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クリスマスデート
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妄想はここまでにしておこう。すべて俺の勝手な想像でしかない。比呂人を美味しく頂くなんて言葉自体が最初から丸ごと冗談かもしれないわけだし。
なんせ皆、酔っ払ってた。当てにならないよな、酔っ払いの言葉なんか。
「亮……介」
背後から弱々しい声がして、俺は振り返った。
「起きたのか」
こくんと頷き、よろめきながらこちらに歩いてくるから、俺は慌てて駆け寄った。
「千鳥足っつーんだよ、これ」
「ふふ……明日、二日酔いかな」
「たぶん」
頷く俺に比呂人はまた笑った。
「ビール飲んでたの?」
ソファに座らせると、テーブルの上の缶ビールに比呂人は俺を見た。
「あぁ。飲む?」
「僕にこれ以上酒を煽ってどうするつもり?」
「記憶ぶっ飛ぶくらいヤりまくる」
「あはは、やだなぁ」
ひとしきり比呂人は笑うと、こてん、と俺の膝を枕にしてソファに寝そべった。
「愛してるよ……、亮介」
まるで寝言のような声。
比呂人の猫毛を撫でながら、俺はビールを喉に流し込んだ。
「ありがとう」
髪を梳かすように撫で、しばらく……。膝から比呂人の寝息が聞こえてきた。
久々のデート。楽しかったけど、なんか邪魔ばかりが入った一日だったな。やっぱり無理してでも遠出すれば良かったか?
けど、決めた。これから毎年クリスマスはお揃いの何かを買うことにしよう。この腕時計のように、ひとつずつさ。そうやって、思い出を残して行こうぜ、比呂人。
「次のデートは山梨の実家に……帰ろうな」
眠る比呂人のおでこにキスをして、俺はこの人に永遠を誓う。
どんなに邪魔が入ろうが、どんな壁に阻まれようが、この誓いは破れない。明日リーダーに何を言われても、この人だけが俺の生きる道だから、絶対に負けたりなんかしない。
例えそれが誰かを傷つけることになったとしても。
ー 完 ー
なんせ皆、酔っ払ってた。当てにならないよな、酔っ払いの言葉なんか。
「亮……介」
背後から弱々しい声がして、俺は振り返った。
「起きたのか」
こくんと頷き、よろめきながらこちらに歩いてくるから、俺は慌てて駆け寄った。
「千鳥足っつーんだよ、これ」
「ふふ……明日、二日酔いかな」
「たぶん」
頷く俺に比呂人はまた笑った。
「ビール飲んでたの?」
ソファに座らせると、テーブルの上の缶ビールに比呂人は俺を見た。
「あぁ。飲む?」
「僕にこれ以上酒を煽ってどうするつもり?」
「記憶ぶっ飛ぶくらいヤりまくる」
「あはは、やだなぁ」
ひとしきり比呂人は笑うと、こてん、と俺の膝を枕にしてソファに寝そべった。
「愛してるよ……、亮介」
まるで寝言のような声。
比呂人の猫毛を撫でながら、俺はビールを喉に流し込んだ。
「ありがとう」
髪を梳かすように撫で、しばらく……。膝から比呂人の寝息が聞こえてきた。
久々のデート。楽しかったけど、なんか邪魔ばかりが入った一日だったな。やっぱり無理してでも遠出すれば良かったか?
けど、決めた。これから毎年クリスマスはお揃いの何かを買うことにしよう。この腕時計のように、ひとつずつさ。そうやって、思い出を残して行こうぜ、比呂人。
「次のデートは山梨の実家に……帰ろうな」
眠る比呂人のおでこにキスをして、俺はこの人に永遠を誓う。
どんなに邪魔が入ろうが、どんな壁に阻まれようが、この誓いは破れない。明日リーダーに何を言われても、この人だけが俺の生きる道だから、絶対に負けたりなんかしない。
例えそれが誰かを傷つけることになったとしても。
ー 完 ー
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