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決勝戦開幕!
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Mellow、BLACK CAT、Monday Monster
この三組は思春期の男子たちの憧れとなり、目標となっていく。もちろん女性からの支持も厚い。
この人気ぶりは、当時独占状態にあった別の男性アイドル事務所から、見事に市場の一部を奪い取る結果となった。ANNADOLの人気は、本人達が思っているよりずっとずっと高く、その認知度もはるかに世間へ浸透していた。
ただ世間も、ANNADOL達ですらも知らないことがただ一つだけある。
それは、この勝負の結果次第で太一が日本を離れる、ということだ。
負ければその場で渡米を発表。太一には時間がない。この勝負に負けてしまえば、三日後に渡米することになるのだから、悠長に「後日発表」なんてしていられないのだ。
けど、そうならないようにたくさん喧嘩して、たくさん話し合って、たくさん泣いて、たくさんたくさん練習してここまで来た。
ミサンガはまだ切れていない。願いが叶うように、夢に到達するように、この絆が永遠であるように、四人は右手を突き出し、拳を合わせる。星を掴むために。
「We are …… MOMO」
まるで確かめるような雪村の声。覇気がないというより、この名前やこの瞬間を噛み締めるような声。三人はふと雪村を見上げ、その瞳が今までにないくらい真剣で集中しているのが伺え、思わずピンっと背筋が伸びる。
パフォーマンスは、全4曲。すでにくじ引きは終えている。MOMOの順番は、トップバッターだ。だがその前に、前座がある。
楽屋の外は慌ただしく、スタッフがあちこちを走り回り、生放送開始に向けて、最終調整を行う。その中で楽屋に呼び出しが掛かったのはCheck it !のメンバーだった。
「勝負には負けてる。けど、前座一発目を任されたのは俺たちだ。くじ引きでもなんでもない」
二ノ宮が年下の二人へと語りかける。士気を上げるための力強い言葉。
「正直、人気はSURFの方が高い。けど俺たちがこの闘いの幕開けを報《しら》せる仕事を任された。……テレビには映らない。だけどこんな名誉なことはないよ。何故俺たちが前座一発目を任されたのか、ちゃんと意識して頑張ろう」
「はい!」
いつも飄々としていて、ダンスをしていなければ驚くほどのんびりしている二ノ宮だが、彼の勝負強さと精神力の強靭さ、そして何よりも、 案外真面目で考えが深く“まとも”だということ。独り言も多く、あらぬものまで見えてしまう霊感者の二ノ宮は、ちょっと変わり者だと思われがちだが、実はそこまでおかしな人間ではない。
オンオフのギャップで言えば、雪村に匹敵するほどの男ではあるが、のんびりしていながらも案外哲学的だったりもする。
そんな二ノ宮を小形は慕っていた。すごく厳しいレッスンを繰り返し、たくさんダメ出しされて、たくさん褒めてもらった。ダンサーとしてもアイドルとしても、小形は二ノ宮を尊敬していた。
「華やかに、ダイナミックに、客席が思わず拍手する、そんなステージにしよう」
アクロバットグループとしての底意地。それを今思う存分に発揮する時。
グループメンバーとしてはたった三人だが、この日のために同じ曜日にいるエッグ達と何十時間も練習してきた。バックダンサーのエッグを九人も引き連れ、二月の予選時よりはるかに見栄えがよくなっている大胆なパフォーマンスを披露する予定だ。この決勝戦の幕開けに相応しいパフォーマンス。今ようやく完成された彼らのステージがもう間もなく見られる。
「“Check it !”、最後のステージだよ。悔いのないよう、気合い入れていこう」
三人は円陣を組み、気合いの一声を上げると、バックダンサーのエッグ達と合流して舞台袖へ駆け出した。
この三組は思春期の男子たちの憧れとなり、目標となっていく。もちろん女性からの支持も厚い。
この人気ぶりは、当時独占状態にあった別の男性アイドル事務所から、見事に市場の一部を奪い取る結果となった。ANNADOLの人気は、本人達が思っているよりずっとずっと高く、その認知度もはるかに世間へ浸透していた。
ただ世間も、ANNADOL達ですらも知らないことがただ一つだけある。
それは、この勝負の結果次第で太一が日本を離れる、ということだ。
負ければその場で渡米を発表。太一には時間がない。この勝負に負けてしまえば、三日後に渡米することになるのだから、悠長に「後日発表」なんてしていられないのだ。
けど、そうならないようにたくさん喧嘩して、たくさん話し合って、たくさん泣いて、たくさんたくさん練習してここまで来た。
ミサンガはまだ切れていない。願いが叶うように、夢に到達するように、この絆が永遠であるように、四人は右手を突き出し、拳を合わせる。星を掴むために。
「We are …… MOMO」
まるで確かめるような雪村の声。覇気がないというより、この名前やこの瞬間を噛み締めるような声。三人はふと雪村を見上げ、その瞳が今までにないくらい真剣で集中しているのが伺え、思わずピンっと背筋が伸びる。
パフォーマンスは、全4曲。すでにくじ引きは終えている。MOMOの順番は、トップバッターだ。だがその前に、前座がある。
楽屋の外は慌ただしく、スタッフがあちこちを走り回り、生放送開始に向けて、最終調整を行う。その中で楽屋に呼び出しが掛かったのはCheck it !のメンバーだった。
「勝負には負けてる。けど、前座一発目を任されたのは俺たちだ。くじ引きでもなんでもない」
二ノ宮が年下の二人へと語りかける。士気を上げるための力強い言葉。
「正直、人気はSURFの方が高い。けど俺たちがこの闘いの幕開けを報《しら》せる仕事を任された。……テレビには映らない。だけどこんな名誉なことはないよ。何故俺たちが前座一発目を任されたのか、ちゃんと意識して頑張ろう」
「はい!」
いつも飄々としていて、ダンスをしていなければ驚くほどのんびりしている二ノ宮だが、彼の勝負強さと精神力の強靭さ、そして何よりも、 案外真面目で考えが深く“まとも”だということ。独り言も多く、あらぬものまで見えてしまう霊感者の二ノ宮は、ちょっと変わり者だと思われがちだが、実はそこまでおかしな人間ではない。
オンオフのギャップで言えば、雪村に匹敵するほどの男ではあるが、のんびりしていながらも案外哲学的だったりもする。
そんな二ノ宮を小形は慕っていた。すごく厳しいレッスンを繰り返し、たくさんダメ出しされて、たくさん褒めてもらった。ダンサーとしてもアイドルとしても、小形は二ノ宮を尊敬していた。
「華やかに、ダイナミックに、客席が思わず拍手する、そんなステージにしよう」
アクロバットグループとしての底意地。それを今思う存分に発揮する時。
グループメンバーとしてはたった三人だが、この日のために同じ曜日にいるエッグ達と何十時間も練習してきた。バックダンサーのエッグを九人も引き連れ、二月の予選時よりはるかに見栄えがよくなっている大胆なパフォーマンスを披露する予定だ。この決勝戦の幕開けに相応しいパフォーマンス。今ようやく完成された彼らのステージがもう間もなく見られる。
「“Check it !”、最後のステージだよ。悔いのないよう、気合い入れていこう」
三人は円陣を組み、気合いの一声を上げると、バックダンサーのエッグ達と合流して舞台袖へ駆け出した。
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