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クリスマスデート
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「リーダーはさ、漫画好きなんだ」
こんなことで比呂人の恐怖が和らぐかどうかは分からない。だけど、きっとリーダーのことをきちんと知らないから恐怖心だけが浮き彫りになるんだと思う。
「ファンからもオススメ漫画を貰うくらい漫画好きで通ってる。しかも雑食だから、少女漫画から大人の漫画まで平気で読み漁る」
仕事の合間にアダルティーな漫画を読んで、「へぇ、すげぇのな」とか無表情で読み進めるからこちらの方が冷や冷やする。カメラの前でおっ勃てていたらシャレにならないから。けど、二次元では興奮しないのか一度も危険なことになったことはない。そういう漫画はたぶん100%ファンからお遊びで送られてくる。
何かの雑誌でリーダーが「ファンからアダルト漫画が送られてきて驚いたけど、面白かった」なんて冗談めいたばかりに、ぞくぞくと送られてくるようになった。最近ではBLとかGLなんて呼ばれる部類のものにまで手を出してしまっている。いや、まぁ送られてくるから読んでるだけなんだろうけど。
「男同士のエッチな漫画とかも最近読んでたし、……たぶん単純に驚いたんじゃねぇかな?」
「……驚く?」
「あぁ、ホントにある世界なのか、ってさ」
言ったけど、比呂人は引きつったような笑いを浮かべた。
「あれはそんなんじゃない。 ”殺す” って言われた気がした」
バカ言えよ。
「んな訳ねぇだろ。うちのリーダーはそんなに気性の荒い人じゃない。万が一そうだとしても、俺がそんなことさせるわけねぇだろ」
リーダーはただ人の真実を見抜くような瞳を持っているだけだ。比呂人はその目に慣れていないからこんなに怯えている。確かに、見透かされているようなリーダーの目は時に物凄いプレッシャーとなったり、焦りの原因になったりするけど、そこに人を憎むような怒りや殺気など絶対にあるわけがない。
あの人は、そんな人じゃない。
比呂人は俺の肩にとんと自分の頭を預けた。
「……そうだよ、ね。ごめん。メンバーのことそんな風に言っちゃって。ごめん」
謝り、そのまま体勢を変えて俺に抱きつくと、頼りない瞳で俺を見つめた。
「なんて顔、してんだよ」
泣き出しそうな、まだ恐怖が拭い切れていないような、怯えた小動物みたいな、そんな顔。
やべぇ。可愛すぎ……。
「俺が守ってやるから。もう忘れろ」
比呂人の腰に手を回し、キスをした。
それからほどなく。
「こちら、雪村様からです」
焼酎が、ボトルで一本やってきた。
粋な人だと思う。だから怯えたままの比呂人に酒を煽った。
こんなことで比呂人の恐怖が和らぐかどうかは分からない。だけど、きっとリーダーのことをきちんと知らないから恐怖心だけが浮き彫りになるんだと思う。
「ファンからもオススメ漫画を貰うくらい漫画好きで通ってる。しかも雑食だから、少女漫画から大人の漫画まで平気で読み漁る」
仕事の合間にアダルティーな漫画を読んで、「へぇ、すげぇのな」とか無表情で読み進めるからこちらの方が冷や冷やする。カメラの前でおっ勃てていたらシャレにならないから。けど、二次元では興奮しないのか一度も危険なことになったことはない。そういう漫画はたぶん100%ファンからお遊びで送られてくる。
何かの雑誌でリーダーが「ファンからアダルト漫画が送られてきて驚いたけど、面白かった」なんて冗談めいたばかりに、ぞくぞくと送られてくるようになった。最近ではBLとかGLなんて呼ばれる部類のものにまで手を出してしまっている。いや、まぁ送られてくるから読んでるだけなんだろうけど。
「男同士のエッチな漫画とかも最近読んでたし、……たぶん単純に驚いたんじゃねぇかな?」
「……驚く?」
「あぁ、ホントにある世界なのか、ってさ」
言ったけど、比呂人は引きつったような笑いを浮かべた。
「あれはそんなんじゃない。 ”殺す” って言われた気がした」
バカ言えよ。
「んな訳ねぇだろ。うちのリーダーはそんなに気性の荒い人じゃない。万が一そうだとしても、俺がそんなことさせるわけねぇだろ」
リーダーはただ人の真実を見抜くような瞳を持っているだけだ。比呂人はその目に慣れていないからこんなに怯えている。確かに、見透かされているようなリーダーの目は時に物凄いプレッシャーとなったり、焦りの原因になったりするけど、そこに人を憎むような怒りや殺気など絶対にあるわけがない。
あの人は、そんな人じゃない。
比呂人は俺の肩にとんと自分の頭を預けた。
「……そうだよ、ね。ごめん。メンバーのことそんな風に言っちゃって。ごめん」
謝り、そのまま体勢を変えて俺に抱きつくと、頼りない瞳で俺を見つめた。
「なんて顔、してんだよ」
泣き出しそうな、まだ恐怖が拭い切れていないような、怯えた小動物みたいな、そんな顔。
やべぇ。可愛すぎ……。
「俺が守ってやるから。もう忘れろ」
比呂人の腰に手を回し、キスをした。
それからほどなく。
「こちら、雪村様からです」
焼酎が、ボトルで一本やってきた。
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