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クリスマスデート
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「知ってたね。自分でも驚きだよ。けど総理大臣くらい有名じゃない?」
「そうだな。お前がちゃんと日本人で俺は安心したよ」
「でもそれ言い出したら、及川……なんとか君も知ってるよ」
「透真だ。及川透真」
「あぁ、そんな名前だったね」
まさかだった。雪村さんだけじゃなく、及川くんまで。さては……。
「エッグバトル見てたの?」
「ん? うん、当時の彼女がね」
ぅわ、最悪。聞くんじゃなかった。
いや、別に彼女がいたことくらいそりゃあるだろうし、そんなものにいちいちジェラシー感じてたらキリがないのもわかっているが。だがしかしだ。よく考えろよ? エッグバトルは俺が中一の時だ。つまり比呂人は……
は……
は、
二十歳!?
ダメだ! 二十歳の比呂人なんて今より数倍カッコイイに決まってる! しかもたぶん短大時代だ。話によると……モテてた時期のはずだ!
「許せねぇ……っ」
「なにが? 怖いよ、顔」
「俺はその時中坊で! お前はその時短大生だったわけだ!」
「それがなんだよ。っていうか、中坊? うわぁ……ガキだなぁ」
むーかーつーくーーっ!!
「年の差感じるなぁ。中坊の亮介かぁ、どうせやんちゃだったろ」
やかましいわ!
「二十歳の頃の比呂人……っ! くっそぉ!」
「何に怒ってるのかさっぱり分からないよ」
「写真だ! 写真よこせ!」
「はぁ?」
思い切り呆れ声を出されてしまう。けど、俺の場合は過去の写真なんかネットで調べりゃ腐る程出てくるけど、比呂人の若かりし頃なんて、本人に頼まなきゃ見られないんだよ! はぁ?なんて呆れた顔してるけど、これは俺としては当然の興味なわけで。
「今から実家に帰ろう!」
「バカじゃないの? 絶対帰らないし」
最後の一口をつるんっと食べ終え、比呂人はお茶に手を伸ばした。
「クリスマスプレゼント買ってくれるんだろ? 実家になんか帰ってたら時間なくなっちゃうよ」
「かまわん!」
「相変わらず面倒くさい男だな。もう行くよ」
上着を椅子からふわりと持ち上げ、比呂人は立ち上がった。
アロマの香りが漂う。そして、
「実家には、また今度改めて行こう。ちゃんと紹介するから」
そう言って、比呂人はどこか恥ずかしそうに微笑んだ。
しょ……う、かい。
……うぉ、まじか。
その言葉に、俺は赤面してしまった。
その後は、もうただただドキマギしていた。実家のご両親に何て言って紹介されるんだろう、なんて想像してはニヤニヤ笑い、いや、でもそれはあり得ないだろ、と自分で否定する。ただの友達として紹介されるだけだと分かってはいるけど、妄想くらいは自由にさせて頂く。こればっかりは俺の自由だ。
「そうだな。お前がちゃんと日本人で俺は安心したよ」
「でもそれ言い出したら、及川……なんとか君も知ってるよ」
「透真だ。及川透真」
「あぁ、そんな名前だったね」
まさかだった。雪村さんだけじゃなく、及川くんまで。さては……。
「エッグバトル見てたの?」
「ん? うん、当時の彼女がね」
ぅわ、最悪。聞くんじゃなかった。
いや、別に彼女がいたことくらいそりゃあるだろうし、そんなものにいちいちジェラシー感じてたらキリがないのもわかっているが。だがしかしだ。よく考えろよ? エッグバトルは俺が中一の時だ。つまり比呂人は……
は……
は、
二十歳!?
ダメだ! 二十歳の比呂人なんて今より数倍カッコイイに決まってる! しかもたぶん短大時代だ。話によると……モテてた時期のはずだ!
「許せねぇ……っ」
「なにが? 怖いよ、顔」
「俺はその時中坊で! お前はその時短大生だったわけだ!」
「それがなんだよ。っていうか、中坊? うわぁ……ガキだなぁ」
むーかーつーくーーっ!!
「年の差感じるなぁ。中坊の亮介かぁ、どうせやんちゃだったろ」
やかましいわ!
「二十歳の頃の比呂人……っ! くっそぉ!」
「何に怒ってるのかさっぱり分からないよ」
「写真だ! 写真よこせ!」
「はぁ?」
思い切り呆れ声を出されてしまう。けど、俺の場合は過去の写真なんかネットで調べりゃ腐る程出てくるけど、比呂人の若かりし頃なんて、本人に頼まなきゃ見られないんだよ! はぁ?なんて呆れた顔してるけど、これは俺としては当然の興味なわけで。
「今から実家に帰ろう!」
「バカじゃないの? 絶対帰らないし」
最後の一口をつるんっと食べ終え、比呂人はお茶に手を伸ばした。
「クリスマスプレゼント買ってくれるんだろ? 実家になんか帰ってたら時間なくなっちゃうよ」
「かまわん!」
「相変わらず面倒くさい男だな。もう行くよ」
上着を椅子からふわりと持ち上げ、比呂人は立ち上がった。
アロマの香りが漂う。そして、
「実家には、また今度改めて行こう。ちゃんと紹介するから」
そう言って、比呂人はどこか恥ずかしそうに微笑んだ。
しょ……う、かい。
……うぉ、まじか。
その言葉に、俺は赤面してしまった。
その後は、もうただただドキマギしていた。実家のご両親に何て言って紹介されるんだろう、なんて想像してはニヤニヤ笑い、いや、でもそれはあり得ないだろ、と自分で否定する。ただの友達として紹介されるだけだと分かってはいるけど、妄想くらいは自由にさせて頂く。こればっかりは俺の自由だ。
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