二番目の恋人 ~僕の恋はいつだって一番になれない~

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第五章:誕生日の夜

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 パーティー三昧だったのは、NIA の一周年以降からだった。捨てられると思っていた二年前。だけど僕は捨てられず、新しいディッシュが入ってくることもなかった。
 数人の男を一気に僕が相手する。相変わらず気持ちいいなんて思わなかったけど、結局また僕はそこに落ち着き、それが当然になり、永井くんには逆らえない、そんな構図が再び出来上がってしまった。

 永井くんは滅多に僕を抱かなかった。だからこそ彼に抱いて欲しいなんて欲が、性懲りもなくまた出てくる。大して気持ちいいわけじゃないってもう分かっているくせに、永井くんが欲しくなるんだ。永井くんを好きだって……またそんな洗脳にかかってしまって。

「根っからの変態だな」

 赤松くんが笑う。

 死ね。

 そう思う。けど彼のモノにしゃぶりつき、それを見て笑う永井くんに僕は満足する。

 こんな世界。夢なら良かった。だけどきっと僕はここから永遠に抜け出せない。永井くん以外を好きになるなんて許されないんだ。欲を掻いて他に目移りするから罰が当たる。永井くんだけに従順でいなきゃならないんだ。彼だけでいい、彼さえ隣にいてくれるなら、僕は多少のことなら我慢する。もう見放されないように、僕が馬鹿な夢を見る前に、このえぐいくらいの現実に……縛り付けてくれ。


『誕生日だぞ』

 電話口で言われた。

「プレゼント、ちゃんと渡したはずですが?」

 code の仕事は順調だった。僕には敷居の高すぎたメンバーだったけど、みんな優しい。案の定、加藤くんが一番優しい。口は悪いし、何故かものすごくキレのあるツッコミを寄越すけど、誰よりも僕を気にかけてくれるんだよね。加藤くんの親友だった小形くんが彼を ”カトゥン” と呼んでいたから、僕もそう呼ぶようになっている。

 リーダーの内海くんはのんびりした人なんだけど、すべてを見透かすような瞳と、的確な判断能力でグループをまとめてくれる。小さな背中のはずが、彼に至ってはものすごく大きく感じるんだ。僕より身長は低いのに、僕なんかよりよっぽど頼り甲斐がある。彼は code には必要不可欠な人。きっと彼が居なけりゃこのグループは絶対にまとまらなかった。
 まとまりにくくしている理由は簡単。この電話口の男。西克己がすべて悪い。

 変人すぎて、優しいはずのカトゥンとデビュー当時よく衝突していた。小形くんとカトゥンの長身コンビに睨まれても、西くんはビクともしなかったけど、その仲裁に怖気づきもせず割り入るリーダーが誰よりも神過ぎた。だから僕も必死に西くんの服の裾を引っ張り、「よせ、ヤメロ」と彼を宥める役を買って出た。

 そんなこんなで最近は少し衝突も減っては来ているけど、西くんとカトゥンは未だに仲が良くない。

『は? あれだけで済ませるつもりか?』
「はぁ? なんの文句があるんだよ」

 車用の空気清浄機。十分なプレゼントのはずだ。

『今から家に行く』
「来るなよ! なんにもあげないし、飯も奢らないから!」
『俺、誕生日なんですけど』

 イラっとした。
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