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第十九章:西くんの恋人
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「ん~、最初は “そんな事一人でやれよ” とか “俺に電話すんなよ” とか文句言ってたんすけど、段々俺から距離取り出して、離れたところでずっと電話してたんで、その先の詳しい話は知らないんすよ。でもたぶん、そんな心配するようなことじゃないと思いますよ! 西くん焦った様子もなく、俺と別れてのんびり駐車場に向かってたんで」
「そ、そう? それなら……いいんだけど」
そうか。お姉さんのところに行くから、晩ご飯がどうなるか分からないんだね。
「デート短くなったのは残念ですけど、今日俺初めて西くんと買い物に出かけられて、めっちゃハッピーなんすよ!」
「え? 今日がはじめてだったの?」
それには驚いた。
「そうなんすよ。なかなかお互いの予定が合わなくて、昼間っから遊びに出かけたの、今日が初めてで! 西くんってめっちゃ優しいんですよ! 買い物は全然苦じゃないみたいで、ひたすら服選んでくれんすよ!」
お洒落な人ってそういうものなのかなって雷哉は首を傾げ、俺なら途中で飽きちゃいそうって笑った。
「夜一緒にご飯食べることは何度もあったんですけど、いつもお洒落な店に連れてってくれるんですよね~! さっすがだな~って思って!」
雷哉の惚気話は、僕の心を完全に凍らせていく。
お洒落な……店?
あの西くんが?
デートプランなんて考えるのも嫌だって感じなのに、お洒落な店でディナー? 僕……連れてってもらったことない。
いつも僕が行きたいって言うところに連れてってくれるだけ。西くんが店選びすることなんて、ほとんどなかった。そんなお洒落な店、連れてってもらったこと……ないよ。
「……あい……されてるん……だね」
「へへっ。俺声デカいんで、 “うるさいから黙れ” って怒られたりもするんすけど、後ろからさ、こう……ぎゅーって抱きしめられたり、ちょっと髪が乱れたりしたらサッと直してくれたり、毎回車出して貰えたり、今日なんて誕生日でもないのに服買ってくれたり! ほんとディッシュの時には味わえなかった幸せてんこ盛りって感じで! 颯太先輩も、そういうの有りますか!? 雪村さんってどんな感じなんすか?」
ゆ……、雪村さん……は……。
「……優しい……よ?」
言うべきじゃないと思った。こんな返事をしてしまったら、まるで雪村さんと僕が付き合ってるみたいじゃないか。
そんなんじゃないのに。……違うのに。僕の好きな人は西くんで、僕の恋人だって西くんしかいないのに。
なのに……っ、見栄を張ってしまった。
「すごいなぁ! ほんとすごいっすよ、颯太先輩! 俺、雪村さんなんて10メートル以内に近づけたこともないっすよ!」
「……まぁ、僕もエッグの時はそうだったよ」
嘘が重なっていく。
雪村さんは恋人じゃない。彼は彼で好きな人が居て、僕らは……お互いの恋路を応援し合っているだけの……関係なのに。
「そ、そう? それなら……いいんだけど」
そうか。お姉さんのところに行くから、晩ご飯がどうなるか分からないんだね。
「デート短くなったのは残念ですけど、今日俺初めて西くんと買い物に出かけられて、めっちゃハッピーなんすよ!」
「え? 今日がはじめてだったの?」
それには驚いた。
「そうなんすよ。なかなかお互いの予定が合わなくて、昼間っから遊びに出かけたの、今日が初めてで! 西くんってめっちゃ優しいんですよ! 買い物は全然苦じゃないみたいで、ひたすら服選んでくれんすよ!」
お洒落な人ってそういうものなのかなって雷哉は首を傾げ、俺なら途中で飽きちゃいそうって笑った。
「夜一緒にご飯食べることは何度もあったんですけど、いつもお洒落な店に連れてってくれるんですよね~! さっすがだな~って思って!」
雷哉の惚気話は、僕の心を完全に凍らせていく。
お洒落な……店?
あの西くんが?
デートプランなんて考えるのも嫌だって感じなのに、お洒落な店でディナー? 僕……連れてってもらったことない。
いつも僕が行きたいって言うところに連れてってくれるだけ。西くんが店選びすることなんて、ほとんどなかった。そんなお洒落な店、連れてってもらったこと……ないよ。
「……あい……されてるん……だね」
「へへっ。俺声デカいんで、 “うるさいから黙れ” って怒られたりもするんすけど、後ろからさ、こう……ぎゅーって抱きしめられたり、ちょっと髪が乱れたりしたらサッと直してくれたり、毎回車出して貰えたり、今日なんて誕生日でもないのに服買ってくれたり! ほんとディッシュの時には味わえなかった幸せてんこ盛りって感じで! 颯太先輩も、そういうの有りますか!? 雪村さんってどんな感じなんすか?」
ゆ……、雪村さん……は……。
「……優しい……よ?」
言うべきじゃないと思った。こんな返事をしてしまったら、まるで雪村さんと僕が付き合ってるみたいじゃないか。
そんなんじゃないのに。……違うのに。僕の好きな人は西くんで、僕の恋人だって西くんしかいないのに。
なのに……っ、見栄を張ってしまった。
「すごいなぁ! ほんとすごいっすよ、颯太先輩! 俺、雪村さんなんて10メートル以内に近づけたこともないっすよ!」
「……まぁ、僕もエッグの時はそうだったよ」
嘘が重なっていく。
雪村さんは恋人じゃない。彼は彼で好きな人が居て、僕らは……お互いの恋路を応援し合っているだけの……関係なのに。
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