんでだよ。これから拝見するんだから、隠し場所を秘密にする意味ねぇだろ」
「いいから、出てってよ!」
「嫌だね! どんな秘密工作してんのか、しかと見届けてやらぁ!」
ベッドの上で取っ組み合いの喧嘩だ。いい年こいた男二人が本気で力比べをしている。
亮介のヤツ、本気だ……っ!
コンサートのために日常的に体を鍛え体力をつけている男と、一日中レストランを駆け回っているだけの僕とじゃ、当たり前に僕が押し倒された。
「さぁ、白状しろ。どこに隠した。ピンクローターでどこを虐めてほしいんだ?」
「ローターじゃないって言ってるだろ!」
本気で殴ってやろうと拳を振ったが、ひょいっと簡単に避けられ、そのまま両腕をベッドへ縫い付けられた。細められた亮介の大きな瞳は前髪の隙間からこちらをじっと見つめ、整った唇はゆっくりと僕の耳へ近づいた。
「早く出せ……」
その低く渋く……強烈に色気のある声。
僕は、この声が苦手だ。
ゾクゾクと体が震え、顔に血が集まってくるのが自分でも分かった。
昔から、どうしてもこの亮介の声が……僕の性感帯に触れてしまう。
「や……め…っ」
「ほら、いい子にして? ……比呂人」
ふっと耳に息を吹きかけられ、僕は湯を沸かす勢いで赤面して体を縮めた。
亮介は卑怯だ。この声が自分の武器だって分かってやってる。僕の弱点をこんなところで突くなんて……、全然男らしくない!
いや……、ビックリするほど男前な声なんだけど……さ。
「うぅ……」
僕は呻き声をあげ、観念した。
「分かった……分かったから、もう……やめて」
真っ赤な顔。亮介はそんな僕を満足げに見下ろし、「よし。いい子だ」と口元を吊り上げた。
ム……ムカつく。
僕はのそのそとベッドを下り、クローゼットの扉を開いた。
「……せーの、で交換だよ?」
自分のキャビネットの引き出しを引っ張り出し、後ろの亮介にもう一度確認する。
「おう。せーの、で交換だ」
後ろからはっきり返答を貰い、二人一緒に声を出した。
「せーの……!」
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