二番目の恋人 ~僕の恋はいつだって一番になれない~

2wei

文字の大きさ
上 下
163 / 198
第十九章:西くんの恋人

しおりを挟む
「はい、そうなんすよ。まぁ、指名されたのって二回くらいなんですけど、でもなんか、あの腕の中が忘れられなくて。上手いとか下手とか、そういうんじゃないんすけど、ぎゅうぅって強い力で抱きしめてくれるんすよ。それがなんかもう、すげぇ気持ちよくて」

 雷哉の言葉は僕の胸をざわつかせた。

 嫌な予感が……する。

 少しずつ脈拍が上がっていくのが自分でも分かる。

「颯太先輩がパーティーに歯向かってくれたおかげで、俺今新しい幸せ発見出来たっていうか。まぁ、あの話聞いた時はこえーって思ったんすけど、でも今思えばあのシステム自体がこえーよなぁって思って。ですよね!? だから俺、颯太先輩リスペクトなんすよ! 超かっけぇと思って!」

 そんな話はどうでもいい。
 お前の恋人の話を……もう少し聞かせてくれないかな?

 お洒落で、羽振りが良くて、ぎゅうって力強く抱きしめてくれて、それで……他は? ほかの特徴は、なに?

「颯太先輩が逃げようって決意したのって、やっぱり雪村さんが居たからっすよね? 俺ずっと気になってて! 颯太先輩って雪村さんと、デキてんすか?」

 今はお前の好奇心に付き合うつもりはない。

「雷哉」
「はい?」
「声がデカイ」
「わ、すみません!!」

 ばっと両手で自分の口を隠す。
 人懐っこくて、可愛い雷哉。こんな僕のことだって、嘘でもリスペクトなんて言ってくれる。
 でも、待って?

「そういえば雷哉ってさ……、いつから金髪になったの?」

 問うと、雷哉は自分の髪を少し摘まんで可愛らしくはにかんだ。

「あ……バレちゃいました? えへへ。俺、颯太先輩みたいに強くてカッコイイ男になりたくて、真似したんっす! 運命に逆らおうとする先輩の姿に、俺マジ感銘受けたんで! 颯太先輩がJADEのダンスシューズ履いてるって聞いたんで、俺も買い替えたんすよ! 同じデザインのはもう手に入らなかったから、色だけ真似しました! 黒っすよね!?」

 ちょっと……ほんとに待って?

「誰からそんな事……、聞いたの?」
「え? あー、これはcodeのバックに入ったエッグから聞きました!」
「へぇ……、そうなんだ」

 ここまでくると、僕のことをリスペクトしてるっていうのも嘘ではないかもしれない。だけど……だけど、そんな事より……。

「俺、まじでcode大好きなんすよ! 一番好きっす! 俺今まじでcodeのバックレギュラーで狙ってるんで! 次ツアー組むときはバック入れてもらえるように本気で磨きかけてくつもりっす!」

 それは、僕が居るから? それとも……それとも、西くんがいるから?

「あ……あの、雷哉?」
「はい!」
「その……、えっと……もしかして、キミの……恋人って……」

 そこまで聞いたがやっぱり聞くのが怖くなって、すぐに「ごめん、なんでもない」って首を振ろうとした。だけど、雷哉の返事は恐ろしく早かった。

「西くんですよ!」

 幸せいっぱいって顔に書きながら、元気よくその名を口にした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...