ココア ~僕の同居人はまさかのアイドルだった~

2wei

文字の大きさ
上 下
81 / 160
第十章:不安、戸惑い、それでも好き

しおりを挟む
 セバスチャンにクズ魔石と鉱石をあるだけ運んでもらうことに。
 今は夜なので追加でいるなら明日にならないとダメだって言うので市場荒らさない程度に仕入れてほしいとお願いした。

 クズ魔石を溶かして魔力を通して、魔導インクを大量に作って、板状の鋼板に魔法陣を書き込んでいく。
 ほんの少しの魔力を入れれば何日かは暖かさが持つはず。
 長く持たせるならもう少し装置を複雑にしないとだけど緊急事態なので許してほしい。
 
 火の魔石を魔法陣の上に置けば威力が増すから室内ならだいぶ良い。

 あとはカイロもどきを一気に量産して。

 ふと気付いてしまった。私が休まないとニーナたちが休めない。

「ニーナ、アラン、ジェイク、明日も大変だろうから休んできて?私もこれが済んだら寝るから」

「みんなが動いてるんで気になさらなくて良いんですよ。リーシャさまはお身体にためにそれが済んだら絶対おしまいですからね」

 のぉ。念押しされちゃった。

「はぁい」

 ニーナに逆らったらダメ。なのでしおらしくしておきます。

 病人がたくさんなので空気清浄機を作っておきたいの。〈洗浄〉〈清浄〉でわりとなんとかなるだろうけど大広間全体は流石に普通の魔力じゃ厳しいはず。

 ウィルスはなくても綺麗な空気の方が衰弱してるなら安心だろうし。

 風魔法と聖魔法の魔法術式を組み込んで鋼板に魔法陣を書き込んで空調っぽい動作ができるように設計。
 流石に大部屋の分だけ大型五台にしておいた。

 アランとジェイクがマジックバッグに入れて運んでくれるので、私も動作確認がしたいので一緒に向かった。

 未だ新たに運ばれてきてるので一向に休まらないだろうなって状態。

 壁沿いに空気清浄機をセットしていきスイッチを入れれば、ちゃんと稼働したので安心。

 寒さに震えてるような人は居なさそうなので循環させるだけで良いかな。

 ちょうどセバスチャンと遭遇したので、カイロもどきとヒーターがわりの鋼板を渡した。

「あれから数時間でこんなに!?体調は!?」
 肩をガシッとされたので「大丈夫だから早くホーンに配ってあげて」って言って逃げた。

 大きな声が聞こえたのでそっちを覗くとまさに出産中なお部屋ならしい。
 マギー先生のドスの聞いた応援?が迫力だ。
 覗くわけにもいかず「無事に生まれて」ってお祈りして離れる。
 お義母さまが侍女長さんと廊下を早足で歩いていたのでお声を掛けると、
「あら、リーシャちゃん、寝てなくても大丈夫?」
 と心配気に頭を撫でられる。未だに栄養失調な私が目に浮かんでるんだろうな。
「はい、お義母さま。私にも何か出来ますか?」
 お義母さまも少し疲労の色が出てるので早く休んでほしいけど、使用人のみんながフル稼働だからそうも言ってられない。

「そうねぇ、多分最低でも一週間はこの状態になるだろうから交代で休まないとなのよねぇ」
 まぁ吹雪が済むまでとその後の生活の立て直しもあるだろうしすぐには帰せないよね。

「明日にはアンゼリカちゃんたちも来てくれるだろうから休むのはそれからにして今は滋養にいい食べ物をルルゥと相談してくれないかしらぁ?」

 私がお役に立ちたい気持ちを汲んでくれてる気がする。

「でもいっぱい魔力を使ったと聞いたわよぉ~?無理だけはしないでねぇ?」

 ぎゅむっとハグをしてくれてお義母さまは別にお部屋に様子を見に行った。

「ニーナ、無理はしないから厨房に行こう」

 流石にこの状況で寝ろとは言えないらしく超渋い顔で一緒に厨房に向かってもらう。

 お肌ツルツルを喜んでたのが嘘みたいな急展開で、今度は目にクマーを飼う話になりそう。

「あら、リーシャちゃん、ちょうど良かったわ。味見てちょうだい」

 渡されたお椀には甘酒の香りがする穀類がトロトロになったスープ。

「ちょっと甘くなっちゃった気がするのよ?」
「ん、優しい味だし、身体がほかほかになりそうだから良いと思うよ。大人にはちょっとこれを混ぜてみたらどうかな」
 
 私は棚に置いてある生姜の塊を指差した。

「ああ~これは良さそうね」

 あとはたまご粥と味噌をミルクに溶かしてスープにしたのを提案してみた。
 お野菜は全部微塵切り。比較的調子がよさそうなら大きい具とお肉も入れて。

 妊婦さんには湯豆腐や豆腐スープも良いかも?メグミもリーシャも経験がないから臨月の人が何食べたいかわかんないなぁ。とにかく寒さにやられた後だから温かいものを!

 鶏白湯がいいなって思いついて、私は邪魔にならないところで若いコックさんを捕まえて鳥の骨の処理を手伝ってもらう。

 アランとジェイクにはしばらくここにいるから交代で仮眠を取るように伝えた。
 最初は渋っていたけど長丁場なので納得してくれた。コックさんたちの仮眠室を使わせてもらうそうだ。
 ニーナにも言ったんだけど、私と一緒にって言われちゃった。

 魔導コンロだと火力が弱いけどとりあえずやってみる。
 骨と野菜と薬草と漢方系の実を一緒に煮込んで薬膳スープにすることにした。

「向こうのコンロ使ってもいいんじゃないですか?」
 コックさんが言ってくれたけど全部フル稼働だから無理に割り込まなくても良い。順番に仕上がって出していけば。

 スープは煮込むのに時間が掛かるから、合間にミートボールを作ることに。ミンチ肉なら消化もいいし食べやすいはず。

 コックさんたちが使ってくれないミンサーに貯蔵室から運んでもらった魔獣肉を入れまくる。
 ハーブと塩胡椒で味付けをしてだんご状にしていくのをコックさんたちが手伝ってくれた。
 こっちのは鳥でこっちは・・・蛇かも!?んであれはオークだっけ。色合いの違いで多少わかるようになった。

 忙しく働いてくれてるうちの人たちにも力付けてもらわないとだからいっぱいミンチにしちゃうんだ。

 ポムたちがなぜが慌ただしくあっちこっちに動き回ってるけど何してるんだろう?







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約者に会いに行ったらば

龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。 そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。 ショックでその場を逃げ出したミシェルは―― 何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。 そこには何やら事件も絡んできて? 傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

イケメン俳優は万年モブ役者の鬼門です

はねビト
BL
演技力には自信があるけれど、地味な役者の羽月眞也は、2年前に共演して以来、大人気イケメン俳優になった東城湊斗に懐かれていた。 自分にはない『華』のある東城に対するコンプレックスを抱えるものの、どうにも東城からのお願いには弱くて……。 ワンコ系年下イケメン俳優×地味顔モブ俳優の芸能人BL。 外伝完結、続編連載中です。

あと一度だけでもいいから君に会いたい

藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。 いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。 もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。 ※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります

金の野獣と薔薇の番

むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎ 止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。 彼は事故により7歳より以前の記憶がない。 高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。 オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。 ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。 彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。 その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。 来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。 皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……? 4/20 本編開始。 『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。 (『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。) ※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。 【至高のオメガとガラスの靴】  ↓ 【金の野獣と薔薇の番】←今ココ  ↓ 【魔法使いと眠れるオメガ】

【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する

SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。 ☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます! 冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫 ——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」 元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。 ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。 その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。 ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、 ——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」 噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。 誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。 しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。 サラが未だにロイを愛しているという事実だ。 仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——…… ☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので) ☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

花いちもんめ

月夜野レオン
BL
樹は小さい頃から涼が好きだった。でも涼は、花いちもんめでは真っ先に指名される人気者で、自分は最後まで指名されない不人気者。 ある事件から対人恐怖症になってしまい、遠くから涼をそっと見つめるだけの日々。 大学生になりバイトを始めたカフェで夏樹はアルファの男にしつこく付きまとわれる。 涼がアメリカに婚約者と渡ると聞き、絶望しているところに男が大学にまで押しかけてくる。 「孕めないオメガでいいですか?」に続く、オメガバース第二弾です。

処理中です...