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真実
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一瞬、内海の目の前は真っ白になって、何故それを知っているんだと慄いたように佐久間を見上げた。
その表情をニヤニヤしながら見つめ、「ビンゴ?」と尋ねるように問われた。
それはまるで、口から出任せだったんだけどね、と言っているようにも聞こえ、内海はカッと顔を赤らめた。
「うるせぇ! いねぇよ、好きなやつなんて!」
そう言って再びドアノブを回したが、佐久間にまた勢いよく戸を閉められ、ガチャンっと鍵をかけられた。
「男に興味あんだろ? だから俺のこと試しに味見した。違う?」
「……っ、違う! お前が力尽くでやったんだろっ」
「逃げていいっつったじゃん。あれ、強姦じゃないよね? 同意のもとだよね?」
「………っ!」
言い返せるだけの充分な言葉がなくて、内海はうるせー!と叫ぶしかなかったけど、彼に助け舟を出すように菊池が間に入ってきた。
「まぁまぁ。佐久間に目を付けられたのは御愁傷様ってかんじだけど、俺ら、君の力になれると思うよ? こう見えて、キューピット様やってるから」
佐久間なんかよりよほど優しい口調の菊池を見上げ、その言葉の意味に首を傾げる。
菊池は黙り込む内海にニコニコと微笑み、佐久間の前に割り込んで彼を見下ろす。
「まぁ、キューピットというより探偵……の方が近いかな?」
そう言うと、真後ろにいる佐久間の手を取って隣に並ばせると、見せ付けるようなキスを交わした。他人のキスをこれほど近くで見たことない内海はさっと顔を背けたが、くちゅ……という小さな水音だけは嫌でも耳に入ってしまった。
「同性愛はさ、あんまり無いようでよくある話なんだよ。誰が誰を好きで、誰が誰を欲しがってるのか。俺らはそれを調べてる。情報集めや情報交換の支払いは、カラダ、だけどね」
菊池はクスクス笑い、佐久間と再び軽いキスを交わすと、そのまま肩を組んだ。
「俺と佐久間が、この”深夜会''の発足者。メンバーは今んとこコレで全員。依頼が来れば俺たちは誰とでも寝るよ? どうする? 君の好きな子がノンケかゲイか、調べてあげようか? もちろん、お支払いはきっちりもらうけどね」
内海は菊池を見上げ、佐久間を睨み、深夜会と呼ばれているメンバーを見渡した。そして、鋭い眼光で再び菊池を睨みあげた。
「悪いがそれじゃ、割に合わん」
そう言うや否や、内海は頭一個以上背の違う菊池の胸ぐらを掴んで引き寄せると、鼻先が触れ合うほどの距離で凄むように言った。
「そんなにエッチが好きならよぉ、俺がシステム化してやろうか? 会社巻き込んでよぉ?」
内海の言葉に、部屋にいる全員が耳を疑い、何を言ってるんだ?とそれこそ理解に苦しんだ。
「誰とでも寝んだろ? 例えそれが会社の人間でも」
「……キミ、何言ってるの?」
訝しげに眉を寄せる菊池に、内海は苛立ちを隠しもせずに容赦無い頭突きを食らわすと、その衝撃に転倒する菊池を目視してから、佐久間の胸ぐらを掴み、そのまま足をすっぱ抜いて尻餅を付かせた。そしてその腹目掛けで足を振り下ろす。
「ぐっ……!」と声の漏れ出た佐久間を上から見下ろし、内海は服のポケットからあのエンピツを取り出すと、その尖った芯を佐久間へと見せつけた。
その表情をニヤニヤしながら見つめ、「ビンゴ?」と尋ねるように問われた。
それはまるで、口から出任せだったんだけどね、と言っているようにも聞こえ、内海はカッと顔を赤らめた。
「うるせぇ! いねぇよ、好きなやつなんて!」
そう言って再びドアノブを回したが、佐久間にまた勢いよく戸を閉められ、ガチャンっと鍵をかけられた。
「男に興味あんだろ? だから俺のこと試しに味見した。違う?」
「……っ、違う! お前が力尽くでやったんだろっ」
「逃げていいっつったじゃん。あれ、強姦じゃないよね? 同意のもとだよね?」
「………っ!」
言い返せるだけの充分な言葉がなくて、内海はうるせー!と叫ぶしかなかったけど、彼に助け舟を出すように菊池が間に入ってきた。
「まぁまぁ。佐久間に目を付けられたのは御愁傷様ってかんじだけど、俺ら、君の力になれると思うよ? こう見えて、キューピット様やってるから」
佐久間なんかよりよほど優しい口調の菊池を見上げ、その言葉の意味に首を傾げる。
菊池は黙り込む内海にニコニコと微笑み、佐久間の前に割り込んで彼を見下ろす。
「まぁ、キューピットというより探偵……の方が近いかな?」
そう言うと、真後ろにいる佐久間の手を取って隣に並ばせると、見せ付けるようなキスを交わした。他人のキスをこれほど近くで見たことない内海はさっと顔を背けたが、くちゅ……という小さな水音だけは嫌でも耳に入ってしまった。
「同性愛はさ、あんまり無いようでよくある話なんだよ。誰が誰を好きで、誰が誰を欲しがってるのか。俺らはそれを調べてる。情報集めや情報交換の支払いは、カラダ、だけどね」
菊池はクスクス笑い、佐久間と再び軽いキスを交わすと、そのまま肩を組んだ。
「俺と佐久間が、この”深夜会''の発足者。メンバーは今んとこコレで全員。依頼が来れば俺たちは誰とでも寝るよ? どうする? 君の好きな子がノンケかゲイか、調べてあげようか? もちろん、お支払いはきっちりもらうけどね」
内海は菊池を見上げ、佐久間を睨み、深夜会と呼ばれているメンバーを見渡した。そして、鋭い眼光で再び菊池を睨みあげた。
「悪いがそれじゃ、割に合わん」
そう言うや否や、内海は頭一個以上背の違う菊池の胸ぐらを掴んで引き寄せると、鼻先が触れ合うほどの距離で凄むように言った。
「そんなにエッチが好きならよぉ、俺がシステム化してやろうか? 会社巻き込んでよぉ?」
内海の言葉に、部屋にいる全員が耳を疑い、何を言ってるんだ?とそれこそ理解に苦しんだ。
「誰とでも寝んだろ? 例えそれが会社の人間でも」
「……キミ、何言ってるの?」
訝しげに眉を寄せる菊池に、内海は苛立ちを隠しもせずに容赦無い頭突きを食らわすと、その衝撃に転倒する菊池を目視してから、佐久間の胸ぐらを掴み、そのまま足をすっぱ抜いて尻餅を付かせた。そしてその腹目掛けで足を振り下ろす。
「ぐっ……!」と声の漏れ出た佐久間を上から見下ろし、内海は服のポケットからあのエンピツを取り出すと、その尖った芯を佐久間へと見せつけた。
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