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第十七章:大凶くじ
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そんな中。
四人の会話をぼんやり聞いていると、突然とんでもない声が耳に飛び込んできた。
「なぁ。あそこ、黒猫。やばくない?」
内部事情を知っているような口ぶり。
バッと周りを見渡したが、その声の主を特定することは出来なかった。
席を移動している者や、電話してる者。この部屋にはうちの事務所のデビュー組が全員集合しているんだ。声の主を特定するなんて、不可能に近い。
初期メンバーは黒猫のグループに三人も揃っている。あと何人いるのかは知らないけど、佐久間さんと西川さんは確実。だけど、佐久間さんは神谷くんと及川さんと三人で楽しそうにお喋りしているし、西川さんもうちのリーダーと喋っている。
それ以外……。
ぐるっと部屋を見渡す。小松さんのパーティーでディッシュをしていた藤崎さんがOne Dozenにいるけど、誰と会話をするわけでもなく、ぼんやりと天井を眺めているだけだ。あとは西くんだけど、今西くんはダンスレクチャーの真っ只中だ。藤崎さんの利用者が誰だったかは知らないけど、少なくとも僕の利用者は……神谷くん以外、ここには一人もいない。
雪村さんのグループメンバーは今回の事件のことを知っていると菊池さんが言っていたけど、だとしたら……。
そう思ってきょろきょろと確認するけど、僕らのことをコソコソ喋っているような雰囲気のメンバーは、誰一人いなかった。
誰が……僕らを見ていたのだろう。誰の声だったんだろう。
また急に恐ろしくなり始めて、ぎゅっと膝を抱える。
見られている。後ろ指を指されている。
パーティーの利用者はそのほとんどがエッグで、デビュー組のメンツはその存在自体を知らない人が多い。それでも、全員がそういうわけじゃない。
……嫌だ、この空間、耐えられない。
膝に顔を埋め、この最悪のグループ分けを僕以外も「ヤバイ」と思っている人が居ることに心が焦っていく。
西くんもこのグループ分けを見ただろうか。いや、今知らなかったとしても、すぐに分ることだ。雪村さんと菊池さんがいること、西くんはどう思う?
どうか……笑い飛ばして欲しい。
「おい、どうした? 具合でも悪いか?」
僕が小さく縮こまってしまったばかりに、雪村さんが心配して声を掛けてくれる。なんだかうちのリーダーみたいだ。相変わらず、良く周りを見ている。
「すみません、大丈夫です」
力なく首を振り、ちらりと菊池さんを見ると、天道さんと阿部さんと楽しそうに話をしている。そんな僕の視線の移動を雪村さんはきっと見ていて、彼らが話に夢中になっていることを確認してから僕の耳に口を近づけた。
「トイレ、あとから来い」
そう言ったかと思ったら雪村さんは立ち上がった。
「どした?」
菊池さんが雪村さんを見上げる。
「トイレ」
簡潔に答え、部屋を出ていく雪村さんを目で追い、いつその後を追いかけようか考えた。すぐに追いかけると、菊池さんが怪しがるかなとか、逆にすぐ追いかけた方が分かりやすくて、邪魔されないのかなとか。
気持ちがそわそわしていると、突然僕の携帯電話が震え出し、慌てて着信先を確認すると、それは雪村さんだった。
四人の会話をぼんやり聞いていると、突然とんでもない声が耳に飛び込んできた。
「なぁ。あそこ、黒猫。やばくない?」
内部事情を知っているような口ぶり。
バッと周りを見渡したが、その声の主を特定することは出来なかった。
席を移動している者や、電話してる者。この部屋にはうちの事務所のデビュー組が全員集合しているんだ。声の主を特定するなんて、不可能に近い。
初期メンバーは黒猫のグループに三人も揃っている。あと何人いるのかは知らないけど、佐久間さんと西川さんは確実。だけど、佐久間さんは神谷くんと及川さんと三人で楽しそうにお喋りしているし、西川さんもうちのリーダーと喋っている。
それ以外……。
ぐるっと部屋を見渡す。小松さんのパーティーでディッシュをしていた藤崎さんがOne Dozenにいるけど、誰と会話をするわけでもなく、ぼんやりと天井を眺めているだけだ。あとは西くんだけど、今西くんはダンスレクチャーの真っ只中だ。藤崎さんの利用者が誰だったかは知らないけど、少なくとも僕の利用者は……神谷くん以外、ここには一人もいない。
雪村さんのグループメンバーは今回の事件のことを知っていると菊池さんが言っていたけど、だとしたら……。
そう思ってきょろきょろと確認するけど、僕らのことをコソコソ喋っているような雰囲気のメンバーは、誰一人いなかった。
誰が……僕らを見ていたのだろう。誰の声だったんだろう。
また急に恐ろしくなり始めて、ぎゅっと膝を抱える。
見られている。後ろ指を指されている。
パーティーの利用者はそのほとんどがエッグで、デビュー組のメンツはその存在自体を知らない人が多い。それでも、全員がそういうわけじゃない。
……嫌だ、この空間、耐えられない。
膝に顔を埋め、この最悪のグループ分けを僕以外も「ヤバイ」と思っている人が居ることに心が焦っていく。
西くんもこのグループ分けを見ただろうか。いや、今知らなかったとしても、すぐに分ることだ。雪村さんと菊池さんがいること、西くんはどう思う?
どうか……笑い飛ばして欲しい。
「おい、どうした? 具合でも悪いか?」
僕が小さく縮こまってしまったばかりに、雪村さんが心配して声を掛けてくれる。なんだかうちのリーダーみたいだ。相変わらず、良く周りを見ている。
「すみません、大丈夫です」
力なく首を振り、ちらりと菊池さんを見ると、天道さんと阿部さんと楽しそうに話をしている。そんな僕の視線の移動を雪村さんはきっと見ていて、彼らが話に夢中になっていることを確認してから僕の耳に口を近づけた。
「トイレ、あとから来い」
そう言ったかと思ったら雪村さんは立ち上がった。
「どした?」
菊池さんが雪村さんを見上げる。
「トイレ」
簡潔に答え、部屋を出ていく雪村さんを目で追い、いつその後を追いかけようか考えた。すぐに追いかけると、菊池さんが怪しがるかなとか、逆にすぐ追いかけた方が分かりやすくて、邪魔されないのかなとか。
気持ちがそわそわしていると、突然僕の携帯電話が震え出し、慌てて着信先を確認すると、それは雪村さんだった。
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