ココア番外編

クリスマスデート

19

＊　＊　＊　＊　＊


　家に帰った。本当は無駄にホテルとか泊まってみたかったけど、比呂人がこの有り様では意味がない。ベッドに比呂人を寝かしつけ、俺はリビングで一人ビールを飲んだ。

　頭の中は……正直こんがらがっていた。佐久間さんの言葉がぐるぐると耳の奥から離れてくれない。


ー俺、その人くらい綺麗だったら普通に抱けるぜー
ー置いて帰れ。俺らがおいしく頂くわー


　それってつまり、そういう意味で間違いはないわけで。佐久間さんも、圭吾くんも、雪村さんも、まさか………リーダーも？

　お前らもイケるだろ、と聞いた佐久間さんにみんなが頷いた。冗談半分だとは思う。けど、あと半分は……まじだった気がする。

「いや……、嘘だ。そんなわけない」

　嘘だと信じたかった。だけど、最後の雪村さんの目と、勘違いかもしれないリーダーの目が、嘘ではないのだと俺の心を焦らせる。男同士の恋愛なんて、そんなあちこちに溢れているわけがないって思っていたけど、案外そうでもないのか？
　「残念」と佐久間さんの肩に寄りかかった圭吾くんの感じも……、身に覚えがある。恋人同士がじゃれ合う感じだ。
　ってことは……。

「え？　ちょ…っと待てよ！　リーダーと、ゆ、雪村さんっ!?」

　あり得ない組み合わせに飲んでいたビールを吐き出すかと思うほど自分で自分の考えに驚いた。今までリーダーから雪村さんの話なんて聞いたことがなかった。そんなことを言ったら佐久間さんや圭吾くんの話も聞いたことはなかったけど、リーダーは昔から大御所アイドルから絶大な信頼を得ていた。

　ああいう人だから、あまり目立つような人ではなかったけど、トップスターに欠番が出ると決まってリーダーが指名されていた。何か困ったことがあった時も、なぜか「ウッチーにも聞いてみよう」なんて会話があったこともまた事実だ。

　リーダーの判断力と決断力は雪村さんに匹敵するか、もしかするとそれ以上かもしれない。いや、だからこそ雪村さんのお目にかなったということか？

「……まじ？」

　雪村さんと、リーダー。

　正論しか言わない。正論しか知らない。そんな人達だ。付き合ってても、たぶん喧嘩とかしないんだろうな。したらしたで超怖そうだけど。

　あ、だけど。

　”喧嘩は大概しょうもないことだ”

　雪村さんでもやっぱり痴話喧嘩をするってことか？

　佐久間さんと圭吾くんは親友のイメージが強いから、この際付き合っていたとしてもそれほど驚かない。だけど雪村さんとリーダーの組み合わせは……俺にはあまりに斬新すぎる。

「でも……、お、お、お似合いかもしれないな」

　漫画にしか興味ないような人だけど、雪村さんならそんなリーダーのことちゃんと見てくれそうな気がする。いい加減にしろよー、とか言いながらもあの人ならまた漫画を買い足してあげたり……するのかも。

　うわゎ、ちょっと何を想像してんだ、俺。