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第十二章:壁
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しおりを挟む「美雨、今日はランチ、外に行こうか。寮長から外出許可は貰ってきてあげるから」
朝、起きて着替えをしてると、九条先輩に声をかけられる。
九条先輩も服を脱いでいる最中で、綺麗な顔と割れた腹筋が眩しくて、思わず視線は先輩の体に釘付けに。
「美雨?」
「はっ、はい!行きます!」
元気な美雨の返事を聞くと、先輩は嬉しそうに頷く。
「じゃあ、今日の11時半に正門のところで待ち合わせね」
約束の時間に行くと、もう既に先輩は校門の柱のところに寄りかかって待っていた。
門を通り過ぎる生徒たちは、みんな九条先輩に熱い視線を送っていて、声をかけようかどうしようかと迷うような顔をしている。
あの視線の中を僕は行くのかと、美雨は一瞬怯んだが、先輩を待たせるわけにもいかなくて、急いで先輩に駆け寄る。
「お待たせしました!」
「美雨」
先輩がこっちに気がついて、美雨にヒラヒラと手を振ると、生徒たちは一斉に美雨に羨望と嫉妬の眼差しを送る。
刺すような痛い視線に耐えながら、先輩の隣に立つと、先輩は
「さぁ、行こうか」
と、美雨の肩を抱き寄せる。
その瞬間、背後で発狂するような呻き声があちこちから聞こえてきた。
街に出ると、九条先輩の歩く速度は速くて、その後ろを美雨は一生懸命について歩く。
誰もがハンサムな九条先輩の方を振り返り、一緒に歩いていた美雨は、少し得意気な気分になった。
「美雨ここだよ」
一軒のお洒落なイタリアンカフェの前で先輩は立ち止まり、美雨のためにドアを開けてくれる。
「ほら、遠慮しないで食べて」
ピッツァにパスタ、シーザーサラダに、炭火焼きチキン、美雨のために先輩は色々とオーダーしてくれて、美雨は次々と美味しい料理を嬉しそうに頬ばる。
真夏の照りつける日差しの下を歩いてきたせいで、喉が乾いていた美雨は、食べている合間に、ちゅるる とライムスカッシュをストローから吸い込むと、先輩は、ストローを咥えている美雨の口元をじいっと見つめた。
「美雨、あーん♡」
デザートに頼んだドルチェのティラミスを、先輩はスプーンに取ると、美雨の口元にもってくる。
ドギマギしながら、ぱくん とそれを口に入れると、九条先輩は嬉しそうに、ニッコリと笑顔を浮かべる。
「ここについてる、美雨」
先輩はそう言って、美雨の口もとについたマスカルポーネの白いかけらを、そっと指で拭うと、その指をペロリと嘗める。
「美雨のこれ、凄く甘い」
美形の先輩にそう囁かれて、美雨は顔を真っ赤にして、下を向く。
「先輩……」
恒星のように、遠く憧れの存在だった九条先輩と一緒に、まるで恋人のように親密な時間を過ごしてる。
それは真夏の蜃気楼が見せる、儚い幻のようで、夢よ醒めないで、と美雨は願う。
お昼ゴハンを食べ終わっても、まだ寮に帰りたくないと、そう思っていた美雨の心を読むように、
「この後、映画でも観る?」
と九条先輩は優しく誘ってくれた。
「はい!」
目を輝かせて返事をすると、先輩はスマホを取り出し、映画館のスケジュールをチェックする。
やがて、その整った顔を少し曇らせる。
「うーん、今の時間だと、ホラー映画しかないなぁ」
正直に言うと、美雨はホラー映画が苦手だった。
たまに、ルームメイトの悠斗がホラー映画を見始めると、キャーキャー言いながら、美雨は布団を被って枕で頭を押さえて、音が聞こえないようにしていた。
悠斗はそれを見ると面白がってワザと音量をあげ、それでよくケンカをしていた事を思い出す。
でも、ここで映画を観たくないと言えば、もう寮に帰らないといけなくなる。せっかくの先輩とのデートをここで終わりにしたくなかった。
「み、観たいです!ホラー映画!」
美雨は勇気を出して答えると、九条先輩はニッコリと微笑む。
「じゃあ決まりだね」
お店を出ると、九条先輩は、またスタスタと歩き出し、美雨も必死で後を追いかける。
足の長さが違うと、こうも歩く速度が違うのかと、美雨は少し凹む。
映画館に着くと、先輩はポップコーンとドリンクを買ってきてくれて、二人で仲良く並んで席につく。
映画の内容は、案の定おどろおどろしくて、怖いシーンがある度に、美雨は「ひいっ」とか「ひゃぁぁ」と悲鳴をあげた。
怖くて肩を震わせている美雨に気がついた九条先輩は、美雨の手を取り、ぎゅっと握っていてくれて、(先輩の手、大きくて温かい……)、包み込むような先輩の優しさに美雨の心臓は高鳴る。
やっと映画が終わり、脱力したように映画館を出ると、外はもう夕方だった。
「さぁ、そろそろ帰らないとね」
ぐったりとした表情で美雨が頷くと、九条先輩は帰りは、ゆっくりとした歩幅で歩いてくれた。
二人で肩を並べて歩きながら、そっと隣の先輩を見上げると、夕日に照らされた先輩の顔は、息をのむほどにハンサムで、美雨は、こっそりと見とれて顔を赤らめる。
「ん?」
美雨の視線に気がついた先輩が、不意にこちらを向く。先輩の、きらめく星の如く魅惑的な瞳と目があって、美雨の心臓は再びドキンと跳ね上がる。
「な、なんでもないです!」
美雨は慌てる。
恥ずかしい!どうか、夕日が僕の顔の赤さを隠してくれていますように!
必死で願いながら平静を装って歩くと、今度は隣に並んで歩く先輩の手の甲と一瞬、触れる。
美雨の顔はますます赤くなる。
いつか、先輩と恋人のように手を繋いで歩けたらいいのに…… それは何の取り柄もない平凡な僕には叶わぬ夢だけど……
美雨は現実を思い出し、少し、しょんぼりとする。
交差点で信号待ちをしていると、電柱に貼られていた週末の花火大会のポスターが目に入ってきた。
美雨がそれをじいっと眺めていると、
「一緒に行く?」
笑顔で優しく先輩が問いかける。
「はい。一緒に行きたいです!」
「じゃあ、美雨のために週末の予定を開けておくよ」
九条先輩は最高に魅力的な笑顔でウィンクをする。
先輩の優しさが嬉しくて、美雨は飛び跳ねたいくらいに心が弾んだ。
部屋に戻ると、先輩はドアを閉めて、後ろ手で鍵をカチャンとかける。
「ねぇ美雨、今日は僕に嘘をついたね」
「え… ?」
「君は本当に悪い子だね」
「先輩?」
「本当はホラー映画、苦手だったのにどうして僕に嘘ついたの?」
「そ、それは……」
もじもじと下を向いた美雨の腕を取ると、先輩は真っ直ぐにベッドルームに向かい、ドサッとベッドに押し倒す。
「嘘つきの悪い子にはお仕置きをしないとね」
先輩の手はベルトにかかると、ズボンを下着ごと、ずり下ろす。
「あ!」
「僕がまだ触ってもいないのに、美雨のここはどうして硬くなっているの?」
先輩に抱きしめられると反応してしまう体に、美雨はいつの間にか、なってしまっていた。
「ううぅぅ… 」
恥ずかしさで美雨は呻く。
ぴょん と立ち上がったソレを先輩はじっくりと眺めると、美雨の右手を取り、硬くなったそこに沿わせる。
「見ていてあげるから、今日は自分でやってごらん」
先輩の声が意地悪く淫らに耳元で響く。
凄く恥ずかしい姿だけど、先輩の言葉には逆らえない。
恐る恐る、ぎゅっぎゅっと扱くと、そこはみるみるとパンパンにふくれ上がった。
あ…ん… もう出ちゃいそう……
ぎゅっと目を閉じて、思わず手に力を込めると、先輩の声が響く。
「美雨、まだ出しちゃだめだよ」
九条先輩の命令に、美雨は慌てて握っていた手の力を緩める。
すると、先輩の長い指が一本、後ろの蕾にズプリと入ってくる。
「?! ひやっあ?!」
初めての感触に、美雨は思わず声を出してしまう。
「ゆっくり手を動かして、美雨」
美雨が言われた通りに再び手を動かすと、先輩の指も同じタイミングで、ゆるゆると出入りを繰り返す。
「あっ、ああん… 」
「美雨のここ、凄く熱くて絡みついてくる… 」
先輩の声は興奮で少しかすれていた。
(あ…ん…気持ちいい……)
美雨はいつの間にか、汗をかいて、必死に手を動かしていた。
やがて、中を探っていた先輩の指が、ザラリとした一カ所を見つける。
「っひゃっ!ひゃあんん?!」
美雨の体内の淫らな突起物を先輩の指が擦ると、ビクンビクン!と美雨は体を震わせる。
「や、やだ!先輩!怖い!なんか来ちゃう…!」
半泣きになりながら美雨が悲鳴をあげると、
「美雨、イッていいよ」
優しく耳元で九条先輩は囁く。同時に、先輩の淫らな指先が、美雨の身体の奥の敏感な箇所を強く擦り上げた。
「あああああっ!」
信じられないほどの強烈な快感。
美雨は堪えきれず、悲鳴のような声をあげてブルンブルンと体を震わせると、先輩に見守られながら、白い飛沫をシーツの上に放出して達し、気を失った。
目を覚ますと、先輩は、美雨のクタンと力つきているペニスを口の中に入れて、ちゅうちゅうと残りの汁を吸い取っていた。
「…っああン… 」
敏感になったそこを舌で弄ばれると、くすぐったくて、思わず声が洩れてしまう。
九条先輩の舌は、やがて美雨のお腹の上に飛び散った白い蜜へと伸びる。
お掃除をするように、それも綺麗にぺろりと舐めとると、下着とズボンを履かせてくれた。
全身に心地よい疲労感が広がっていた美雨は、
心の中で、(先輩、大好き……)と呟くと、意識を失うようにして、大好きな先輩の腕の中で朝までぐっすりと眠り込んだ。
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