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第十章:不安、戸惑い、それでも好き
ーside 加藤ー 1
しおりを挟む「はい」
待つ、なんて言葉を使うかどうか迷ってしまうぐらいの時間で戻って来た空さんは僕の前へウーロン茶を置き、手に持ったままのビールを一口。
「ありがとう。いくらだった?」
僕は財布を取り出しながらそう尋ね、財布と入れ違いながら机へ置かれたビール。
「別にいいよ。次をそっちが出してくれれば」
「そうだね。分かった」
その名案に僕は財布を仕舞い、ウーロン茶を一口――美味い。
「ルールは?」
「んーっと。カウントアップ」
「おっけ」
知っている風に答えたけど、僕はただ陽咲とやったモードを言っただけだ。正直、これ以外知らない。
でも空さんは台へと向かうと設定をしてくれた。
そして戻って来た彼女はまずビールをもう一口。
「ダーツはした事あるんでしょ」
「え? 一応。でも何で――」
それを知っているのか、そう訊こうとしたけどすぐに陽咲の顔が思い浮かび言葉を途中で止めた。
「陽咲から聞いた事あるから。あんたとダーツ行ったって」
「やっぱり陽咲か」
「二人ともボロボロだったって笑ってたっけ」
僕は恥ずかしさも相俟って乾いた笑いを零した。
「まぁ、良い勝負ではあったんだけどね」
「先投げていいよ」
そう言って空さんはダーツ立てを僕の方へと寄せた。
正直に言って先に投げようが後に投げようが僕の実力からすれば変わらない。だから僕は三本手に取りライン際に立った。
特に何も考えず、一投目。――二投目。――三投目。合計は十一だった。
「おっけ」
一言そう言った空さんは僕がダーツを取って戻る頃にはラインに立っていたのだが、既に僕はレベルが違うような気がした。自分がどんな構え方で投げてるのか分からないし何も知らない僕が言うのもあれだけど、それは僕が想像していた綺麗な構えで、これぞダーツって感じだ。
そして投げると言うより放るような感じで飛んだダーツは一つ、二つと刺さっていく。三本目が刺さり合計点は三十点。
それからも交互に投げていった訳だけど、当然ながら最終的に勝ったのは空さん。それどころか一ラウンドでさえ僕は彼女に勝る事が出来なかった。
結果としては、一七三対五六二。
でも僕はこの得点には疑いを持っていた。
「どれくらい手を抜いたの?」
「まぁ一応、毎回あんたよりは点を取るようにして六百ぐらいを目指してたって感じ」
「ちなみに訊くけど、普通にやったらどれくらい?」
「んー。最高で八五十かな。まぁ殆どまぐれみたいな点数だったけど」
圧倒的な数字の差に言葉すら出なかった。
「でも別に勝負がメインじゃないし。――じゃあ、ゼロワンやる?」
気を遣った空さんの声がそんな提案をしてくれた訳だけど――。
「ゼロワンって?」
「カウントアップの逆? 点数を先にゼロにした方が勝ちってやつ」
「楽しそう! それやってみようよ」
最早、勝ちどころかいい勝負でさえ放棄した僕は純粋にダーツを楽しもうと思った。
そして台へ行き設定を変える空さん。彼女が戻るとさっきと同じように僕が先にポジションに就く。
それから一投目を投げようとしたが、僕はその手を止めると空さんを見た。
「なんかコツとかない?」
ここまで大きな差があるんだったらどうせなら、そういう思いで僕は空さんに教えを乞う事にした。一瞬、眉を顰めた空さんだったが呑もうとしたビールから手を離すと僕の元へ。
でもすぐに何かを言う訳でもなく、少しだけ腕を組んでいた。
「――まぁアタシは」
そう言いながらさっきのゲームで見た構えを隣でして見せる空さん。
「こうやって楽な感じで体を横向きにして立って、ダーツが目線の高さにくるとこに構える」
「横で、目線――」
空さんを見ながら真似るように構えてみる。
「少し前足に重心を乗せて、ダーツは三本指で持ってる」
「前足に重心で、三本」
「そして肘を中心にあんまり力入れ過ぎないで腕を動かして投げる。まぁ、ダーツは弟に教えて貰ったんだけど」
「空さん弟いるの?」
不意の情報に僕は構えを解き、ダーツのコツより先にそっちが気になってしまった。
「五歳下の弟。別にそれはいいでしょ」
「まぁ、そうか」
まだ驚きが蠢くのを感じながらも僕はさっきの言葉を思い出しながら再び構えた。
「弟には、バスケのシュートみたいな感じで投げるって教えて貰って上手くいったんだけど――バスケした事ある? ワンハンドのシュート」
幸いにもバスケ自体は中学の時にやってたからその説明は割としっくりときた。
「中学の時にやってたよ。確かその時のコーチに同じ感じでシュートを教えて貰ったかな」
中学の時を思い出しながら僕はバスケのシュートを打つようにダーツを投げた。
得点自体は一点と最低だったものの、刺さった場所は限りなく真ん中に近い場所。僕は確かな手ごたえを感じていた。それと同時に何となくだけど感覚が掴めたような気がした
「おぉー! なるほど! こんな感じか」
その感覚を忘れぬうちに二投目、三投目とダーツを投げる。
すると、三投目のダーツが見事ど真ん中へと突き刺さった。僕は想像すらしてなかった結果に思わず無言のまま口を半開きにして顔だけをそっと隣の空さんへ。そして依然と無言のまま投げた方の手でガッツポーズをした。
「――すごくない?」
恐らく初めてと思う真ん中命中に興奮していたが、それを上回る驚きが口調を落ち着いたものにしていた。
「狙ったんなら」
口調だけで見れば僕と然程変わらない空さんだったけど、もはや僕は褒めて貰ったり興奮を共有したりせずとも気にならない程には欣喜雀躍の思いだった。そんな気持ちのままスキップ気味の足取りでダーツを取りに。それから勝利の美酒ならぬウーロン茶を飲み干す(もっと言えば勝利すらしてないんだけど)。でもここまでのとの一口よりもそれは美味しく感じた。ような気がした。
そんな悦に入った僕の横で空さんが構える。
「そう言えば真ん中って何点?」
僕の質問の直後、空さんの一投目が宙を駆ける。二十点。
「五十」
質問に答えながら構え、二投目。二十点。
「思ったんだけど、さっきのゲームからあんまり真ん中狙ってないよね? 手加減とかしてくれてる?」
その言葉に投げる前、一度だけ僕を見遣る空さんだったが、何も言わず三投目。二十点。
そしてそのままダーツを回収へ。
でも台の前へ行くと僕の方を振り返り、真ん中を指差す。
「これが五十。そんで――」
そのまま移動した指はその上へ。丁度、ダーツが二本刺さってる場所だ。
「こっちが六十」
それだけを言うとダーツを抜き始める空さん。
でも僕は完全に置き去りにされていた。
「え? そっちの方が点高いの? 何で?」
「何でって。トリプルだから。二十の三倍は流石に出来るでしょ」
三本のダーツを手に戻って来た空さんは自然の摂理を説明するが如く平然とした様子でビールを持ち上げた。
「トリプル? それじゃああの外側にある小さい枠は?」
「ダブル」
一口と二口目の合間に差し込まれた返事。
僕はもう一度、ダーツボードを見た。
「まさか知らなかったわけ?」
淡々とした声に視線をボートから空さんへ。
「確かによく考えたらあんな風に分けられてるって変だよね」
「まっ、ただそーゆう彩りって言われたら納得しそうだけど」
そして最後の一口を飲み干した空さんは僕の方へ空になったグラスを滑らせ差し出した。
「お替り」
「同じの?」
「――同じの」
少し悩んだ後、そう答えると僕は自分のグラスも持ってそれぞれの二杯目を買いに向かった。今度は僕もお酒。
そしてそれから僕らは引き続きお酒を呑みながらダーツを楽しんだ。カウントアップの他にゼロワンやクリケットなんていうルールもやって存分にダーツを満喫する事が出来た。
待つ、なんて言葉を使うかどうか迷ってしまうぐらいの時間で戻って来た空さんは僕の前へウーロン茶を置き、手に持ったままのビールを一口。
「ありがとう。いくらだった?」
僕は財布を取り出しながらそう尋ね、財布と入れ違いながら机へ置かれたビール。
「別にいいよ。次をそっちが出してくれれば」
「そうだね。分かった」
その名案に僕は財布を仕舞い、ウーロン茶を一口――美味い。
「ルールは?」
「んーっと。カウントアップ」
「おっけ」
知っている風に答えたけど、僕はただ陽咲とやったモードを言っただけだ。正直、これ以外知らない。
でも空さんは台へと向かうと設定をしてくれた。
そして戻って来た彼女はまずビールをもう一口。
「ダーツはした事あるんでしょ」
「え? 一応。でも何で――」
それを知っているのか、そう訊こうとしたけどすぐに陽咲の顔が思い浮かび言葉を途中で止めた。
「陽咲から聞いた事あるから。あんたとダーツ行ったって」
「やっぱり陽咲か」
「二人ともボロボロだったって笑ってたっけ」
僕は恥ずかしさも相俟って乾いた笑いを零した。
「まぁ、良い勝負ではあったんだけどね」
「先投げていいよ」
そう言って空さんはダーツ立てを僕の方へと寄せた。
正直に言って先に投げようが後に投げようが僕の実力からすれば変わらない。だから僕は三本手に取りライン際に立った。
特に何も考えず、一投目。――二投目。――三投目。合計は十一だった。
「おっけ」
一言そう言った空さんは僕がダーツを取って戻る頃にはラインに立っていたのだが、既に僕はレベルが違うような気がした。自分がどんな構え方で投げてるのか分からないし何も知らない僕が言うのもあれだけど、それは僕が想像していた綺麗な構えで、これぞダーツって感じだ。
そして投げると言うより放るような感じで飛んだダーツは一つ、二つと刺さっていく。三本目が刺さり合計点は三十点。
それからも交互に投げていった訳だけど、当然ながら最終的に勝ったのは空さん。それどころか一ラウンドでさえ僕は彼女に勝る事が出来なかった。
結果としては、一七三対五六二。
でも僕はこの得点には疑いを持っていた。
「どれくらい手を抜いたの?」
「まぁ一応、毎回あんたよりは点を取るようにして六百ぐらいを目指してたって感じ」
「ちなみに訊くけど、普通にやったらどれくらい?」
「んー。最高で八五十かな。まぁ殆どまぐれみたいな点数だったけど」
圧倒的な数字の差に言葉すら出なかった。
「でも別に勝負がメインじゃないし。――じゃあ、ゼロワンやる?」
気を遣った空さんの声がそんな提案をしてくれた訳だけど――。
「ゼロワンって?」
「カウントアップの逆? 点数を先にゼロにした方が勝ちってやつ」
「楽しそう! それやってみようよ」
最早、勝ちどころかいい勝負でさえ放棄した僕は純粋にダーツを楽しもうと思った。
そして台へ行き設定を変える空さん。彼女が戻るとさっきと同じように僕が先にポジションに就く。
それから一投目を投げようとしたが、僕はその手を止めると空さんを見た。
「なんかコツとかない?」
ここまで大きな差があるんだったらどうせなら、そういう思いで僕は空さんに教えを乞う事にした。一瞬、眉を顰めた空さんだったが呑もうとしたビールから手を離すと僕の元へ。
でもすぐに何かを言う訳でもなく、少しだけ腕を組んでいた。
「――まぁアタシは」
そう言いながらさっきのゲームで見た構えを隣でして見せる空さん。
「こうやって楽な感じで体を横向きにして立って、ダーツが目線の高さにくるとこに構える」
「横で、目線――」
空さんを見ながら真似るように構えてみる。
「少し前足に重心を乗せて、ダーツは三本指で持ってる」
「前足に重心で、三本」
「そして肘を中心にあんまり力入れ過ぎないで腕を動かして投げる。まぁ、ダーツは弟に教えて貰ったんだけど」
「空さん弟いるの?」
不意の情報に僕は構えを解き、ダーツのコツより先にそっちが気になってしまった。
「五歳下の弟。別にそれはいいでしょ」
「まぁ、そうか」
まだ驚きが蠢くのを感じながらも僕はさっきの言葉を思い出しながら再び構えた。
「弟には、バスケのシュートみたいな感じで投げるって教えて貰って上手くいったんだけど――バスケした事ある? ワンハンドのシュート」
幸いにもバスケ自体は中学の時にやってたからその説明は割としっくりときた。
「中学の時にやってたよ。確かその時のコーチに同じ感じでシュートを教えて貰ったかな」
中学の時を思い出しながら僕はバスケのシュートを打つようにダーツを投げた。
得点自体は一点と最低だったものの、刺さった場所は限りなく真ん中に近い場所。僕は確かな手ごたえを感じていた。それと同時に何となくだけど感覚が掴めたような気がした
「おぉー! なるほど! こんな感じか」
その感覚を忘れぬうちに二投目、三投目とダーツを投げる。
すると、三投目のダーツが見事ど真ん中へと突き刺さった。僕は想像すらしてなかった結果に思わず無言のまま口を半開きにして顔だけをそっと隣の空さんへ。そして依然と無言のまま投げた方の手でガッツポーズをした。
「――すごくない?」
恐らく初めてと思う真ん中命中に興奮していたが、それを上回る驚きが口調を落ち着いたものにしていた。
「狙ったんなら」
口調だけで見れば僕と然程変わらない空さんだったけど、もはや僕は褒めて貰ったり興奮を共有したりせずとも気にならない程には欣喜雀躍の思いだった。そんな気持ちのままスキップ気味の足取りでダーツを取りに。それから勝利の美酒ならぬウーロン茶を飲み干す(もっと言えば勝利すらしてないんだけど)。でもここまでのとの一口よりもそれは美味しく感じた。ような気がした。
そんな悦に入った僕の横で空さんが構える。
「そう言えば真ん中って何点?」
僕の質問の直後、空さんの一投目が宙を駆ける。二十点。
「五十」
質問に答えながら構え、二投目。二十点。
「思ったんだけど、さっきのゲームからあんまり真ん中狙ってないよね? 手加減とかしてくれてる?」
その言葉に投げる前、一度だけ僕を見遣る空さんだったが、何も言わず三投目。二十点。
そしてそのままダーツを回収へ。
でも台の前へ行くと僕の方を振り返り、真ん中を指差す。
「これが五十。そんで――」
そのまま移動した指はその上へ。丁度、ダーツが二本刺さってる場所だ。
「こっちが六十」
それだけを言うとダーツを抜き始める空さん。
でも僕は完全に置き去りにされていた。
「え? そっちの方が点高いの? 何で?」
「何でって。トリプルだから。二十の三倍は流石に出来るでしょ」
三本のダーツを手に戻って来た空さんは自然の摂理を説明するが如く平然とした様子でビールを持ち上げた。
「トリプル? それじゃああの外側にある小さい枠は?」
「ダブル」
一口と二口目の合間に差し込まれた返事。
僕はもう一度、ダーツボードを見た。
「まさか知らなかったわけ?」
淡々とした声に視線をボートから空さんへ。
「確かによく考えたらあんな風に分けられてるって変だよね」
「まっ、ただそーゆう彩りって言われたら納得しそうだけど」
そして最後の一口を飲み干した空さんは僕の方へ空になったグラスを滑らせ差し出した。
「お替り」
「同じの?」
「――同じの」
少し悩んだ後、そう答えると僕は自分のグラスも持ってそれぞれの二杯目を買いに向かった。今度は僕もお酒。
そしてそれから僕らは引き続きお酒を呑みながらダーツを楽しんだ。カウントアップの他にゼロワンやクリケットなんていうルールもやって存分にダーツを満喫する事が出来た。
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