二番目の恋人 ~僕の恋はいつだって一番になれない~

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第五章:誕生日の夜

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 code として活動を始めてから分かったことがある。
 西くんは意外にモテる。何故だか分からないけど、モテるんだよ。誰よりも変人なのに、何故か女を切らさない。けどたまに僕を呼び出してめちゃくちゃに抱いたりする。
 一応、パーティー通して貰えますか?なんて意地悪を言うと、西くんは決まって舌打ちする。相変わらず永井くんが嫌いみたい。
 だったら他のパーティーのディッシュを抱く時はどうしているのだと聞くと、顔がタイプじゃないと抱けないなんてはっきり言い切った。

 答えになってない。答えになっていないけど……顔かよ、と思ったのは致し方ない。

 相変わらず最低な男は最低なままだ。こんな時はやっぱり神谷くんを思い出す。実を言うとまだ彼とも続いていた。依頼が入ると断ることが出来ない。けど本来は断ってもいいんだ。仕事だって言えばそれ以上は何も言ってこないはずだから。
 でも神谷くんの依頼だけは、嘘をついてまで断ることが出来なかった。彼とのエクスタシーな夜がやっぱり一番好きだから。エッチを楽しむだけだと自分に言い聞かせ、朝まで一緒に居ようとする彼を追い返す日もあった。この後用事があるとか、依頼がもう一本あるからとかそれこそ嘘をついて。そうやって、神谷くんとも ”エッチだけの関係” に無理やり持ち込んだ。

「彼女ね。どっちかというと俺が振った」

 西くんの横顔。
 まったく傷ついていないから、嘘ではないのだろう。でも負け犬の遠吠えだと思いたいのは仕方ない。

「どうして?」
「飽きた」

 聞いた先の答えは実にシンプル。だけど、やっぱり最低。

「そういうこと……僕に言う?」

 僕なんて、よっぽど飽きられる存在だと思う。
 それなのに西くんは「なんで?」と無神経に聞いてくるから、無視した。

「お前、夜景とか興味あんの?」

 もうさっさと違う話題。こういうところ、良いのか悪いのか。変人にしかなしえない荒業だ。

「別に。西くんと見てもなぁ……とは思う」
「何だそれ。誰となら良いんだよ」

 出たよ。すぐに特定の人物を聞きたがる。それ、聞いてどうするっていうのさ。見かけによらず、そういうの気にしちゃうタイプなわけ? 繊細なのか、はたまた相当デリカシーがないのか。……後方だな、絶対に。他人と自分を比べるタイプじゃないもん。俺は俺、っていうスタイルだから。その癖、やたらこういう質問だけはしてくる。意図が分からないよ。何考えてるの?

「そうだな~ぁ」

 考えるふりをする僕に、永井は許さない、と先手を打たれた。けど元より永井くんに連れて行ってもらえるなんて思ってもいない。だってそんなことされたら天変地異に見舞われること請け合いだ。最悪地球が爆発しかねない。さすがに僕、地球を守るよ。

 一頻り考える振りをする。でもほんとはすぐに浮かんでるんだ。永井くんよりもずっと現実的で、ずっとロマンチックな人。

 けど……。

「カトゥンとかいいね!」

 誤魔化した。
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