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第八章:カウントダウンコンサート
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会場の出入り口に居た同じパーティーメンバーは僕を鋭く睨んでいたけど、雪村さんを前に手も足も出ないようで、僕は舌を出して高笑いしたくなるほど勝利を噛み締めた。
けど、雪村さんは僕をホテルの外に連れて行くわけでもなく、トイレへと連れ込んだ。せっかちな人だなと思いながらも、とりあえずここで一発やらせあげて、その後二人で抜け出そうと提案すれば問題ない。帰るマンションは一緒だし、きっとうまくいく。
だけど、個室に二人無理やり入り便座に座らされると、雪村さんは突然鋭い眼光で僕を睨めつけた。
「永井とどういう関係だ」
信じられない質問だった。
永井くんと……どういう関係か……って? いやいや、知ってるだろ? 知ってるんじゃないのかよ!? 同じパーティーなんだよ! うちのパーティーリーダー! 知らないわけないだろ⁉
そう叫びそうになって……、いや、この人本当に何も知らないんだと漸く分かった。
一気に血の気が引いたのが自分でも分かる。
何も知らずに……この人は僕を抱いたのか? 待って、じゃあ……ちょっと待って。もしも佐久間さんにバレたら、僕が誑かしたって話になるじゃないか! 待って! それだけは嫌だ! 僕まだアイドルをしていたい! 西くんの傍に、……codeのメンバーでいたい!
「黙秘……か。じゃあ質問を変える。俺と寝たこと、あいつは知ってんのか?」
永井くんにも目を付けられ、佐久間さんにも知られるかもしれないっていうのに、雪村さんまで敵に回すわけにはいかない! それだけはっ!
ばっと顔を上げ、僕は首を振った。
「誰にも話してません」
「証拠は?」
「しょ、証拠⁉」
あるわけないだろ! っていうか、話してたら今頃会社が僕を抹消する準備を始めてるよ! 死んでも言うかよ! 西くんにだって言えないよ、こんなこと!
証拠なんて無茶苦茶なことを言う雪村さんは、大声こそ出さないものの、めちゃくちゃ怒っているのが見て取れた。その殺気立った空気はビリビリと電気みたいに僕を襲う。
まじこわ……。
「お前誰とでも寝るんだろ? 雪村涼と寝たなんてビッグトピックスじゃねぇか。"優越" だろ? 自慢話の一つでもしてんじゃねぇのか?」
けど、こんなことを言われて黙って泣き寝入りするほど、僕だって落ちぶれちゃいないんだよ。
……ふざけんなよ、お前。
「バカにしないで下さい! あなただって……、貴方だって僕を抱いた時点で最低の男じゃないですか!」
頭に血が上って思わずそう叫んだけど、言った後でまた血の気が引いた。
僕は雪村さんを押しのけトイレを飛び出すと、そのままホテルの出口へと一目散に駆け出した。
けど、雪村さんは僕をホテルの外に連れて行くわけでもなく、トイレへと連れ込んだ。せっかちな人だなと思いながらも、とりあえずここで一発やらせあげて、その後二人で抜け出そうと提案すれば問題ない。帰るマンションは一緒だし、きっとうまくいく。
だけど、個室に二人無理やり入り便座に座らされると、雪村さんは突然鋭い眼光で僕を睨めつけた。
「永井とどういう関係だ」
信じられない質問だった。
永井くんと……どういう関係か……って? いやいや、知ってるだろ? 知ってるんじゃないのかよ!? 同じパーティーなんだよ! うちのパーティーリーダー! 知らないわけないだろ⁉
そう叫びそうになって……、いや、この人本当に何も知らないんだと漸く分かった。
一気に血の気が引いたのが自分でも分かる。
何も知らずに……この人は僕を抱いたのか? 待って、じゃあ……ちょっと待って。もしも佐久間さんにバレたら、僕が誑かしたって話になるじゃないか! 待って! それだけは嫌だ! 僕まだアイドルをしていたい! 西くんの傍に、……codeのメンバーでいたい!
「黙秘……か。じゃあ質問を変える。俺と寝たこと、あいつは知ってんのか?」
永井くんにも目を付けられ、佐久間さんにも知られるかもしれないっていうのに、雪村さんまで敵に回すわけにはいかない! それだけはっ!
ばっと顔を上げ、僕は首を振った。
「誰にも話してません」
「証拠は?」
「しょ、証拠⁉」
あるわけないだろ! っていうか、話してたら今頃会社が僕を抹消する準備を始めてるよ! 死んでも言うかよ! 西くんにだって言えないよ、こんなこと!
証拠なんて無茶苦茶なことを言う雪村さんは、大声こそ出さないものの、めちゃくちゃ怒っているのが見て取れた。その殺気立った空気はビリビリと電気みたいに僕を襲う。
まじこわ……。
「お前誰とでも寝るんだろ? 雪村涼と寝たなんてビッグトピックスじゃねぇか。"優越" だろ? 自慢話の一つでもしてんじゃねぇのか?」
けど、こんなことを言われて黙って泣き寝入りするほど、僕だって落ちぶれちゃいないんだよ。
……ふざけんなよ、お前。
「バカにしないで下さい! あなただって……、貴方だって僕を抱いた時点で最低の男じゃないですか!」
頭に血が上って思わずそう叫んだけど、言った後でまた血の気が引いた。
僕は雪村さんを押しのけトイレを飛び出すと、そのままホテルの出口へと一目散に駆け出した。
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