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真実

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 エッグバトルが始まって間も無く、内海は初めて事務所の寮へ足を踏み入れた。佐久間がどうしてもと聞かないから、渋々ついてきた。だがそこには、自分より先輩のエッグばかりが勢揃いしていた。狭い部屋に7名も。

 菊池章太、西川圭吾、藤本芳樹、仁科洋平、池内幸祐、天道雅明、浅野健吾

 佐久間を含めると8名もいることになる。
 一体何の集まりだと眉を寄せる。2段ベッドと2つの勉強机。寮の部屋は二人部屋だが、この密集率。圧迫感さえ覚え、内海はギロリと佐久間を睨みあげた。

 だが、佐久間に集められていたこの ”深夜会” のメンバーも一様に内海に首を傾げた。
 「誰?」と西川以外のメンバーが内海を怪訝に睨む。西川とてまさか同じ曜日の後輩エッグを佐久間が連れてくるなど思ってもいなった。

「小学生~? 勘弁してよぉ、佐久間ぁ」

 この中では最年長の仁科が紅茶味の豆乳を飲みながら、内海を見て笑い出す。内海は背が低く、顔も幼い。まさか中学2年生だなんて、誰も思ってなかった。

「中2だ、ばか」

 内海が舌打ちする横で佐久間が訂正し、そして見せ付けるように肩を引き寄せた。その行為に内海は身を捩って逃げようとしたが、池内が決定的な言葉を口にして、内海は硬直した。

「なに? もう抱いたの? 手早ぇぞ、お前」

 男達がわっと爆笑し、「圭吾ん時はめっちゃ渋ってたくせに」と池内にからかわれ、佐久間は珍しく「うるせー!」と少し紅潮して叫んだ。
 内海だけ、このメンバーが一体何のメンバーか想像するのもおぞましく、逃げ出せるものなら今すぐトンズラしたい衝動に駆られた。
 しかし、硬く抱かれている肩は逃がすものかと更に力が込められ、内海は佐久間をまた睨みあげた。

「これ……一体なんですか? 俺そんな趣味ないですよ」

 内海の小さな声は部屋にしっかりと響き、一同は一瞬で静まり返った。
 先輩エッグが揃い踏みしているこの中で、睨まれるような視線を注がれた内海は、我慢できずに佐久間の腕を振り解くとそのまま部屋のドアノブに飛びついた。しかし、それを佐久間に制止され、悪魔のような笑顔で微笑まれた。

「うっちーもさ、俺らの仲間になってよ。悪いようになんかしないから。すぐに気持ちよくなるよ」
「断る!」

 間髪入れずに叫んだ。そしてそれは初めてのタメ口でもあった。

「そんな趣味ねぇっつってんだろ! やりたい奴でやっとけよ!」

 威勢のいい後輩の言葉に菊池はクスクスと笑い、池内は「あいつ口のきき方から教えなきゃなんねぇのか?」と苛立ちをあらわにする。後のメンバーは事の成り行きを佐久間に委ねるような態度で、出て行くなら出て行くで構わないといった感じだった。だが、状況は一変する。

「お前、事務所に好きな奴いるだろ?」
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