ココア番外編

2wei

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答えはYES

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 動く腰。的確に突かれる性感帯。勘弁……して、否。もう、ダメ、もうヤメロ、やめてくれ!!

 我慢出来ない快感。漏れ出る声。窒息しそうだった。
 次の瞬間。

「はぁ!?」

 今まで普通に会話していた比呂人が、いきなり声を上げた。

「無理! 今夜は断固拒否だよ」

 腰も動かさず、比呂人は首を振った。

「いや、テレビ……見てただけだけど、それでも今夜はダメ! ダメなもんはダメなんだよ」

 その会話の内容に、俺も固まってしまう。

「え? ちょ……、ぅわ、いるの? みんな、店に? ちょ、待ってよ」

 比呂人が慌てている。どうした?と俺まで不安になった時。ピンポーンと、また玄関チャイムが鳴った。

「……もしやこのチャイムは、お前たちか?」

 携帯から賑やかな笑い声がこちらにまで聞こえてくる。

「え? うん、そうだよ。つまり居留守するくらい今夜はダメってことだ。明日にしよう」

 しかし暫くして、比呂人はまた思い出したように腰を振り、スタッフ達にほだされたように息を吐き出した。

「分かったよ。ただし後、十五分は待って」

 ちょっと待て、おい。何? お前今何の話してる?
 不安が増していく。
 電話は切られ、何の話だと聞く前に、比呂人は性急に腰を動かし始めた。

「比呂……っ! なん…だ…って? おい、説明しろっ、よ……!」

 息も絶え絶え問いただすと、比呂人はありえない事を言い放った。

「店のスタッフが今からうちに来る。たぶん泊まりだ」

 おい、嘘だろ? 泊まりって、泊まりって……おい、てめぇ、っざけんなーーーーっ!!!!

 比呂人は「ごめん」と俺にキスをした。
 待て待て。それで許しを請うつもりか?
 一度しかイかない比呂人は、キスのあと性急に腰を動かし、俺の腹の上で果てた。

「てか、なんで!? なんで承諾したんだよ! ふざけんなよ!」

 俺たちは大急ぎで風呂場に向かい、シャワーを浴びた。

「いや、一度居留守しちゃったもんだから、スタッフ達、店で試飲会やってたみたい。つまりその~……飲んだから、泊めてくれって」
「電車で帰れよ!!」

 怒りは収まらなかった。

「家の前にもいるんだろ? 俺、どうしたらいんだよ!?」
「……一緒に試飲会するか、寝室に篭るか」
「まじ、ふざけんなよお前?」

 比呂人はおかしそうに笑った。

「寝室には入れさせないよ。今夜も一緒に寝ようね」

 寝室に鍵が掛けられることで、比呂人は安心しきっているんだろうが、寝室の鍵は絶対に開けてやらねぇ。締め出してやる。誰が一緒に寝てやるか。

 自分の靴を下駄箱にしまい込み、荷物を寝室に持ち運び、俺はそこに籠城した。籠城したがやっぱり鍵を開け、玄関へ向かう比呂人を慌てて呼び止めた。
 お菓子と飲み物をちゃっかり調達して、再び俺は寝室に舞い戻る。

 もう、本当に信じられねぇ。
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