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第十九章:西くんの恋人
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「はい、そうなんすよ。まぁ、指名されたのって二回くらいなんですけど、でもなんか、あの腕の中が忘れられなくて。上手いとか下手とか、そういうんじゃないんすけど、ぎゅうぅって強い力で抱きしめてくれるんすよ。それがなんかもう、すげぇ気持ちよくて」
雷哉の言葉は僕の胸をざわつかせた。
嫌な予感が……する。
少しずつ脈拍が上がっていくのが自分でも分かる。
「颯太先輩がパーティーに歯向かってくれたおかげで、俺今新しい幸せ発見出来たっていうか。まぁ、あの話聞いた時はこえーって思ったんすけど、でも今思えばあのシステム自体がこえーよなぁって思って。ですよね!? だから俺、颯太先輩リスペクトなんすよ! 超かっけぇと思って!」
そんな話はどうでもいい。
お前の恋人の話を……もう少し聞かせてくれないかな?
お洒落で、羽振りが良くて、ぎゅうって力強く抱きしめてくれて、それで……他は? ほかの特徴は、なに?
「颯太先輩が逃げようって決意したのって、やっぱり雪村さんが居たからっすよね? 俺ずっと気になってて! 颯太先輩って雪村さんと、デキてんすか?」
今はお前の好奇心に付き合うつもりはない。
「雷哉」
「はい?」
「声がデカイ」
「わ、すみません!!」
ばっと両手で自分の口を隠す。
人懐っこくて、可愛い雷哉。こんな僕のことだって、嘘でもリスペクトなんて言ってくれる。
でも、待って?
「そういえば雷哉ってさ……、いつから金髪になったの?」
問うと、雷哉は自分の髪を少し摘まんで可愛らしくはにかんだ。
「あ……バレちゃいました? えへへ。俺、颯太先輩みたいに強くてカッコイイ男になりたくて、真似したんっす! 運命に逆らおうとする先輩の姿に、俺マジ感銘受けたんで! 颯太先輩がJADEのダンスシューズ履いてるって聞いたんで、俺も買い替えたんすよ! 同じデザインのはもう手に入らなかったから、色だけ真似しました! 黒っすよね!?」
ちょっと……ほんとに待って?
「誰からそんな事……、聞いたの?」
「え? あー、これはcodeのバックに入ったエッグから聞きました!」
「へぇ……、そうなんだ」
ここまでくると、僕のことをリスペクトしてるっていうのも嘘ではないかもしれない。だけど……だけど、そんな事より……。
「俺、まじでcode大好きなんすよ! 一番好きっす! 俺今まじでcodeのバックレギュラーで狙ってるんで! 次ツアー組むときはバック入れてもらえるように本気で磨きかけてくつもりっす!」
それは、僕が居るから? それとも……それとも、西くんがいるから?
「あ……あの、雷哉?」
「はい!」
「その……、えっと……もしかして、キミの……恋人って……」
そこまで聞いたがやっぱり聞くのが怖くなって、すぐに「ごめん、なんでもない」って首を振ろうとした。だけど、雷哉の返事は恐ろしく早かった。
「西くんですよ!」
幸せいっぱいって顔に書きながら、元気よくその名を口にした。
雷哉の言葉は僕の胸をざわつかせた。
嫌な予感が……する。
少しずつ脈拍が上がっていくのが自分でも分かる。
「颯太先輩がパーティーに歯向かってくれたおかげで、俺今新しい幸せ発見出来たっていうか。まぁ、あの話聞いた時はこえーって思ったんすけど、でも今思えばあのシステム自体がこえーよなぁって思って。ですよね!? だから俺、颯太先輩リスペクトなんすよ! 超かっけぇと思って!」
そんな話はどうでもいい。
お前の恋人の話を……もう少し聞かせてくれないかな?
お洒落で、羽振りが良くて、ぎゅうって力強く抱きしめてくれて、それで……他は? ほかの特徴は、なに?
「颯太先輩が逃げようって決意したのって、やっぱり雪村さんが居たからっすよね? 俺ずっと気になってて! 颯太先輩って雪村さんと、デキてんすか?」
今はお前の好奇心に付き合うつもりはない。
「雷哉」
「はい?」
「声がデカイ」
「わ、すみません!!」
ばっと両手で自分の口を隠す。
人懐っこくて、可愛い雷哉。こんな僕のことだって、嘘でもリスペクトなんて言ってくれる。
でも、待って?
「そういえば雷哉ってさ……、いつから金髪になったの?」
問うと、雷哉は自分の髪を少し摘まんで可愛らしくはにかんだ。
「あ……バレちゃいました? えへへ。俺、颯太先輩みたいに強くてカッコイイ男になりたくて、真似したんっす! 運命に逆らおうとする先輩の姿に、俺マジ感銘受けたんで! 颯太先輩がJADEのダンスシューズ履いてるって聞いたんで、俺も買い替えたんすよ! 同じデザインのはもう手に入らなかったから、色だけ真似しました! 黒っすよね!?」
ちょっと……ほんとに待って?
「誰からそんな事……、聞いたの?」
「え? あー、これはcodeのバックに入ったエッグから聞きました!」
「へぇ……、そうなんだ」
ここまでくると、僕のことをリスペクトしてるっていうのも嘘ではないかもしれない。だけど……だけど、そんな事より……。
「俺、まじでcode大好きなんすよ! 一番好きっす! 俺今まじでcodeのバックレギュラーで狙ってるんで! 次ツアー組むときはバック入れてもらえるように本気で磨きかけてくつもりっす!」
それは、僕が居るから? それとも……それとも、西くんがいるから?
「あ……あの、雷哉?」
「はい!」
「その……、えっと……もしかして、キミの……恋人って……」
そこまで聞いたがやっぱり聞くのが怖くなって、すぐに「ごめん、なんでもない」って首を振ろうとした。だけど、雷哉の返事は恐ろしく早かった。
「西くんですよ!」
幸せいっぱいって顔に書きながら、元気よくその名を口にした。
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