二番目の恋人 ~僕の恋はいつだって一番になれない~

2wei

文字の大きさ
上 下
165 / 198
第十九章:西くんの恋人

しおりを挟む
「ん~、最初は “そんな事一人でやれよ” とか “俺に電話すんなよ” とか文句言ってたんすけど、段々俺から距離取り出して、離れたところでずっと電話してたんで、その先の詳しい話は知らないんすよ。でもたぶん、そんな心配するようなことじゃないと思いますよ! 西くん焦った様子もなく、俺と別れてのんびり駐車場に向かってたんで」
「そ、そう? それなら……いいんだけど」

 そうか。お姉さんのところに行くから、晩ご飯がどうなるか分からないんだね。

「デート短くなったのは残念ですけど、今日俺初めて西くんと買い物に出かけられて、めっちゃハッピーなんすよ!」
「え? 今日がはじめてだったの?」

 それには驚いた。

「そうなんすよ。なかなかお互いの予定が合わなくて、昼間っから遊びに出かけたの、今日が初めてで! 西くんってめっちゃ優しいんですよ! 買い物は全然苦じゃないみたいで、ひたすら服選んでくれんすよ!」

 お洒落な人ってそういうものなのかなって雷哉は首を傾げ、俺なら途中で飽きちゃいそうって笑った。

「夜一緒にご飯食べることは何度もあったんですけど、いつもお洒落な店に連れてってくれるんですよね~! さっすがだな~って思って!」

 雷哉の惚気話は、僕の心を完全に凍らせていく。

 お洒落な……店?
 あの西くんが?

 デートプランなんて考えるのも嫌だって感じなのに、お洒落な店でディナー? 僕……連れてってもらったことない。

 いつも僕が行きたいって言うところに連れてってくれるだけ。西くんが店選びすることなんて、ほとんどなかった。そんなお洒落な店、連れてってもらったこと……ないよ。

「……あい……されてるん……だね」
「へへっ。俺声デカいんで、 “うるさいから黙れ” って怒られたりもするんすけど、後ろからさ、こう……ぎゅーって抱きしめられたり、ちょっと髪が乱れたりしたらサッと直してくれたり、毎回車出して貰えたり、今日なんて誕生日でもないのに服買ってくれたり! ほんとディッシュの時には味わえなかった幸せてんこ盛りって感じで! 颯太先輩も、そういうの有りますか!? 雪村さんってどんな感じなんすか?」

 ゆ……、雪村さん……は……。

「……優しい……よ?」

 言うべきじゃないと思った。こんな返事をしてしまったら、まるで雪村さんと僕が付き合ってるみたいじゃないか。
 そんなんじゃないのに。……違うのに。僕の好きな人は西くんで、僕の恋人だって西くんしかいないのに。

 なのに……っ、見栄を張ってしまった。

「すごいなぁ! ほんとすごいっすよ、颯太先輩! 俺、雪村さんなんて10メートル以内に近づけたこともないっすよ!」
「……まぁ、僕もエッグの時はそうだったよ」

 嘘が重なっていく。
 雪村さんは恋人じゃない。彼は彼で好きな人が居て、僕らは……お互いの恋路を応援し合っているだけの……関係なのに。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...