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下校:秘密
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気付いたのは、二月のことだった。
何故このことに気付いたのか、正直分からない。だけど最初は「あれ?」という小さな気付きだった。けど、その不可解なものが僕の勘違いじゃないと確信に変わったのが二月だった。
十二月も、一月も、二月も、柄沢さんは二十一日に休みを取っていた。もしかするとずっとそうだったのかもしれない。気付いていなかっただけで、付き合う前から……そうだった可能性が浮上している。
三か月、同じ日に休みが続けば、それが「希望休」なのかな、と誰だって思うわけで。
僕は毎日欠かさずつけている日記を読み返した。二十一日だけ。
────────────────
【7月21日】
夏休み開始! 終業式の後、皆であっちゃん先輩の家に行かせてもらった。まーくん先輩はこの夏休み、受験に向けて夏期講習だって嘆いてた。頑張れ~!
【8月21日】
今日は柄沢さんお出かけなんだって。一日音信不通。ちょっとくらい返事くれたっていいじゃん。拗ねる。
【9月21日】
数学の抜き打ち小テスト。最低だ。
【10月21日】
柄沢さんと夜中まで電話でお喋りした。
【11月21日】
柄沢さんは二連休。明日は紅葉を見に行く。楽しみで仕方ない。
────────────────
分かるのは、8月と11月も柄沢さんは仕事を休んでいたということだ。
「二十一日……」
一体この日が何なのか……。分からないまま、三月。
柄沢さんは、二十一日に休みを取っていた。やはりこの日を……休むのか。
「……ねぇ、二十一日って何するの?」
「え?」
尋ねると、彼は洗っていたお茶碗を滑り落とし、ゴトっとシンクの中で重い音がした。
……え、なに……その反応?
柄沢さんは、「滑った」と独り言を言いながらお茶碗を拾い上げ、「友達のところへ行くつもり」と返事した。
「友達って?」
突っ込んで聞くと、「昔からの友達だよ」と簡単に返事した。そりゃ……まさかこの人の友達がスタンドメンバーだけなわけはないだろうけどさ……。だけど……僕は正直、スタンドメンバー以外の友達を知らない。
「へぇ。どんな人なの」
「どんな……。いや、普通だよ。俺のチームにいたやつ」
「チーム?」
チームってなに?
聞いた僕に柄沢さんはぐっと一瞬顔をこわばらせると「グループだよ」と言い直した。いやいや……チームとグループは言い間違わないでしょ。
「なんのチーム? スポーツでもしてたの?」
だけど柄沢さんはそれ以上答えてくれなくなって、沈黙の末に洗い物を終えると、「おいで」と言って僕をベッドルームへと誘った。
そしてテレビ台の引出しを漁り、一枚の写真を僕に見せてくれた。
そこに写っていたのはうちの制服を着た十数名の男子生徒だった。
何故このことに気付いたのか、正直分からない。だけど最初は「あれ?」という小さな気付きだった。けど、その不可解なものが僕の勘違いじゃないと確信に変わったのが二月だった。
十二月も、一月も、二月も、柄沢さんは二十一日に休みを取っていた。もしかするとずっとそうだったのかもしれない。気付いていなかっただけで、付き合う前から……そうだった可能性が浮上している。
三か月、同じ日に休みが続けば、それが「希望休」なのかな、と誰だって思うわけで。
僕は毎日欠かさずつけている日記を読み返した。二十一日だけ。
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【7月21日】
夏休み開始! 終業式の後、皆であっちゃん先輩の家に行かせてもらった。まーくん先輩はこの夏休み、受験に向けて夏期講習だって嘆いてた。頑張れ~!
【8月21日】
今日は柄沢さんお出かけなんだって。一日音信不通。ちょっとくらい返事くれたっていいじゃん。拗ねる。
【9月21日】
数学の抜き打ち小テスト。最低だ。
【10月21日】
柄沢さんと夜中まで電話でお喋りした。
【11月21日】
柄沢さんは二連休。明日は紅葉を見に行く。楽しみで仕方ない。
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分かるのは、8月と11月も柄沢さんは仕事を休んでいたということだ。
「二十一日……」
一体この日が何なのか……。分からないまま、三月。
柄沢さんは、二十一日に休みを取っていた。やはりこの日を……休むのか。
「……ねぇ、二十一日って何するの?」
「え?」
尋ねると、彼は洗っていたお茶碗を滑り落とし、ゴトっとシンクの中で重い音がした。
……え、なに……その反応?
柄沢さんは、「滑った」と独り言を言いながらお茶碗を拾い上げ、「友達のところへ行くつもり」と返事した。
「友達って?」
突っ込んで聞くと、「昔からの友達だよ」と簡単に返事した。そりゃ……まさかこの人の友達がスタンドメンバーだけなわけはないだろうけどさ……。だけど……僕は正直、スタンドメンバー以外の友達を知らない。
「へぇ。どんな人なの」
「どんな……。いや、普通だよ。俺のチームにいたやつ」
「チーム?」
チームってなに?
聞いた僕に柄沢さんはぐっと一瞬顔をこわばらせると「グループだよ」と言い直した。いやいや……チームとグループは言い間違わないでしょ。
「なんのチーム? スポーツでもしてたの?」
だけど柄沢さんはそれ以上答えてくれなくなって、沈黙の末に洗い物を終えると、「おいで」と言って僕をベッドルームへと誘った。
そしてテレビ台の引出しを漁り、一枚の写真を僕に見せてくれた。
そこに写っていたのはうちの制服を着た十数名の男子生徒だった。
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