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【結】 俺たちの答え
ー side 蘭真 ー 1
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レシピのノートを開いた。
嵐はまだ夢の中だ。もう朝だが、外はまだ薄暗くカタカタと風が窓を揺らしている。
ノートに記した「水色ゼリーとマシュマロアラモード」。水色ゼリーというのは嵐の言葉だ。小さい頃からあのゼリーをそう呼んでいる。
「水色……ゼリー」
夏季限定?と走り書きした自分の字を見つめ、俺はデスクの油性マジックを掴むと大きくバツ印を書いた。
このレシピは……このメニューは店には出さない。夏季限定じゃない。夏場だろうがなんだろうが、絶対に店へは出さない。
ベッドに眠る嵐を振り返り、この湧き上がるような独占欲に身震いする。
落ち着けよと自分の体を抱きしめ、小学生の頃から使っている勉強机に腰を下ろした。
嵐は卑怯だ。ずっと俺に触れてこないくせに、いざってなるといつも俺の想像を越えていく。予想より遥かに激しく求めてくる。
喉奥にねじ込まれたイラマチオを思い出し、抱きしめている自分の腕を更に強く握り込んだ。
すごく激しく求められる。絶倫っぽいし一度エッチが始まれば、何度も何度も壊れそうなほど抱かれ、そして何故か絶対に一度は中に出される。
この時にしか見せない嵐の "独占欲" が、卑怯だと思う。俺のだって言われてるみたいで、体中が……悦んでしまう。
高校生相手に俺は何浮かれてんだよって気持ち悪く思うけど、やっぱり嬉しいんだよ。正常な理性がいつも騒ぐ。「相手は高校生だぞ」って。もう五月蝿いくらいにいつもいつもいつもいつも──。
この理性のせいもあるのかな。嵐が滅多に俺を抱かなくても不安にならないのは。嵐が女子高生と一緒にいる所を想像しても不安にならないのは。
大人しい嵐はエッチの時も割りと静かだ。寺島と比べてしまうからそう思うのだろうか。あいつは五月蝿かったから。好きだよって、気持ちいいねって、もっと感じてよ、声出してよ、エッチだよ蘭ちゃん……って。
あいつが喋りすぎなんだな、たぶん。嵐はあまり喋らない。たまに「気持ちいい?」って聞いてくるくらいで、エッチの最中に「好きだよ」とはわざわざ言わない。
むしろその言葉は何もしない期間の時に言いがちだ。
だから俺達が交わる時、耳を支配するのは卑猥な水音と俺の声。そして嵐の荒い息遣い。
俺を抱きしめ、時折快感に耐える声や堪らず漏れ出る熱っぽい吐息が、耳から離れない。
五月蝿い寺島の声を凌駕していく嵐のエロい声。息遣い。もっと聞きたくて自ら腰を振ると、嵐は決まって困ったように眉を寄せるんだ。「やめてよ」と。「すぐイッちゃうじゃん」と。
イッたところでお前絶倫じゃんって思うけど、あれでも一応早漏なんて思われたくない普通の男だから。
……大人しい嵐。名前負けだろって思うくらい、なかなか手を出してこないけど、始まると本当の嵐みたいに俺を抱く。そのギャップにまんまと溺れてしまう。馬鹿だ。相手は高校生なのに……、悔しいくらいカッコイイと思ってしまう。
嵐はまだ夢の中だ。もう朝だが、外はまだ薄暗くカタカタと風が窓を揺らしている。
ノートに記した「水色ゼリーとマシュマロアラモード」。水色ゼリーというのは嵐の言葉だ。小さい頃からあのゼリーをそう呼んでいる。
「水色……ゼリー」
夏季限定?と走り書きした自分の字を見つめ、俺はデスクの油性マジックを掴むと大きくバツ印を書いた。
このレシピは……このメニューは店には出さない。夏季限定じゃない。夏場だろうがなんだろうが、絶対に店へは出さない。
ベッドに眠る嵐を振り返り、この湧き上がるような独占欲に身震いする。
落ち着けよと自分の体を抱きしめ、小学生の頃から使っている勉強机に腰を下ろした。
嵐は卑怯だ。ずっと俺に触れてこないくせに、いざってなるといつも俺の想像を越えていく。予想より遥かに激しく求めてくる。
喉奥にねじ込まれたイラマチオを思い出し、抱きしめている自分の腕を更に強く握り込んだ。
すごく激しく求められる。絶倫っぽいし一度エッチが始まれば、何度も何度も壊れそうなほど抱かれ、そして何故か絶対に一度は中に出される。
この時にしか見せない嵐の "独占欲" が、卑怯だと思う。俺のだって言われてるみたいで、体中が……悦んでしまう。
高校生相手に俺は何浮かれてんだよって気持ち悪く思うけど、やっぱり嬉しいんだよ。正常な理性がいつも騒ぐ。「相手は高校生だぞ」って。もう五月蝿いくらいにいつもいつもいつもいつも──。
この理性のせいもあるのかな。嵐が滅多に俺を抱かなくても不安にならないのは。嵐が女子高生と一緒にいる所を想像しても不安にならないのは。
大人しい嵐はエッチの時も割りと静かだ。寺島と比べてしまうからそう思うのだろうか。あいつは五月蝿かったから。好きだよって、気持ちいいねって、もっと感じてよ、声出してよ、エッチだよ蘭ちゃん……って。
あいつが喋りすぎなんだな、たぶん。嵐はあまり喋らない。たまに「気持ちいい?」って聞いてくるくらいで、エッチの最中に「好きだよ」とはわざわざ言わない。
むしろその言葉は何もしない期間の時に言いがちだ。
だから俺達が交わる時、耳を支配するのは卑猥な水音と俺の声。そして嵐の荒い息遣い。
俺を抱きしめ、時折快感に耐える声や堪らず漏れ出る熱っぽい吐息が、耳から離れない。
五月蝿い寺島の声を凌駕していく嵐のエロい声。息遣い。もっと聞きたくて自ら腰を振ると、嵐は決まって困ったように眉を寄せるんだ。「やめてよ」と。「すぐイッちゃうじゃん」と。
イッたところでお前絶倫じゃんって思うけど、あれでも一応早漏なんて思われたくない普通の男だから。
……大人しい嵐。名前負けだろって思うくらい、なかなか手を出してこないけど、始まると本当の嵐みたいに俺を抱く。そのギャップにまんまと溺れてしまう。馬鹿だ。相手は高校生なのに……、悔しいくらいカッコイイと思ってしまう。
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